2022年の年明け、関東は4年ぶりの大雪に見舞われました。24時間稼働を開始した床暖房のおかげで室内は快適そのもの。そんな年始の朝突然インターホンがなりモニター越しにお隣さんの姿。
「エコキュートの音がひどく眠れない。暖房の室外機はお互い様だとは思うが、エコキュートは前から気になっている。窓に防音材を貼って我慢してきたが、昨日の振動は酷すぎる。なんとかして欲しい」
ヒートポンプの騒音でお隣から苦情がきました。お隣さんの理解もあり大事にはなりませんでしたが、言う方も言われる方も気まずさが残ります。今回の記事では、ヒートポンプの騒音問題を実体験を交えて紹介します。今後新築予定の方の参考になればと思います。
今回の記事のポイント
- 深夜のヒートポンプはうるさい
- 認識が甘いと知らないうちに騒音加害者
- 苦情対策の鍵は「時間帯」と「出力」
- 新築でチェックしたい騒音ポイント
- オール電化は脱深夜時間が重要
目次(ジャンプできます)
エコキュート・床暖房はうるさいのか?
何かと騒音問題で話題になるヒートポンプ(エコキュートやエアコン、床暖房)について、公的な基準値・規制についてまとめました。
騒音に関する数字を確認
生活騒音に関するパンフレット「生活騒音 互いの思いやりで騒音のない社会を」(環境省)によると、戸建て住宅地は
- 昼間は40〜45dB
- 夜間は35〜40dB
図書館の館内が40dBなので、戸建の住宅地は図書館並みの静かさです。
また、環境省が定める環境基準によると、住居専用地域の騒音基準値は「昼間(6時〜22時)は55dB以下・夜間(22時〜6時)は45dB以下」です。
この環境基準を基に各自治体が「受忍限度(我慢できる限界の目安)」を決めます。神奈川県(除く横浜市・川崎市)の住居専用地域の場合、
- 8時〜18時:50dB以下
- 6時〜8時・18時〜23時:45dB以下
- 23時〜6時:40dB以下
と条例で定められています。トラブルになった際は、(法律・条例では)この受忍限度を基準に生活騒音が判断されます。
設置設備の運転音
(エコキュートなどの)ヒートポンプの運転音は45dB前後ですが、メーカーの取説を確認すると「中間期:55dB・冬期:58dB」との記載されています。
少し分かりにくいですが、「2018年に運転音の測定方法が変更され数値が大きく表記」されています。(一社 日本冷凍空調工業会)
- 〜2018年:音圧レベル
- 2018年〜:音響パワーレベル
一説には11dB程度大きく表記されるそうで、この点を踏まえると、ヒートポンプの運転音は「45dB」前後で良さそうです。
低周波について
「エコキュートなどのヒートポンプ」や「エコジョーズなどのコージェネレーション」では低周波(1〜100Hz)もトラブルの原因とされています。
国が明確な基準を出している騒音と異なり、低周波は影響を判断するための「参照値」(目安値)が示されています。具体的な低周波トラブルは大きく2つあります。
- 窓や扉といった建具が揺れたり、がたつく
- 人に不快感や圧迫感をあたえる
「参照値」では、2つのトラブルを分けて「周波数(Hz)」「音圧(dB)」の値が細かく記載されています。(低周波音問題対応のための「評価指針」・環境省)
ヒートポンプによる低周波トラブル
原因を特定しやすい「建具の揺れ・がたつき」に対して、「人が感じる不快感や圧迫感」は、原因が多岐に渡り低周波の影響を特定しにくくなります。
「地方公共団体担当者のための 省エネ型温水器等から発生する 騒音対応に関するガイドブック」(環境省)では、低周波トラブルの特定に関して次のように記載されています。
- ヒートポンプの音にはトラブルの原因となる特定の低周波音が含まれる
- 特定の低周波音でも一定の音圧(dB)に満たないものは聞こえない
- 低周波の影響判断では「参照値(周波数と音圧)」を基準とする
注目したいのは2点目。一定の音圧(dB)以下におさえれば、低周波自体が聞こえない可能性があります。「出力を下げるて騒音を減らす」ことで、一定の効果がありそうです。
ただし注意点もあります。人の耳は低周波域の音が苦手で感じ方には大きな個人差があります。「参照値さえ下回れば聞こえない」は期待しすぎのようです。
やはり、ヒートポンプはうるさい
ここまでの話をまとめると、「騒音」では、
受忍限度と運転音を比べればヒートポンプは「うるさい」
という結論になります。また、低周波トラブルに関しては
ヒートポンプの音は問題となる低周波を含む。個人差はあるがとても不快なもの
当然のようにヒートポンプを深夜に動かしてきましたが、近隣への配慮が必要な設備という事がよくわかりました。
次のページでは「我が家が騒音加害者になった理由」を紹介します。