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その窓は必要?平屋の「大活躍窓」とつけなきゃ良かった「残念な窓」

平屋に住んで2年が経過し、設計通りに活用できている窓や活用できていない窓が分かってきました。平屋はその建物特性から「採光」「通気」「防犯」「プライバシー」と窓周りの設計がとても重要です。さらに、建材価格の高騰や要求性能(気密・断熱・耐震)から考える事は増える一方です。

そこで今回の記事では、我が家がつけて良かった「大活躍な窓」と無くて良かった「残念な窓」を紹介。さらに、それぞれの窓について「設計時に期待したこと」「大活躍している理由」「残念な理由」も併せて説明します。「満足度の高い窓設計」や「効率良い予算配分」の参考になれば嬉しいです。

採用した窓と選んだ理由

まずは設計段階の話。我が家が「採用した窓」「期待した事」から紹介します。

我が家の窓スペック

我が家が採用した窓グレードは以下の通りです。残念ながら廃番になりましたが、価格と性能のバランスが取れた良い窓です。

  • 製品名:リクシル サーモスX
  • サッシ仕様:樹脂・アルミ複合サッシ
  • ガラス仕様:トリプルガラス、クリプトンガス入り、Low-Eグリーンガラス
  • 熱貫流率:1.03W/㎡・K

※この家で2年暮らしてますが、結露は一度も経験していません。

中庭に面したLDK

中庭に面するLDKには4種類の窓を設置しました。全ての窓の目的がはっきりしている事が特徴です。

  1. 日差しを取り込むFIX窓(幅1.6m 高さ2.4m×2枚)
  2. 中庭に出入りするテラスドア(幅90cm 高さ2.4m・ガラス)
  3. 換気用の横滑りの高窓(幅1.7m 高さ60cm×2枚・磨りガラス)
  4. 換気用の縦滑りスリット窓(幅30cm 高さ2.3m・磨りガラス)

どの窓も水平方向に広い平屋の弱点を克服するために設置しています。具体的には、

  • 平屋は暗い:大きな窓とガラスのテラスドアで中庭から日差しを取り込む(1/2)
  • 風通しが悪い:侵入できない大きさ・高さで常時開放できる換気窓(3/4)

選んだ窓種(FIXや滑り出しなど)にも理由があります。

  • FIX窓:採光用なので開く必要はない。気密性が高く閉め忘れリスクもない
  • テラスドア:ドアとして設計されていて気密性や防犯性能(2ロックなど)が高い
  • 横滑り高窓:気密性が高く侵入できない開き幅
  • 縦滑りスリット窓:気密性が高い、幅が狭くて防犯性能が高い、狭いので耐震性も高い

LDKの窓設計では建築士・ハウスメーカーの意見がとても頼りになりました。

設計時は納戸だった書斎

在宅勤務時に活躍する書斎は元々納戸の予定でした。窓は最低限にとどめ、通気用のスリット窓(磨りガラス)のみ。

  1. 換気用の縦滑りスリット窓(幅30cm 高さ2.3m×2枚・磨りガラス)

LDKと同じスリット窓を2連で設置。家の南北(LDKと書斎)にスリット窓を設置することで、家中の空気を大きく動かす設計です。全面道路に面する南面ですが磨りガラスなので目隠不要です。

南向きで日当たりの良い客間

来客時に活躍する客間ですが、椅子生活に疲れたときにゴロンと横になれる床座空間です。

  1. 引き違いの掃出し窓(幅1.6m 高さ2.2m・フルハイト・障子あり)

LDKと異なり複数の目的をまとめてこなす窓として、掃出し窓を選びました。

  • 採光:日当たりの良い南面の陽光を取り込む
  • 通気・換気:外庭の緑を抜けてくる風を取り込む
  • 出入り:ウッドデッキを設置して縁側のように寛ぐ

平屋を建てる時点で、縁側でお茶を飲む日本の原風景的なイメージを持っていました。このイメージを叶えつつ、採光や通気もできる一石三鳥の窓だと考えました。(今から思うとこの一石三鳥が残念窓の原因です。)

隣家の影に入るが南向きの寝室

寝室も南側の外庭に面した日当たりの良い場所ですが、南西角に位置するため昼過ぎから隣家の影に入ります。

  1. 換気用の縦滑りスリット窓(幅30cm 高さ2.3m×2枚・磨りガラス)
  2. 引き違いの掃出し窓(幅1.6m 高さ2.2m・フルハイト・竹ロールスクリーン)

毎日使う寝室ですが、和室なので布団の上げ下ろしで埃がたちやすく換気用にスリット窓を採用。人目につきにくい犬走側に2連で設置してます。さらに、客間と同じく採光・出入り・換気を目的にフルハイトの掃出し窓を設置しました。

寝室への通り抜ける浴室・ランドリー

ランドリー・浴室は寝室・WICとつながりプライベート動線を作っています。このため、寝室の換気用スリット窓と合わせて設計しています。

  1. ランドリーには乾燥機・浴室からの熱気を排出する横滑り高窓
  2. 浴室には換気用の横滑り窓

ランドリーの高窓は暖かい空気が高窓から抜ける設計で、寝室から入る外気の抜け道にもなります。途中にあるSICの空気も動くので、カビが生えやすいクローゼットも常時換気できます。

浴室の換気窓は要否で意見が分かれました。TOTOは窓を閉めて換気扇を使うことを推奨しています。隣家の影に入る犬走に面した窓なので、防犯の観点からも活用しないだろうと考えていました。必要だという声に押されたこと、新春キャンペーンで浴室代はタダ同然だったので、設置することに決めました。

プライベートスペースの扉を閉めた状態でも、来客の目を気にすることなく換気できるようにという設計です。

よく使う大活躍の窓とその利点

ここまで設計時の思惑を紹介しましましが、思惑通りにいかないのが初めての家づくりです。2年も暮らすと使う/使わないがはっきりしてきます。思惑通りかそれ以上で大活躍している窓を紹介します。

LDKの窓は全部大満足です

まずはLDKですが、全ての窓が思惑通り大活躍です。大活躍ポイントをまとめると、

  1. 高窓・スリット窓:人が通れない大きさなので常時開放できる
  2. FIX窓・テラスドア:気密性・防犯性が高くたっぷりの日差しを取り込める

高窓・スリット窓は人が通れないサイズなので安心して開けておけます。家の四隅に設置して風の通り道を作ると特に効果的。水平方向に広く換気に時間がかかる平屋におすすめの窓です。

FIX窓とガラスのテラスドアも大満足。たっぷりの日差しを取り込む明るい平屋になりました。

そもそも開かないFIX窓と2ロック・デッドボルトを備えるテラスドアは、採光・出入り目的の窓としては最も防犯性の高い組み合わせです。さらに、窓構造から気密性も申し分なし。中庭を囲み6枚のFIX窓・2枚のテラスドアが設置しましたが、C値は0.5㎠/㎡と十分すぎる結果です。

開けておける書斎・寝室のスリット窓

続いては書斎・寝室のスリット窓ですが、

  1. スリット窓:プライベート動線をまとめて換気できる

LDKと同じく常時開放でき離れても安心の細い窓。LDKと書斎のスリット窓を開けると家中の空気が一気に動き出します。今の季節は新緑の爽やかな香りと共にフレッシュな空気が流れ込み、朝は特に清々しい。大満足です。

寝室のスリット窓は犬走に面するので死角に入り本来なら開けにくい窓。それでも開けたままにできる理由は幅狭のスリット窓であること。この窓はランドリーの高窓とセットで風の抜け道を作っています。

手軽に開閉できるランドリーの高窓

最後にランドリーの高窓。

  1. 電動で手軽に開閉できる高窓

乾燥機を使う時、入浴後に開けておくと室温が全然違います。暖かい空気が上に上りそのまま高窓から排出されます。洗濯機・洗濯カゴなど物が多いランドリーですが、リモコンのボタンひとつで開閉できる点も積極的に活用できる理由です。

リクシルの電動ユニット

重宝している電動開閉窓ですが動作音は結構大きめです。初めて動かした時は驚きました。また、短時間ですが消費電力も予想以上に大きいです。その他、停電時は開閉できないなどデメリットもありますが、高窓のような開け閉めしずらい窓には効果的です。

大満足の窓に共通するポイント

大満足の窓に共通するポイントは、

  1. 窓を設置する目的が絞れている
  2. 目的に最適な窓種
  3. 目的に最適なサイズ・配置

大満足な窓はどれも目的が絞られ、あれもこれもと複数の目的を兼ねていません。その結果、窓ごとの目的に最適な種類・大きさ・配置を選択でき、安心で使いやすい窓になっていると思います。

全然使わない残念な窓と共通する問題点

ここからは後悔だらけの残念な窓です。費用をかけて設置しましたがほとんど使わず。どうすれば使いやすい窓になったのか反省点を踏まえて紹介します。

客間と寝室の引違いの掃出し窓

この家に住んで2年経ちましたが、客間と寝室にある引き違いの掃出し窓がダントツの残念窓。窓を開けるのは月に数回程度です。

  1. 通気:大きく開くので開けたままにできない
  2. 採光:外から丸見えで障子やスクリーンは閉じたまま
  3. 出入り:外庭に出入りすることはほとんどない

通気・採光・出入りとと3つの目的で掃き出し窓を選びましたが、生活してみるとどの目的にも使いにくい窓です。換気のために開けておくと不安、目隠しがないと丸見えで出入りどころか採光すら機能せず。残念ながら気密性を下げるだけの窓です。平屋と引き違いの掃き出し窓は相性悪そうです。

浴室の横滑り窓

もう1つの残念窓は浴室の横滑り窓。

  1. 思ったより大きく開くので不安
  2. 犬走りに面するため人目につきにくい

浴室窓は空き巣などの侵入経路で上位に入るそうです。人目につきにくい場所に設置されるので侵入経路としては好都合です。横滑り窓なのでまだマシですが、思ったより大きく開き不安になります。日に何度も行く場所ではなく、閉め忘れると気づきにくいのも難点です。

結局、浴室に窓は必要?

換気用の窓は使わなくても換気扇で事足りているので、「ユニットバスに換気窓は不要」が我が家の結論。採光用に窓をつける場合でも、換気もできるからと欲張らず、割り切ってFIX窓がベストです。気密性が高く、開かないので閉め忘れもありません。

どの窓も防犯面で不安あり

外部との高低差が小さいためか、平屋ではちょっとした物音でも近くに感じられます。そんな時に「閉め忘れてないか?」と気になるのは、今回紹介した掃き出し窓と浴室の窓。平屋は全ての窓が届く位置に配置されるので、防犯性の低い窓は使えない窓になる可能性が高いです。

通行人から丸見え

平屋は珍しいので近所さんも興味津々。引越し直後、我が家の話をしながら歩く方と目があい、気まずい思いをしました。クローズ外構なら目隠しもできますが、我が家の地域は協定でクローズ外構NG。植栽が育ちある程度は隠してくれますが、スクリーン・障子はほぼ閉じたままで2年が過ぎました。

汎用性を期待して設置

大満足な窓とは対照的ですが、いくつもの目的に対応できる掃き出し窓を選んだ事が、かえって使えない窓になった原因です。

  1. 客間:換気用のスリット窓と出入り用のテラスドア
  2. 寝室:採光用のFIX窓と出入り用のテラスドア

のように、目的を絞り目的に応じた窓を組み合わせれば、柔軟で使いやすい窓になっていたはずです。

平屋の大開口窓は現実的?

モデルハウスに行くと大開口の大窓が目を惹きます。外と中が一体化して開放的な空間が出来上がります。家づくりを始めた頃はそんな間取りに憧れました。

一方で耐震性や気密性、防犯など気になる点もあります。海沿いや山の上な眺望に優れた土地ならば多少の事は我慢しますが、一般的な住宅地では大開口窓を持て余すと考えました。

結果、我が家が選んだのは大きな中庭に向かって大窓を設置するコートハウス。現実的で実用的な大開口窓が手に入ります。

大活躍の窓と残念な窓のまとめ

我が家で活用できている窓、全く活用できていない窓を紹介しました。初めての家づくりなので思い通りにはいかないと思っていましたが、ここまではっきりと明暗が分かれるとは思いませんでした。大満足窓と残念窓のポイントをまとめます。

    1. 換気・通気窓:換気通気用と割り切って人が通れない大きさで
    2. 採光・眺望:大きな窓は気密・防犯で不利。割り切ってFIX窓を選ぶと満足度UP
    3. 出入り:ドアを活用する。気密性が高く2ロック・デッドロックなど防犯性が高い
    4. 引き違い窓:多目的で便利だが、中途半端で使えない窓になることもあり注意が必要
  1. 浴室に換気用窓は不要(個人の意見です)。採光用ならFIX窓が安心

家の中に段差がない平屋は、実際に住んでみると快適そのものです。一方で、防犯・プライバシー面では注意点も多く、窓選びは特にシビアに考える必要があります。我が家の事例を参考にしていただき、安心で快適な平屋を作ってください。

次回の記事では「平屋の弱点」に着目し「弱点を克服するための窓選び」を紹介します。「窓を制す施主は平屋を制す!平屋の弱点と弱点を克服する窓選び」

最後まで読んで頂き有難うございました。

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