2020年の年末、待望の我が家が完成しました。夫婦で意見を出し合いながら、時にはケンカしながらも作り上げた「大きな中庭のある平屋」です。Web内覧会では「設計でこだわったところ」「イメージと出来上がりの違い」などを紹介します。これから新築の方の参考になれば嬉しいです。
初回は「家の顔」とも言われる玄関。家の顔として雰囲気・見た目は重要ですが、一方で、「屋内と屋外をつなぐ」という玄関ならではの役割があります。土足の汚れ、土埃の舞い込み、冷気の侵入、防犯など機能面もしっかり考える必要があります。また、動線面では日々の生活の起点・終点になるのも玄関の特徴です。
玄関周りの設計で考えたこと
玄関は家の顔という人もいます。玄関扉や照明にもそれぞれ施主の考えが表れています。
敷地の都合もあり広い玄関にはできませんでしたが、玄関の間取り設計にあたり実現できた事・できなかった事をご紹介します。
希望の親子ドアは採用できず
親子扉とは、大小の扉が観音開きになっているものです。普段は、小さい扉は閉じておき出入りには大きい扉を使います。必要に応じて開口幅を広げられるメリットの他、ゴージャスな見た目も特徴です。
親子ドアを希望した理由
賃貸マンションに住んでいた頃は、大きな家具を運び込むのにとても苦労しました。新築にあたり大型家具を購入するので、搬入しやすい親子ドアを希望しました。
また、将来、万が一車椅子生活になったとしても、親子ドアならば出入りしやすいです。バリアフリーも平屋を選んだ理由の一つです。親子ドアは必須条件だと考えていました。
親子ドアが設置できなかった理由
希望した親子ドアですが、玄関間口が170cmしかない我が家では収まりませんでした。
横幅170cmの玄関に奥行き35cmの下駄箱を設置するので、出入りに使える有効幅は135cmになります。更に玄関照明も35cm張り出すため、扉に使える寸法は100cmしかありません。

親子ドアを設置する場合、扉だけで120cm以上の幅があると選択肢が多く選びやすいです。100cm以下の親子ドアもありますが、気に入ったデザインが見つかりませんでした。
玄関幅を広げる方法もありますが、他の部屋へ影響が大きくシングルドアで妥協しました。引っ越し時の家具の搬入でも、チーフテンチェアのような大型チェアの搬入も問題ありませんでした。
シングルドアである事で大きな不便は感じませんが、掃き掃除の時はもう少し開けばと思う事はあります。
框をなくすと余計に費用がかかる…

玄関から屋内に入るところに23cmの上がり框があります。賃貸マンションでも5cmぐらいの低い框がありました。
バリアフリーという観点では大きな障害ですが、屋内外の区別が視覚的に明確になり、玄関扉を開けた時の埃・砂の吹き込みを防ぐ役割もあります。
框はただの段差ではない
検討当初、上がり框のないフラットな玄関を希望しました。しかし、建築士や設計士からの説明は、「無くす事もできるが、手間・予算は余分にかかる」という事でした。
簡単に考えていましたが、床下には換気・断熱・床暖房・配管と多くの機能が集まっています。框を無くすためには、玄関床を押し上げて床下機能を確保しながら段差を無くす事になります。
屋内段差をなく事の効果
屋内はバリアフリーに近づきますが、玄関床が上がる事で外に段差が増えます。例えば、敷地入り口から玄関ポーチへ1段上がる設計の場合、玄関床が上がる事で手前にもう1段段差が発生します。
スロープを設置する場合、屋外に段差をまとめるメリットはあります。それ以外は、雨風防げる屋内の段差が、雨風の当たる屋外の段差に変わるだけとも言えます。
結局、砂・埃の吹き込みを防ぐ框の役割を重視して、設計通り23cmの框で合意しました。実際は、靴の脱ぎ履きや荷物の仮置きなど、生活する上では便利な点も多いです。
SICは想定外の道具でスペース不足
納戸として大きなロフトもありますが、日常的に使うものは玄関脇のSICに収納できると便利です。
ゴルフセット2セット、ロードバイク4台、メンテナンス道具を置くために3畳分のSICを計画しましたが、LDKの造作戸棚にスペースを取られ2畳になりました。辛うじてスロップシンクは設置できています。
想定外だったのは掃除や庭仕事の道具です。高所用脚立、3段程度の脚立、熊手、箒・ちりとり、デッキブラシなど。賃貸マンションでは管理会社任せで気にも留めていませんでした。
矢崎加工の「イレクターパイプ」でラックを作り、ロードバイク2台を吊ってなんとか収納しています。このスペースは今後の課題です。
その他の希望と結果
その他にも希望はいくつかありました。希望内容と成否結果を簡単にご紹介します。
できれば来客用と玄関動線を分けたい
住宅展示場では、来客用と家人用ので玄関動線を分けている建物も多くあります。家人用は玄関からSICを通って屋内に入る設計。残念ながらスペースを確保できず諦めました。
照明に負けない存在感のある下駄箱

着工合意直前まで、神谷コーポレーションの下駄箱(CLIFF)で進めていました。玄関にビンテージ照明を設置する事を決めてから、面材が樹脂シートであることが気になっていました。
オーダー下駄箱も調べましたが値段が高く断念。代替案が見つからないままズルズルと着工合意直前。六本木にある北欧ビンテージ家具店「KAMADA」さんで良い商品を見つけました。
Borge Morgensenのビンテージキャビネットですが奥行き30cm強と丁度良いサイズ。値引き後のCLIFFの価格よりは高いですが、主役の照明下にくる下駄箱なので思い切って購入しました。
次のページでは「玄関で採用した建材・設備・家具」を紹介します。