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75畳の蓄熱式床暖房、4カ月連続稼働した電気代はいくらだったか?

75畳の蓄熱式床暖房、4カ月連続稼働した電気代はいくらだったか?

昨シーズンは電気代の予想がつかず床暖房は深夜のみ稼働。夜はエアコンに頼る生活でした。今年はオール電化で迎える2回目の冬。年間の電気代イメージも出来上がり、今年は床暖房の4カ月連続運転を行いました。

今回の記事では、4カ月間・24時間で連続稼働した電気代を中心に、次の点についてまとめます。

結果としては…24時間稼働でOK!

  1. 温水蓄熱式床暖房とはどんなものか?
  2. 電気代の高騰・昼電気消費の増加で、電力消費の割に電気代は高かった
  3. 想定外の騒音苦情も発生
  4. 電気代・騒音にはタイマー・出力設定で対応
  5. 色々大変だったが、床暖房の連続稼働は快適すぎ。来年以降も継続決定

新築時の参考になればと思います。

温水蓄熱式床暖房とは?

まずは我が家の床暖房の仕組みを紹介します。屋内床のほぼ全面に施工したため、床暖房範囲は75畳と広範囲です。

温水蓄熱式床暖房の仕組み

「床を暖める方法」と「使用するエネルギー」の違いから床暖房には複数の種類があります。その中で、我が家の床暖房は「ヒートポンプを使った温水蓄熱式」。図解すると下記の通りです。

温水式床暖房の仕組み

温水蓄熱式のメリット

  1. ヒートポンプのため消費電力が少ない
  2. モルタル層が長時間放熱するので深夜電気を活用できる
  3. 家中のモルタル層が放熱し場所ごとの温度ムラが小さい
  4. 家中に温水パイプを設置するので広範囲を温めやすい

温水蓄熱式のデメリット

  1. ヒートポンプ・熱交換器・床下配管・モルタル層と設備・施工費が高額
  2. 床下配管・モルタル層は新築時しか施工できない
  3. 床全体が蓄熱・放熱するまでに時間がかかる
  4. 1本の配管なので特定の部屋だけを温めることはできない

屋内床の大半がタイル床なので、冬は裸足では歩けないほどキンキンに冷えます。家中の床・空気を暖められ消費電力も少ない「ヒートポンプ+温水蓄熱式」は、最適な選択肢でした。

三菱電機エコヌクールレオ

ヒートポンプと熱交換器は「三菱電機のエコヌクールレオ」です。床暖範囲が70畳を超えるとヒートポンプが2台必要。我が家も2台設置されています。

組み合わされる床暖房の種類によって、エコヌクールの操作機能が異なります。違いは次の通り。

  • 床暖房システム:リモコンは複数可能・室温と循環水両方で温度調整可能
  • 簡易システム:リモコンは1台のみ・循環水の温度のみ調整可能(我が家はこちら)

「お湯の温度を調整して室温を変える」というトリッキーな設定方法ですが、1シーズン使えば想像できるようになります。

実際は自動運転

メーカーの推奨は「(水温)自動運転」のようです。1シーズン目は水温設定を手動で変えてましたが、自動運転を知った2シーズン目は設備におまかせ。便利です。

タイマー・自動運転の設定

エコヌクールレオの設定で「出来る事」と「出来ない事」をまとめました。検討中の方は参考にしてください。

設定できる機能

  • タイマー:24時間時計に30分刻みで「通常・控えめ・OFF」を指定。タイマーは2パターン設定可能。
  • 自動運転:外気温に応じて水温を上下。出力は2段階(自動1・自動2)あり切り替えは手動。
  • パワーセーブ(手動切替)で室外機の出力を抑えられる。暖まるには時間がかかるが、騒音対策や電気容量不足には有効
  • 電気代を表示可能。最大6件の保存が可能で、手動で毎月保存すれば半年分モニター可能

タイマーの「控えめ」は「通常」から水温▲5度。「自動2」は「自動1」から水温▲5度。組み合わせると次の3パターンが作れます。

  1. 「通常」×「自動1」= 高水温設定
  2. 「通常」×「自動2」=「控えめ」×「自動1」= 中水温設定
  3. 「控えめ」×「自動2」= 低水温設定

「通常・控えめ」はタイマーで自動的に切り替わるのに対して、自動運転(自動1・2)は手動切替です。実際の使い方は、タイマーを1つ固定し「12〜2月は自動1」「11月・3〜4月は自動2」に切り替えて使います。

※ただし「床暖房システム」と「簡易システム」では「控え目」のみ設定室温から▲3℃になります。水温自動と組み合わせると4種類の運転パターンを作れます。

暖房だけじゃなく冷房も

配管に冷水を流せば床から冷やす「床冷房」も可能です。配管周りの結露対策設備が必須。我が家はその設備がないので冷房は不可です。タイル床は夏でも冷たいので効果があるのかは不明。

4カ月間連続稼働、気になる電気代は?

ここからは4ヶ月間24時間稼働した消費電力・電気代について紹介します。

昨年との消費電力の比較

昨年は深夜時間(1〜6時)のみ床暖房を稼働。日中は床暖の蓄熱のみで過ごし、夕方18〜23時は2台のエアコン(LDK200Vと寝室100V)を使用。今年は24時間床暖房を稼働しエアコンは一切使用していません。

電力単価(燃調費・再エネ)が大幅に高騰していて電気代では比較できません。このため消費電力量で比較しました。

昨シーズンの消費電力 今シーズンの消費電力 増減
11月 引っ越し前 (529kWh)
12月 996kWh 954kWh ▲42kWh
1月 1,157kWh 1,173kWh +16kWh
2月 832kWh 913kWh +81kWh
3月 664kWh 754kWh +90kWh
合計 3,649kWh 3,794kWh(除く11月) +145kWh

消費電力の数字を見て驚きました。12〜3月の4カ月で昨年と比較して145kWhしか増えていません。冷暖房を使わなかった10月(400kWh)を基準にすると1月の床暖房消費電力は800kWh。

平均電力単価(24.1円/kWh)で計算すると「従量(800kWh×¥24.1/kWh)+燃調・再エネ(800kWh×¥8.3/kWh)=¥25,920/月」が床暖房連続稼働の電気代です。

エアコンの電気代は?

4台のエアコンを常時稼働した場合、消費電力は1カ月515kWh(試算)。電気代を計算すると「従量(515kWh×¥24.1/kWh)+燃調・再エネ(515kWh×¥8.3/kWh)=¥16,686/月」になります。

即効性があるので必要なければOFFにできます。電気代だけ比較すればエアコンの方が圧倒的に安いです。

今後も連続稼働をするか?

昨年比では消費電力は変化ありませんが、エアコンとの比較では電気代は明らかに高額。夫婦で話し合い「今後も床暖房は連続稼働にする」と結論づけました。

床暖、連続稼働を決めた理由

  1. 家中どこへ行っても室温が一定で快適。一度体験すると手放せない。
  2. エアコンではタイル床までは温まらない。裸足で歩けるメリットは大きい。
  3. 空気が乾燥せず風で埃が舞い上がることもない。
  4. 電気代は上がるが1〜3月の期間限定。年間で考えれば許容できる範囲。
  5. 電気単価を揃えて計算すれば、賃貸マンションの電気+ガスに比べて遜色ない。広さ3倍と考えるとむしろ安い。

電気代以外の課題

今回の床暖房連続稼働では、電気代以外に大きな問題が発生しました。

正月明けの大雪の夜ですが、エコキュートのヒートポンプ・床暖房のヒートポンプ(合計3台)が高出力で稼働。翌朝、お隣さんから苦情が来ました。騒音と振動がかなりひどかったようです。

連続運転が原因で低音時の騒音や振動が発生したわけではありませんが、

  • 連続稼働により常に音・振動が発生していた
  • 電気代の安い深夜に床暖の出力を高めに設定していた
  • タイマー・自動運転に任せきりで高出力運転に気づかず

こういった事が重なり合い苦情に至った要因だと考えています。この点は、電気代とあわせて考えるべき課題です。

課題をクリアするための調整

今後も床暖房を連続運転すると決めましたが、高騰する電気代・騒音問題から連続運転の「タイマー設定」を考える必要があります。

連続運転のタイマー設定を考えるポイント

ポイントは次の3点で、これをもとに「連続運転」での「2種類のタイマー設定」を作成します。

  1. 必要な暖房強度を月・時間で分ける
  2. 騒音対策のため出力抑制する時間を決める
  3. モルタルの冷え切りを防ぐため「暖房不要」でも「控え目」で運転とする

さらに、上記3点に加えて「出力抑制機能」を使い突発的な高出力を防ぐように設定します。

月毎(11〜4月)の暖房強度

11月〜4月の間で必要な暖房強度を月毎に決めました。

11月 12月 1月 2月 3月 4月

この設定は手動設定する「自動運転(自動1・自動2)」で調整します。「強」は「自動1(通常出力)」とし、「中」「弱」は「自動2(▲5℃)」で設定します。

暖房が必要な時間帯

オール電化なので6時〜25時までは電力単価が高くなります。この時間帯での高出力稼働を減らすため、「本当はいつ暖房が必要なのか」をあらためて確認しました。

0時〜6時 6時〜10時 10時〜18時 18時〜23時 23時〜0時
暖房不要 しっかり暖房 そこそこ暖房 しっかり暖房 そこそこ暖房
  • 深夜0時〜6時はしっかり暖房だと暑くて目が覚めるほど。暖房不要。
  • しっかり温めておきたい時間帯は、朝夜の気温が低く建物が冷える時間帯。
  • 昼間の10時〜18時は日射もあるので蓄熱を放出するだけで十分。

騒音対策の時間帯

深夜は周辺も静かになるため、昼には気にならない音もよく聞こえます。特に寝入りの時間帯は騒音・振動共に気になる時間帯。23時〜4時までの間は必ず出力を抑制する時間帯としました。

再設定した2種類のタイマー

時間帯による暖房要否・騒音対策を考えて、新たに2種類のタイマーを再設定しました。

時間帯 0時〜4時 5時〜10時 10時〜17時 17時〜22時 23時〜0時
タイマー1 控え目 通常 控え目 通常 控え目
タイマー2 控え目

タイマー1は12月〜3月で使用し、タイマー2は11月・4月での使用を想定。3種類の運転パターンを以下の通り使用し出力を調整していきます。

床暖運転の3パターン

  • 11月(暖房強度=弱):タイマー2×自動2
  • 12月(暖房強度=中):タイマー1×自動2
  • 1月・2月(暖房強度=強):タイマー1×自動1
  • 3月(暖房強度=中):タイマー1×自動2
  • 4月(暖房強度=弱):タイマー2×自動2

床暖房の運用方法

月毎にタイマー1/2・自動1/2を切り替えて連続運転しますが、冷え込みが厳しい夜・降が降っている夜は騒音対策として「タイマー2×自動2」に切り替えます。

太陽光発電・V2H・蓄電池の必要性

昼の割高な電気を削減するには太陽光の導入が一番です。日出前・日没後も割高な電力なので、蓄電池やV2Hなど安い電気を貯めて使う仕組みも効果があります。特に騒音や振動は、動作時間を昼にシフトするだけで聞こえ方が全く違います。

近隣トラブルを回避するにはこういった設備を使って稼働時間をずらすことも必要。電気代(特に再エネ・燃調費)も削減できるので、オール電化で果たせる役割は大きいと思います。

床暖房24時間稼働のまとめ

今回は床暖房の4カ月連続稼働について、電力消費・電気代・騒音対策の観点からまとめました。

電気代に限らず光熱費全般は、今後も上昇する見込み。家計は厳しくなる一方です。

さらに、先日の地震や都内の停電のように、オール電化には災害・停電リスクがついて回ります。応急的なHVを使ったバックアップ策はありますが、高騰する電気代対策と併せて抜本的な災害対策も必要だと感じます。

ニチコンのトライブリッドが新型になり、トヨタ・スバルのEVも本格的に動き出します。補助金も手厚く設定されるので、そろそろ具体的なアクションに向けて皮算用を始める予定です。

最後まで読んでいただき有難うございます。次回は、文中触れた「エコキュート・床暖房の騒音問題」に関して紹介します。ネットでも見かけるオール電化の闇の部分です。

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