世間では「植えてはいけない」と言われる植物がいくつかあります。我が家の外庭法面や中庭の一角に植えた「トクサ」もその1つ。
「植えてはいけない」と言われるとインパクトがあるので身構えてしまいます。実際は、「軽い気持ちで植えてはいけない」「付き合い方を理解して植えましょう」という意味が正しいと思います。
今回は、「植えてはいけないと言われるトクサを植えた理由」「トクサの地下茎対策」について紹介します。
外構・植栽関連の前回記事はこちらです。
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「植えてはいけない」トクサを植えた理由
「植えてはいけない」と言われる植物にはいくつか特徴があります。代表的なところでは、
- (繁殖力が旺盛で)地下茎で広がっていく植物
- (繁殖力が旺盛で)ランナーやツルで広がっていく植物
- あっという間に大きく育つ樹木
- 害虫がつきやすく、生活に支障が出る植物
- 実や葉に毒がある植物
- 法律上、栽培してはいけない植物
⑤は生命に関わることですし、もちろん⑥も植えてはいけない事は当然です。
①〜④ですが、「植えてはいけない」と言うと少し言い過ぎに感じます。植える場所・育て方・付き合い方を理解して植えれば、そういった植物の良い面も見えてきます。
そして今回の主役、「トクサ」は「1.(繁殖力が旺盛で)地下茎で広がっていく植物」に分類されます。
そもそもトクサはどんな植物か?
常緑性の植物でスギナの仲間です。抜いても抜いても生えてくる、悪名高いスギナです。
「つくし」と同じ様な「はかま状の葉」があり、先端に咲く花も「つくし」そっくり。
背丈は1mぐらいまで伸びつくしよりはるかに大きくなります。
青々とした茎が真っ直ぐ空に向かって伸びていく姿は、力強く清々しい光景です。
ヤスリグサやミガキグサとも呼ばれ、表面は荒れてざらついた感触。このざらつきを利用して、木材や金属、爪の研磨にも使用されていたそうです。これが砥草という漢字の由来です。
「トクサ」の付き合いにくさ
ランナーやツルで広がる植物は目で見て分かるので、手間はかかりますが、伸びてきたランナー・ツルを切ってやれば生育範囲を制限できます。
これに対して、地下茎で広がるトクサは特有の扱いにくさがあります。
気づかないうちに広がっている事
トクサが飢えてはいけないと言われる1番の理由は、地下茎でどんどん広がっていく事です。地表には現れず、気づかないうちに土の中に茎を這わせて、予想外のところから生えてきます。
地下茎が残っている限り何度も生えてくる事
しかも、地表に出ている部分を抜き取っても地下茎が残ってると、そこから新しい芽が出てきます。竹や笹、ドクダミ、カタバミも同じで、地下茎がある限り、抜いても、抜いても芽が出てきます。
庭のスギナで苦労している話と同じです。
生存競争に強い事
地下茎で増える植物は、全般的に生存競争にも強いことも特徴。他の草花を排除して陣地を広げます。地下茎に栄養分を蓄え、離れた場所を攻め落とす。補給ルートを確保して前線基地を増やしていく、この点は本当に厄介な植物です。
旺盛な繁殖力
とにかく繁殖力が旺盛。植え付けからたった1ヶ月ですが、背丈20cm近い新芽が沢山出ています。
この勢いで庭中に広がり、育てている他の植物を侵食してしまったら、「植えてはいけない」と言われるのも納得できます。
なぜ厄介なトクサを植えたのか?
「そんな厄介なトクサを植えるメリットがあるのか?」我が家がトクサを植えた理由は、2つの課題を解決することができるためです。
法面の土留ブロックをどうするか?
法面(斜面)部分は大雨が降ると土が流され、放っておくとそのうち斜面が崩れます。土を留めるためにブロック塀をたて土の流出を防ぐ方法(土留ブロック)が一般的ですが、問題はその費用。
土留ブロックを設置するとしたら幅10mの石積みの上。道路面から1m上に設置するので、地震で倒れないようにアンカーを打ち込む大掛かりな工事です。
提示された見積は数十万円。予算不足の我が家は大騒ぎです。
道路に面した窓の目隠しはどうするか?
主寝室と客間和室の掃き出し窓は、庭を挟んで前面8m道路に面しています。中庭があるので殆ど開けることはありませんが、換気の時に目線が気になるのは困ります。
雑木風の庭に馴染む木製フェンスの提案もありましたが、それでも人工物、定期的なメンテナンスも必要で踏み切れずにいました。
土留め兼目隠しのトクサ
そんな時、植木屋のアイデアは「トクサで目隠しを兼ねた土留めにする」というもの。トクサが張り巡らす地下茎で土を保持し、真っ直ぐ伸びる茎で視線を遮る作戦です。
少し調べてみると「竹などの地下茎は、地表から30cm下までの土を保持する効果はある」という記事が見つかりました。(ただし、あくまで表層部分のみ。地盤を頑丈に安定させるまでは期待できません。)
1mの高さがあれば十分に視線を遮ることができ費用も予算内。「天然の土留め」兼「目隠しフェンス」としてトクサを採用することにしました。
次のページでは「厄介な地下茎をどうするか?我が家の対策」を紹介します。