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窓を制す施主は平屋を制す!平屋の弱点と弱点を補う窓選びのポイント

ワンフロアで全ての作業が完結するシンプルな動線が魅力の平屋住宅。実際に2年生活しこのメリットを身をもって感じています。一方で、ワンフロアの平屋ならではの弱点も多くあり、特に窓まわりに集中しています。そこで今回の記事では、「窓を制す施主は平屋を制す」というテーマで

  • フラットな平屋の弱点(窓まわり)
  • 弱点を補う窓選びのポイント

について、生活して感じることを交えて紹介します。

高気密・高断熱が求められ窓にかかる費用は膨らむ一方です。さらに、住宅・建材価格が高騰し以前にも増して予算を効率良く分配することが重要になっています。特に割高な平屋は不要なものを削ぎ落とす冷静でシビアな判断が必要。そんな判断の一助として、平屋を新築予定の方、間取り検討中の方のお役にば嬉しいです。

前回の記事では「我が家の大活躍窓と残念窓」を紹介しました。「設置した意図」と「実際の活用状況」を窓毎にまとめてます。(その窓は必要?つけて良かった大活躍窓とつけなきゃ良かった残念窓

フラットな平屋の弱点

リスト平屋の弱点

最初に平屋の弱点をまとめます。ワンフロアという建物の特徴に起因するものばかりです。

夏暑く冬寒くなりやすい

平屋は同じ延べ床面積・屋根形状の2階建て住宅に比べて「外皮面積」が大きくなります。結果、夏暑くて冬寒い家になりやすいという弱点があります。

  • 2階建て住宅:上下階があるため1階の天井・2階の床は直接外気に触れない(=熱を奪われにくい)
  • 平屋住宅:ワンフロアなので天井の上は屋根、床下は基礎で直接外気に触れる(=熱を奪われやすい)

平屋の方が熱を奪われやすいので、同じ仕様・広さの2階建てと比べると平屋の方が断熱性能は悪くなります。このため、平屋にはより高度な断熱対策が必要です。

外皮面積について

外皮面積:外気(熱気や冷気)に触れる部分を合計した面積。「UA値(外皮平均熱貫流率)= 建物が失う熱量の合計 ÷ 外皮面積」のようにUA値の計算でも使われます。失う熱量が同じであれば、外皮面積が小さい方がUA値は小さく(断熱性が高く)なります。

平屋の場合、冷気・暖気に直接さらされる屋根・床が大きいの特に注意が必要です。

風通しが悪い

同じ延べ床面積30坪の家でも、間取りを水平方向に並べる平屋の方が「建築面積」は広くなります。建築面積が広い平屋は、風の入口・出口の距離が長くなり風が抜けにくい(=換気・通気しにくい)家になりがちです。

建築面積と延べ床面積

建築面積と延べ床面積は全く別物です。延べ床面積が同じ平屋と2階建では、(2階建ての1階2階を横に並ぶため)建築面積では平屋の方が広くなります。

  • 延べ床面積:建物の床面積を合計した面積
  • 建築面積:建物を上から見た時の面積(投影面積)

室内が暗くなりやすい

これも水平方向に間取りが広がる平屋の弱点です。例えば、南面の日当たりが良い土地に2階建て・平屋を建てる場合、

  • 2階建て住宅:1階・2階の南側に窓をつければ2フロアで南面を活用できる
  • 平屋住宅:南側に窓をつけても1フロアのみ。大半の部屋に光が届かない

光を取り込める面積が小さく家の奥まで日差しが届かないため、平屋は暗くなりがちです。

片流れ屋根+高窓

片流れ屋根で南面の軒高をあげれば、2段重ねの窓が設置でき採光面積を増やす事ができます。下段はカーテンで目隠ししても上段から光が入る目線対策もバッチリの方法です。

ただし、断熱・耐震・耐風・上段窓の開閉や掃除といった課題もあります。実際の生活をイメージしながらデメリットも含めて考える必要があります。

外部の目線と同じ高さ

どんな建物でも1階は外部の目線と同じ高さなので、目隠し(カーテンなど)が無いと家の中が丸見えです。

  • 2階建て住宅:LDKなど開放的にしたい空間を2階/寝室など目隠しが必要な空間を1階に配置
  • 平屋住宅:全ての空間が1階なので、外部の視線を避けるためには常時目隠しが必要。

この結果、同じ条件の土地であっても、2階の有無によって目隠しの必要性・室内の明るさ・陽当たりの活用で大きな違いが出てしまいます。

建物周りに死角が多い

平面に全ての部屋を配置する平屋は建ぺい率上限まで建物を広げることも多いです。その結果、隣家との境界・建物裏など見通しが悪く死角が増えます。

各部屋に窓を設置すると自ずと目が届かない奥まった窓もできます。そういった場所は日当たりも悪く使用頻度の低い部屋を設置しがち。さらに、こだわって凹凸の多い外観を作ると死角が増え、危険な窓の出来上がり。

周辺住宅に埋もれ人目につきにくい「平屋の奥まった窓」は空き巣にとっては格好のターゲットです。

眺望は期待できない

海に面した土地や高台の角地でない限り、周りの2階建てに埋もれる平屋では眺望は期待できません。平屋の建築費用は割高なので、好条件の土地で眺望まで求めると相当な予算になります。

我が家は雛壇地で敷地毎に高低差がありますが、それでも窓から見えるのは下側隣家の壁。眺望は期待できないと割り切って、他の楽しみ方を考えました。

弱点を補う窓選びのポイント

平屋の窓選びのポイント

ここからが本題です。ここまで紹介した平屋の弱点を踏まえて、平屋の窓選びで注意すべきポイントをまとめます。

最初からあった、目的不明は放置しない

先ほどの通り断熱・防犯で不利な平屋ですが、窓を決める際の重要ポイントは次の2点です。

  • 断熱:窓の断熱性能は壁より低く、窓を増やせば断熱性能は下がります
  • 防犯:侵入経路で最も多いのは窓。窓を増やすと侵入経路も増えます

図面を受け取ったら窓の位置・種類・設置目的を確認し、その窓の必要性を考えてください。納得できない窓を廃止し、その費用を他にまわせば満足度も上がります。「最初から図面にあった窓」「目的が分からない窓」を放置しないことが重要です。

あれもこれも多目的窓は注意

これは我が家の実体験です。通気・出入り・採光を期待して南面に掃き出し窓をつけましたが、防犯とプライバシーから目隠ししたままで目的を果たせない残念窓です。

問題は複数の目的を1つの窓に押し込んだこと。窓には目的に応じた最適な窓種があります。

  • 通気・換気:縦滑り出しのスリット窓
  • 採光:横滑りの高窓やFIXの大窓
  • 出入り:2重ロックのテラスドア
  • 眺望:FIXの大窓

例えば、換気用の窓を設置する場合、設置場所は換気に最適な対角線配置・窓種は安心して開放できるスリット窓がベスト。磨りガラスにすれば外部の視線も気にならず、耐震・断熱に与える影響もミニマムです。

これを我が家のように出入り口・採光と兼用して掃き出し窓にすると、配置は出入り場所に限定され、開けたまま離れられない不安な窓になります。さらに耐震・断熱面でもマイナス。テラスドアとスリット窓にしておけば、もっと活用できる窓になったはずです。

通気・換気は部屋毎・家全体で考える

風が抜けにくい平屋なので、家全体の換気がしやすいように窓を配置しました。その結果、全体換気に不満はありませんが、部屋毎の換気がしずらく不便に感じることがあります。例えば、

  • 犬のトイレ後の換気:冷暖房が効いているので換気は必要な場所に限定したい
  • コロナの最中:ウィルスを広げないために、(感染者が)寝ている部屋だけ換気したい
  • ホームパーティの時:集まる部屋は騒音対策で窓を閉め、他の部屋は窓を開けて換気したい

全体換気は考えましたが、個別換気は抜けていて換気効率が悪い窓配置。換気扇もつけていないので、急ぐときは全体に風を通して換気します。

通気窓は配置が重要

先ほど換気効率が悪いと書きましたが原因は窓の配置。我が家は2連のスリット窓を寝室と仕事部屋に設置してますが、1つずつ対角線に配置すべきでした。以下、効率良い換気のためのポイント3つ。

  • 風の入り口を狭くして風速を上げる
  • 出口を広くして排気を促す
  • 対角線に窓を設置して空間全体の空気を動かす

スリット窓は開き幅を調整しやすいので最初の2点は1連でも十分に調整可能。2連で1箇所に集中配置でなく、設置する場所を分けて対角線に配置したほうが効率が良かったはずです。1連窓と2連窓で風の入り具合を比べてみても、特に違いは感じません。

採光窓は目隠し無しを前提に

中庭を囲む形で大窓が6枚ありますが、どれもカーテンやスクリーンはつけていません。全て内向き窓で目隠しが要らないためです。一方で、寝室・客間の掃き出し窓は外に向くため、竹ロールスクリーンと障子で常時目隠しをしています。

どの窓も採光が目的に入っていますが、機能しているのは目隠し無しの中庭大窓だけ。平屋で視線を避けながら光を取り込むには、横に広い高窓や磨りガラスの地窓が最適です。目隠し無しで常時陽光を取り込めます。

種類・大きさは防犯を最優先に

最後に窓の種類と大きさですが、防犯を第一に考えることをお勧めします。「幅が狭くて侵入できない滑り出し窓」や「鍵の閉め忘れがないFIX窓」は防犯面では安心です。出入りするならテラスドアも安心です。鎌付デッドボルトや2ロック、屋外側に鍵穴を設置しないといった対策が可能です。(ただし、鍵のかけ忘れは注意が必要)

スリット窓の安全性

23cm幅の横滑りのスリット窓ですが全開すると開口幅は14cm程度。その気になれば侵入できる幅という意見もあるようです。

確かにそうかも知れませんが、近隣の住宅を含めると相当数の窓がある中から、14cmの開口部をあえて選ぶ理由は思いつきません。

また、防犯では「窓の対策+α」といった多重防護が重要とされます。αに何を入れるかは人それぞれですが、我が家はホームセキュリティを選びました。

その上で、まめに家周りの手入れをする、ゴミ出しでも必ず施錠、窓周りに物を置かないなど、その気にさせないように隙を作らない事を心がけています。

平屋の窓選びまとめ

平屋の窓選びについて思いつく事をまとめました。優先順位はそれぞれで、建築地の環境、間取り、家族構成でも異なります。平屋を建てるにあたり我が家が最も重視したのは防犯。ついで、採光・通気・断熱です。寝室・客間の残念窓(掃き出し窓)のように、プライバシーはちょっと甘く見ていました。せっかく開放的な中庭があるので、外向きには大きな窓は設置しないなどもっと振り切れば良かったと思います。

次回も窓の話が続きます。次回は切り口を変えて、窓選びで「やって良かったお勧めポイント」「やらずに後悔、やるべきポイント」を「窓の目的毎(採光、通気、防犯など)」にまとめます。

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