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V2H導入#1 電気代削減のため、トライブリッド導入を決めた皮算用

最近の電気・ガス・ガソリンの高騰には驚いています。特に電気代は家計に占める支出割合も高く頭を悩ませます。

燃調費が最安だった2021年1月の「▲5.02円/kWh」に対して、2022年8月は「+5.10円/kWh」となり完全に反転。

10円/kWhの値上がりで4人家族(400kWh/月)では4,000円/月。ガス・ガソリンを足すと負担増は7,000円/月を超えます。

年間7,000kWhを消費するオール電化の我が家。新築時の「エネルギー計画」を前倒し、電気代対策を行う事にしました。

今回の記事では、次の点について我が家が考えた事を紹介します。

この記事のポイント

  • 我が家のエネルギー計画について
  • このタイミングで計画を変更し、設備導入に踏み切る理由
  • 活用できる補助金
  • 最終的にかかる費用や回収見込み

こんな方におすすめ

  • これから新築予定の施主の方
  • 光熱費の高騰に困っているオール電化住宅の方
  • 災害時の電力供給に不安な方
  • V2Hの導入を考えている方
  • 対象となる補助金を調べている方

色々な考え方があり賛否はあると思いますが、「我が家はこういう考え方で導入します」という話です。

新築時に考えたエネルギー計画

我が家がハウスメーカと契約したのは2019年末、「台風15号・19号(東日本広域)」の直後です。

立て続けにきた2つの台風による被害は甚大で、電力供給網も大きな被害を受け復旧にはかなりの日数がかかりました。

そういった状況を目の当たりにして始まった家づくり。「台風を含めた災害時はどのするか?」夫婦で何度も話し合いました。

その話し合いで決めた事を、我が家では「エネルギー計画」と呼んでいます。

どのエネルギーを使うか

家庭で使うエネルギーは「電気・ガス・ガソリン・灯油」の4種類ありますが、我が家は「ガソリンも含めて全て電気に集約する事」を選びました。

大地震の度に「オール電化の弱さ」が報道され不安もありますが、以下4つの理由から電気への集約を決めました。

電気に集約する理由

  1. 電気は家庭で唯一創れるエネルギー
  2. 化石燃料の価格はいずれ上昇する
  3. 電気はガス・ガソリン・灯油の代わりになる
  4. 電気に1本化すれば投資効果が高い

最小限のエネルギーコスト

平常時の生活ではエネルギーコストの削減もエネルギー計画の重要なテーマです。

最小限がいくらかを知る事で、最終目標とする削減幅や段階的な削減計画が見えてきます。

我が家の場合、ガソリン・電気・ガスの合計で30万円/年に対して、最大で26.3万円(1+2+4)の削減が見込めます。

最小限のエネルギーコストは年間で3万円となります。

エネルギーコストの削減効果

  1. オール電化へ変更:▲1.8万円/年
  2. ガソリン車→HV車:▲3万円/年
  3. ガソリン車→EV車:▲8万円/年
  4. 太陽光のみ(5kW):▲14.3万円/年
  5. 太陽光+V2H:▲16.5万円/年

ただし、電気・ガス代は「2人暮らし世帯の平均支出額(新電力ネット)」を参考に試算しました。

実際の電気代は試算より6万円多くなっています。(冷暖房の24時間稼働・電気代高騰による)

以下は削減額の試算方法です。

  • ガソリン車:12万円/年(走行距離10,000km/年・燃費13km/L)
  • HV車:▲3万円/年(ガソリン比で約2/3弱)
  • EV車:▲8万円/年(ガソリン比で約1/3)
  • 電気代・ガス代:¥1.5万円/月×12ヶ月=18万円/年(電気・ガス平均支出額「新電力ネット」)
  • オール電化:電気+ガスの約1割減
  • 太陽光:積載量5kW・発電量6,000kWh
  • 太陽光のみ:50%消費(3000kWh×¥30/kWh=▲9万円/年)・50%売り(3000kWh×¥17.7/kWh≒▲5.3万円/年)
  • 太陽光+V2H:80%消費(4800kWh×¥30/kWh=▲¥14.4万円/年)・20%売り(1200kWh×¥17.7/kWh≒▲¥2.1万円/年)

災害時に必要な電力

台風15号・19号では電力網自体が被災し避難所でも停電が発生。他避難所への移動を余儀なくされたケースもあったそうです。

自宅に被害が無い限り在宅避難を基本とし、まずは、在宅避難で使う家電・設備の消費電力を計算しました。

「絶対に必要」と「あれば良いな」の2つに分けて考えています。

絶対に必要の電力量(7kWh/日)

  1. 冷蔵庫:消費電力 30Wh × 24時間 = 0.7kWh
  2. エアコン(1基・暖房):700Wh × 5時間 = 3.5kWh
  3. シャワー(沸かし太郎・20L):900Wh × 1時間 × 2人 = 1.8kWh
  4. 照明・スマホ・テレビ・ホームセキュリティなど:1.0kWh

あれば良いなの電力量(13.3kWh/日)

  1. 冷蔵庫:消費電力 30Wh × 24時間 = 0.7kWh
  2. エアコン(1基・暖房):700Wh × 10時間7.0kWh
  3. シャワー(沸かし太郎・30L):900Wh × 1.5時間 × 2人 = 2.7kWh
  4. 照明・スマホ・テレビ・ホームセキュリティなど:1.0kWh
  5. IHクッキングヒーター:3kWh × 0.5時間 = 1.5kWh
  6. 炊飯器:炊飯1回あたり0.2Wh × 2回 = 0.4kWh

必要な設備と資金

ここまでの内容(導入設備・平常時のコストダウン・非常時の自立日数)に、それぞれの「必要資金」を一覧表にまとめました。

導入設備 必要資金(工事込み) 平常時のコストダウン 非常時の自立日数
  • オール電化
  • HV車
  • 50万円
  • 400万円(ハリアー)
  • ▲5.8万円
  • 最低限の電力:6日間
  • 欲しい電力:3日間
  • オール電化
  • 太陽光
  • HV車
  • 50万円
  • 120万円
  • 400万円(ハリアー)
  • ▲20.1万円
  • HVで3kWh/残り太陽光
  • 最低限の電力:15日間
  • 欲しい電力:15日間
  • オール電化
  • 太陽光
  • EV車
  • 50万円
  • 120万円
  • 420万円(リーフ60kWh)
  • ▲24.1万円
  • EVで3kWh/残り太陽光
  • 最低限の電力:18日間
  • 欲しい電力:18日間
  • オール電化
  • 太陽光
  • V2H
  • EV車
  • 50万円
  • 120万円
  • 100万円(ニチコン プレミアム)
  • 420万円(リーフ60kWh)
  • ▲26.3万円
  • EVで3kWh/残り太陽光/余剰はEV戻し
  • 最低限の電力:30日以上
  • 欲しい電力:18日間

※HV車にはオプションの「非常給電システム」(最大1500Whの出力)と建物側には冷蔵庫・寝室エアコンをつなぐ特定配線を設置しています。詳しくはこちらで紹介しています。

※2番目・3番目の最大の違いはガソリン/電気の残量。確率論ですが、家で充電できるEVの方が、災害発生時に満タンである可能性は高くなります。

※3番目・4番目の違いは、消費電力を減らして蓄電量を回復し自立期間を調整できる点。3日に1日の割合で最低限消費を挟めば、13.3kWh消費でも自立日数は大幅に伸びます。

設備導入スケジュール(エネルギー計画 Ver.1)

理想は4番目のV2Hまで揃ったパターンですが、初期投資が670万円とかなり大きくなります。

そこで上から順番に段階を踏んで設備導入をする事にしました。具体的には

エネルギー計画 Ver.1

  • 入居1年目(=新築時):オール電化・HV車・配線準備(HV→特定コンセント・太陽光・V2H)
  • 入居2年目:太陽光(5kWh)を追加
  • 入居3年目:EV車を導入
  • 入居4年目:V2H設備の導入

何かと物入りな1年目の支出は抑えて、キャッシュアウトが一巡した2年目以降で設備投資を始める計画です。

(ガソリン満タンが条件ですが)最も自立日数が短い1年目でも最低限で6日間の生活を確保できるのが肝。

さらに、新居での消費電力の実績も揃うので、太陽光の積載量を現実に即して判断ができるのもメリットです。

取り巻く環境の変化

何度も話し合いを重ねて考えたエネルギー計画ですが、世の中の変化には抗えず。2年目の今年、外部環境の変化を考慮して前倒す事を決めました。前倒しを決めた理由を紹介します。

電気代が想定以上に高い

まずはオール電化での電気代。想定していた電気代を大きく超えました。

1.5万円/月で試算していましが、実際の平均電気代は2万円/月。年間で6万円のコストアップです。

原因は「冷暖房による消費量増加(+2万円)」と「高騰した電力単価(+4万円)」です。

支払った電気代は取り返せないので、設備導入とコスト削減を前倒し、急ぎ出血を止めるべきだと考えました。

災害リスクの増大

頻発する地震や豪雨被害を見ていると、自分達も同じように被災する可能性を意識します。

2019年台風15号では、土砂崩れによる送電設備の損壊や変電所の水没が長期停電を引き起こした一因とされます。

最近は台風だけでなく、線状降水帯による被害も報道されています。

昨年、町内・近隣自治体で大規模な土砂崩れも発生。改めて早急な災害対策の必要性を感じました。

設備の供給懸念

半導体不足の影響もあり、EVに限らず自動車全般の納期が長くなっています。

その他、家電や住宅設備でも在庫不足が深刻化。納期待ちの状況が続いています。

さらに折りからの電力不足。V2Hがニュースで特集されるなど注目度も上がり、在庫不足に拍車がかかっているようです。

以前は納期1ヶ月だったトライブリッドが現在は2.5ヶ月待ち。

オール電化の消費電力は冬がピーク。EVは手遅れですがV2Hはまだ間に合います。

状況が悪化する可能性もあり、結局買うのであれば、入手できるものは早めに入手と考えました。

補助金の拡充

最後は補助金の拡充です。今年からEVに対する補助金が大幅に増え、V2Hの補助金も充実してきました。

国・自治体の補助金を上手く使えば、EV・V2Hでの補助金は合計200万円前後。特に、V2Hでは負担額は2〜3割程度で済みます。

問題はどちらも供給不足による納期の遅れ。

CEV補助金

車の納入後1ヶ月以内の申請。既に納期が年度を跨ぐ車種も出始めています。今年度予算での申請はかなり厳しい状況です。

V2H補助金

「決定通知後の発注」「年度末までの実績報告」が補助金の条件。申請が増加し審査が遅れると、決定通知の受領も遅れます。

現時点で2.5ヶ月の納期を考えると意外と猶予はありません。

エネルギー計画 Ver.2の作成

エネルギーを取り巻く環境が大きく変化しているので、エネルギー計画を変更しました。

目指す絵姿(平常時)

入居4年目に完了する予定だったエネルギー計画を、1年前倒し入居3年目の前半で完了させます。

導入する設備

  • 日産 ARIYA B6
  • ニチコン 新型トライブリッド

この設備導入で目指す姿

  • 5kWhの太陽光発電により年間6,000kWhの発電を行う
  • トライブリッドを導入し、V2H・蓄電池(5kWh)併用で発電電力の90%を自家消費
  • EV(日産ARIYA)を導入しガソリン購入をゼロにする
  • 消費電力(7,000kWh/年)+ EV電力(2,000kWh/年)のうち、購入電力比率は40%に抑える
  • 購入電力の80%を深夜電気に集約する

想定されるエネルギーコスト

  • (深夜電気 7.2万円)+(昼間電気 2.6万円)ー(売電収入 1万円)=(①試算エネルギーコスト 8.8万円/年)
  • (実績エネルギーコスト 36万円 含む増加分)ー(①8.8万円)=(②エネルギーコストダウン 27.2万円/年)
  • (HV自動車税 4.5万円)ー(EV自動車税 2.5万円)=(③自動車税減額 2.0万円/年)
  • (② 27.2万円)+(③ 2.0万円)=(④ 全体コストダウン 29.2万円/年)

目指す絵姿(災害時)

トライブリッドを導入することで、家全体をバックアップする全負荷の災害対策が出来上がります。

EVに関する補助金

電力供給が止まった場合

  • 太陽光稼働時は発電電力を家全体に供給。余剰分は蓄電池・EVを充電
  • 太陽光が止まっている時間帯は、蓄電池・EVの電力を家全体に供給
  • 災害状況・発電状況から日当たりの消費電力を増減。自立期間を調整
  • 太陽光が被災した際は、EV・蓄電池の電力のみを供給
  • V2Hやトライブリッド本体が被災した場合、EVと家を直結し電力供給

申請する補助金

補助金がかなり手厚いことも、このタイミングで計画を実施する理由。調べた結果、以下の補助金が活用できそうです。

EVに関する補助金

  • EV補助金(国):EV購入後の申請。アリアB6の場合は85万円(自動運転だと+α)
  • EV補助金(町):登録前に決定通知必要。1台あたり5万円
  • EV補助金(県):登録前に決定通知必要。ただし2022年度は約1ヶ月で受付終了

V2Hに関する補助金

  • V2H補助金(国):発注前に決定通知必要。トライブリッドの場合、最大75万円(機器)+最大40万円(工事費用)
  • V2H補助金(県):工事前に決定通知必要。ただし、V2H・太陽光・EVの3点セットが必要。最大30万円

その他の補助金

  • 太陽光補助金(町):工事前に申請。最大5万円
  • 蓄電池補助金(町):工事前に申請。最大5万円

EVが来年度登録予定なので V2H(県)は不可。EV(県)が来年度で申請できれば、215万円の補助金を試算しています。

回収イメージ

一通りの数字が出揃ったので、コスト回収までのイメージをまとめます。金利を除いた場合約12年で回収
(金利は支払い期間によるので除外。+2年ぐらいのイメージ)

長いか短いか意見が分かれるところです。災害リスクや電気代の再値上げを加味して、我が家は「導入」という結論に至りました。

価格 備考
トライブリッド+太陽光 430万円 創蓄連携パワコン・V2H・太陽光・蓄電池(共に5kWh)
日産 ARIYA B6 530万円 プロパイロット2.0は付けず
補助金合計 ▲215万円
HV車相当額 ▲400万円 ハリアーHV Gグレード 2WD・非常給電OPあり
①設備導入の純コスト 345万円 HV車相当額と補助金を除いた設備・EV費用
②年間コスト削減額 29万円 「目指す絵姿(平常時)」で算出した年間のコストダウン額
回収期間(①÷②) 約12年 金利を除いた費用回収期間

※トライブリッド+太陽光の価格は工事費込みなので、配線状況によって変動します。太陽光の屋根保証もありハウスメーカーに依頼。配線系統を知っているので話が早いです。

※V2Hは、トライブリッドの他「EVパワーステーション」も選択肢。制約はありますが、全体で100万円超安くなり回収期間も3年以上短縮できます。

※日産 ARIYA B6を選びましたが、日産LEAFだと同程度のバッテリーを積んでも100万円安くなります。回収期間は3.5年短くなります。

最後に

トライブリッド導入の皮算用として、導入を決めた理由を紹介しました。

ARIYAは発注済みですが、補助金はまだ申請途中、リフォームローンの審査もこれからなので「皮算用」にしています。

4年前、新築計画を始めた頃からV2Hは欲しい設備に含めていましたが、EVといえばLEAFしか選べない状況で太陽光も含めて先送りを決めました。

ついに軽自動車のEV(日産サクラ・三菱EKクロス)も発売となり、いよいよ普及に向けて動き出したように感じます。

次回はそんなEVの話。「V2H導入#2 EVで大丈夫?車は電池?EV7車種を乗り比べた結論」について紹介します。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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