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【実例で紹介】1日の電気代がたった22円?V2Hによる電気代削減効果
昨年7月に注文したV2Hがようやく設置されました。電気自動車も1年待ちでしたが結局V2Hも1年かかりました。
設置工事が完了した日の夜から試行錯誤すること1週間。数日間ですが、目標としていた「電気を買わない生活」が実現できました。
今回の記事では次の2点を紹介します。
- V2Hの導入によりどんな状態が実現できたのか?
- 実現にあたりV2Hがどんな役割を果たしているのか?
足元では電気代の高騰は落ち着きを見せていますが、9月には政府の補助が終了し電気代は再上昇する見込みです。
エネルギーとの向き合い方の1例として、これから新築の方や太陽光・EVの導入を考えている方の参考になれば嬉しいです。
目次(クリックで開閉)
とにかく電気食いの我が家!
買電削減に効果の大きいV2Hですが、家庭の電力消費状況によって効果の大小が変化します。まずは我が家の電力事情を紹介します。
オール電化で消費電力が多い
我が家はオール電化なのでガス併用の家庭に比べると電気代は高く※なります。具体的には
- 電気でお湯をわかすエコキュート
- 調理はIHクッキングヒーター
- タオル類の乾燥は洗濯機の電気乾燥
全ての給湯・炊事・家事を電気で行うため、消費電力はガス併用住宅の1.5倍に膨らみます。
我が家の場合、季節毎の月間消費電力は次のとおりです。(除くEV)
- 冬:1000kWh超(床暖房が電力消費大)
- 夏:600kWh(主に冷房で電力消費大)
- 春・秋:400kWh(冷暖房不使用で最小)
- 通年:7500kWh
戸建て世帯(ガス併用)の月間消費電力は平均400kWh前後、年間で4500kWh程度とされます。それと比べると我が家の消費電力は7割り増しです。
※あくまで電気代だけでの比較です。ガス代まで含めた比較ではありません。オール電化についてはこちら。
犬がいるので常時冷房
昨年から犬を飼い始めました。暑さに弱い犬種なので、5月末から一度も冷房を止めたことはありません。(おそらく10月ごろまで継続)
犬はLDKにいることが多いので、LDKの大型エアコン(26畳用 200V)はフル稼働。6月末から仕事部屋、7月からは寝室のエアコンもそれぞれ稼働し始め、冷房で時間あたり0.7kWhの電力を消費しています。
月1000km走るEV
さらに今年から電気自動車を導入。日々の買い物や送り迎え、ドッグランへの往復、犬連れ旅行など、気がつけば月間走行距離は1000kmを超えています。
1ヶ月半走行して平均電費は6km/kWh。先ほどの季節毎の消費電力に、EV用電力として月間160kWh、通年換算で約2000kWhが追加になります。
「似た家庭」と比べても3割り増し
東京電力のWebサービスによると、我が家の消費電力は「似た家庭」のおよそ1.3倍です。特に冬の差が大きいことから、次の3点が理由だと推測しています。
- 家族構成に対してエコキュートが大きい(災害用水としてオーバースペックの460L)
- 床暖房の面積が広い(平屋のため全面床暖房、部分ON/OFF無し)
- 夏はLDKの200Vエアコンを24時間稼働(犬部屋がないため)
こういった事から、我が家はオール電化の中でも特に消費電力が多い方だと理解しています。
※「くらしTEPCO」では、登録したプロフィール(家族構成・オール電化・太陽光・ペット・設備)から条件の近い家庭(=似た家庭)の消費電力を確認することができます。
電気を買わない生活とは?
V2Hを導入して1週間の試行錯誤の末、電気を買わない生活が実現しました。とはいえ、今のところ3日間だけです。どんな状態になったか、最初に買電が激減した7月25日を例に紹介します。
余剰電力は11kWh
ニチコンオーナズ倶楽部の情報によると25日の消費電力※は23.3kWh。最近は大体20〜25kWhの間なので通常通りの消費量です。
25日の最高気温は28℃、天気は快晴で太陽光は絶好調。1日で34.2kWhを発電したので余剰電力は11kWh(≒34.2kWh – 23.3kWh)になります。
※この消費電力とは、電力会社・蓄電池・EVから供給され消費された電力の総量(≒おそらくパワコンを通過した電力)です。このため、EVや蓄電池に充電しただけでは消費電力には含まれません。
太陽光の自家消費が34kWh
同じくオーナーズ倶楽部によると、太陽光の自家消費※は34kWhとなっています。太陽光で発電した電力は売電する事なくほぼ100%自家消費されてます。
※ここで言う自家消費とは、売電されなかった電力量という意味でEV・蓄電池へ充電した電力も含まれます。少しややこしいですが、先ほどの余剰電力11kWhは「自家消費には含まれる」が「消費電力には含まれない」電力です。
電気を買わない生活
まとめると、(発電量 34kWh)-(自家消費 23.3kWh)≒(余剰電力 11kWh → EV・蓄電池へ)となり、
生活に必要とする電力は購入することなく発電した電力だけで過ごせた
ことになります。
※「発電量が消費電力より多いので買わなくて当たり前」と思う方もいるかもしれません。これについては次の章で説明します。
避けられない1.5kWhの電力購入
全く電気を買わなかったように書きましたが、実は1.5kWhだけ購入しています。
- 毎時30〜70Wの電力を購入している
FAQにも記載がありますが、トライブリッド導入には電力契約が必須です。システム上、ごく少量(30w程度)の電力購入が必要なようです。 - 10分間の空白時間
トライブリッドでは(電力会社の電気で)充電する時間帯と放電する時間帯を設定できますが、それぞれの時間の合計は23時間50分以内にする必要があります。
この結果、1日10分間の空白時間ができ、その間は電力会社から電力を購入することになります。
生活のために購入する電力ではなくシステム上の制約として発生する買電です。電気を買わない生活という観点では除外して考えています。
※ただし、自立運転時(停電で電力供給がない時)は空白時間なく電気を放電すると理解しています。自立運転時の動作は、系統連系時(電力供給がある時)と別で設定できるようになっています。
なぜV2Hが必要なのか?
ここまで一般的なオール電化住宅よりも消費電力の多い我が家が、電気を買う事なく太陽光だけで生活できた事を紹介しました。
ここからは「電気を買わないためには、なぜV2Hが必要だったのか」というV2Hの果たす役割について紹介します。
自家消費の限界
太陽光パネルがあれば、太陽が出ている間は発電された電気を使えますが、それだけでは電気を買わずに生活することはできません。
- 発電できるのは朝〜夕方の10時間程度
- 余った電気を夜に持ち越すことはできない
- 結果、発電しない日没後は電気を買うことに
このため、余った太陽光の電力を溜めておく蓄電池が必要になります。
蓄電池の問題点
ところが蓄電池も簡単ではありません。蓄電池の問題点は次の3点。
- 蓄電容量5〜10kWhが大半
発電できない時間(15時間以上)に放電するには容量不足※1 - 1kWhあたり20万円と高価
15時間をカバーできる15kWhの電池は300万円以上 - 翌日の天気が悪いと15kWhでも足りない
15kWhで乗り切れるのは一晩だけ。翌日の天気が悪いと買電が始まります
一時期は複数の蓄電池を連結する方法※2も考えましたが、電気を貯めるためだけに数百万円はかけられないと判断。大きな補助金がない事も難点です。
※1 「太陽光電力を夕方以降に使う」「深夜電気を昼間に使う」ならば蓄電池で十分な効果を見込めます。ただし、蓄電池コストの回収は課題です。
※2 テスラパワウォールは、13.5kWhの蓄電池を最大10台連結して使えます。ニチコントライブリッドは2台の蓄電池を連結して使えます。
現時点ではV2H+EVが必要
最終的に行き着いたのはV2H+EVの組み合わせ。電気を買わない生活にはV2HとEVを使う方法が現時点では最適解です。
- 潤沢な補助金
EVで100万円以上の補助金が設定されています - 圧倒的に安い蓄電池
日産ARIYA B6の場合、430万円(車両本体 – 補助金)÷ 66kWh ≒ 6.5万円(EVでの蓄電池のコスト) - 車としてのコスト
ハイブリッドSUV(400万円)を購入したと考えれば、430万円 – 400万円 = 30万円(差額=蓄電池) - 数日間電気を供給できる蓄電容量
ARIYA B6なら一般的な蓄電池の5倍以上の蓄電量。夕方〜翌朝までの15時間給電しても、電池残量は50kWh - 数日間天気が悪くても大丈夫
2日間の消費電力50kWhを放電しても、さらに半日分の電力(15kWh)が残ります - V2Hシステムには潤沢な補助金
国・自治体の補助金で実質負担は3割程度(トライブリッドなら60万円弱)
大容量の蓄電池に数百万円をかけるよりも、移動手段と蓄電池を兼ねてV2H+EVを導入する方が実用的で負担額も少なく済みます。
全体を統合制御できる仕組み
「ニチコン トライブリッド」や「パナソニック eneplat」のような統合型システムの場合、単独のV2Hと異なり次のメリットがあります。
- 蓄電池・V2H(EV)の充放電を自動制御
- 太陽光・蓄電池・V2H(EV)が直流でつながりロスがない
- AIを活用した天気予報との連動
- 災害警報と連動した緊急動作
1台のパワコンが各機器の動きを自動制御するので、EVを繋いでおけば太陽光を無駄なく自家消費できます。統合型ならではの大きなメリットです。手動操作も試しましたが、発電量計を頻繁に確認する必要があり現実的ではありません。
どちらも最小単位は「太陽光+パワコン」です。蓄電池・V2H・蓄電池増設と必要に応じて増強することができるので、これから新築や太陽光導入の場合、パワコンだけでも統合型を選んでおくと無駄のない柔軟な設備設計が可能です。
最後に、今後の課題
数日間ですが電気を買わずに太陽光電力だけで生活することができました。4年前から考えてきた事が実現できて一安心です。一方で、今後に向けた課題もあります。
- 電気を買わない日をどれだけ増やせるか?
車の使用頻度が上がると太陽光だけでは追いつかなくなります。どれぐらいの頻度で電気を買わずに済むのか、今後の検証課題です。 - 11月以降の電気需要にどれだけ対応できるか?
11〜4月は電気の消費量が発電量を上回ります。買電の発生頻度を元に次の対策を考える必要があります。 - 市場連動型プランへで更なる電気代削減は可能か?
冬季の発電不足対策として市場連動型プランも検討します。安い電気をまとめ買いして使う方法を検証します。
設備側の問題として、天気予報と連動するAI自動制御とV2Hの連動がうまくいかないそうです。この点についてニチコンより以下2点の情報がリリースされてます。
- 23年秋にV2Hに影響しないAI自動制御にアップデート
- 25年夏までにはV2HへのAI自動制御を導入する
まだまだ新しい技術なので今後もアップデートは続くと思われます。
最後まで読んでいただき有難うございます。次回は「ニチコン トライブリッドV2Hで出来る事、出来ない事」をまとめます。