新居に引っ越して最初の冬だった咋シーズン。オール電化の暖房費は想像がつかず、床暖房は深夜3時から朝7時だけ動かしていました。蓄熱式なので昼までは暖かいのですが、夕方になると床タイルはキンキンに冷え始め、夜にはエアコンが必須でした。
そんな頃に見つけた「エアコンは24時間稼働にしても思ったほど電気代は上がらない」という記事。「スタートアップ電力」≒「室温維持の電力」という理屈です。「それならば床暖房の24時間稼働はどうか?」と思い床暖房の取説を確認すると「連続運転を推奨」との記載。
先シーズンは「初めてのオール電化」「比較対象がない」ので断念しましたが、2シーズン目のこの冬、24時間×4ヶ月稼働を試してみました。
結果としては…24時間稼働でOK!- 床暖房:¥19,440/月@600kWh、エアコン(試算):¥15,257/月@474kWh(共に燃調・再エネ込み)
- エアコンと蓄熱床暖房を併用した昨年比では、電気の消費量は思ったほど変わらず
- 昼間電気の消費増に、電気単価高騰が輪をかけて電気代としては大幅増
- それでも、床暖房のつけっぱなしの快適さを考えると十分に許容範囲
今回の記事は「この冬のオール電化、電気代に関するトピック」の2回目です。前回記事、今後の予定は以下の通りです。
5連載の題目
- 電気代値上げ!この冬、電気代はいくらだったか?
- 蓄熱式床暖房を24時間稼働にした結果(今回の記事)
- 騒音で苦情発生!エコキュート・床暖房の騒音対策
- 融通が効かないエコキュートの設定変更
- 結局、オール電化にはどんなメリットがあるのか?
目次
我が家の床暖房仕様
電気代の話の前に、まずは我が家の床暖房の仕様を紹介します。75畳と大型の床暖房です。
温水式の蓄熱型床暖房
「床を暖める方法」と「使用するエネルギー」の違いから、床暖房には複数の種類があります。その中で、我が家は「ヒートポンプを使った蓄熱式温水床暖房」。下図は仕組みのイメージです。
この方式のメリット
- ランニングコストが安い:消費電力の3倍に相当する熱を生み出す「ヒートポンプ」を使うため、他の方式よりランニングコストが安くなる
- 深夜電気を活用できる:単価の安い深夜電気で温水を作り、送水パイプ周りのモルタル層に蓄熱させるので、電源を切っても一定時間は暖かい
- 温度ムラが起きにくい:モルタル層全体を温める床全体で放熱するので、温度ムラが発生しにくい。
- 大規模な暖房が得意:ランニングコストが安く温度ムラが起きにくいので、広範囲を全体的に温める暖房が得意
この方式のデメリット
- 初期投資が高額:ヒートポンプ・熱交換器・床下配管・モルタル層が必要なので、費用がかかる
- 基本新築時に施工:床下の配管・モルタル層は新築でないと施工しづらい
- 即効性ははない:床全体に温水の熱を蓄熱させるので、温まるまでに時間がかかる
- 細かい調整は不可:配管は1本なので、特定の部屋だけONや温度を上げるといった細かい調整はできない
屋内床の大半がタイル床の我が家にとって、部分的でもキンキンに冷えたタイルは不可。広範囲を暖めランニングコストを抑えられる点で、「ヒートポンプ+温水蓄熱式」の組み合わせ以外ありませんでした。
三菱電機エコヌクールレオ
ヒートポンプと熱交換器には、三菱電機のエコヌクールレオを使用。床暖房範囲が70畳を超える場合、ヒートポンプは2台必要です。75畳の我が家も2台設置されています。
取説を確認すると、エコヌクールの先に設置されるシステムによって、大きく2つの構成に分かれています。
- 床暖房システム:複数のリモコンで運転・停止、室温・循環水の温度を調整できるタイプ。
- 簡易(パネルヒーター)システム:1つのリモコンで、運転・停止、循環水の温度のみ調整できるタイプ。
違いが分かりにくいですが、1は「複数リモコン・室温でも調整できる」2は「単一リモコン・循環水の温度調整しかできない」という違い。我が家は2のタイプなので、床暖房の温度調整は、床下を流れる温水の温度を変えるのみです。
例えば、「外気温6度・水温45度に設定すれば、室温は20度ぐらい。寒ければ水温UP」という要領です。最初は分かりませんでしたが、1シーズン使うとなんとなく分かります。少しトリッキーですが、慣れればこれで十分です。
出来る事
- タイマーを2つ設定可能:24時間時計に30分刻みで「ON・控えめ(設定水温▲5度)・OFF」を設定。深夜電気時間はON、昼間電気時間はOFFといったスケジュールが作れます。
- 2種類の自動運転(自動1・自動2):どちらも温水温度を自動で上下し消費電力を削減します。自動2にすると、常時、自動1から▲5℃になります。
- パワーセーブ運転:室外機の出力を抑えることで消費電力を抑制。暖まりに時間はかかるが、騒音を抑えるには有効。
- 電気代表示:ヒートポンプの消費電力を電気代(単価¥27/kWh)で表示。消費電力は逆算で。最大6件の保存機能があり、月1保存で半年分はモニター可能。
出来ない事
- 部分的な調整不可:部分稼働や部分的な温度設定も不可。全体ONか全体OFF、全体温度UPか全体温度DOWNです。
- 冷房用途:冷水を流せば床冷房としても使用可能。ただし、結露水を排水する設備が必要。我が家はこの設備がないので、冷房は不可です。
次のページでは「床暖房24時間稼働の電気代」を紹介します。