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Web内覧会 和室客間 使用頻度は予想以上、椅子に疲れたら和室
中庭の植栽工事もひと段落。あとは苔貼りと砂利入れを残すのみです。外庭の植栽工事も一旦終わり。
中庭、外庭の両方に面し我が家で一番眺めの良い和室客間となりました。設計時の考えや採用した建材を紹介します。
目次(クリックで開閉)
和室客間の設計で考えた事

和室の要否についてはいろいろ意見がありますが、我が家は「和室は必要」として進めました。
寝室も和室なので、3LDKのうち2部屋が和室です。最近では珍しいかも知れません。間取設計に当たって考えたことを紹介します。
和室客間の位置付け
どこかの営業さんからは「来客を想定した費用はできるだけ削って最低限に留めた方が良い」と言われました。言わんとする事はよくわかります。費用の割に使用頻度は限られます。
このアドバイスも踏まえ、我が家が考えたことは「この和室は主に誰が使うか」という点。結局、来客でも使うが、普段は自分たちが床で寛ぐ「準リビング」として設計しました。
まずは、来客時の寝室、客間として
来客の多い家ではないですが、夫婦どちらかの親が来た場合、来客用の寝室が必要となります。また、葉山という場所柄海が近く、夏は友人家族が来ることも想定しています。
荷物を置き2~3人がゆったりと休める広さで、来客用の布団3セットぐらいの収納が必要だと考えました。
実際は、自分達が寛ぐための準リビング
椅子に疲れた時に逃げ込む場所として、畳スペースがあると便利です。賃貸では、食事は基本ダイニングテーブルでしたが、ソファ付近のカーペットに座って食事する事もありました。
新居ではLDKの床を全面タイルにしたので、LDKは椅子中心の生活スタイルです。どうしても床に座りたい、そんな時に直接座れる客間和室が逃げ場所になります。
中庭・外庭に面した我が家の特等席
LDK側の「くつろぎエリア」は、Poul Kjaeholm の椅子とデイベッドがあり、座ったり横になって中庭を正面に眺める事ができます。
同じ事を畳に上で行えるように、和室は中庭を挟んだ反対側に決めました。和室の目の前にも大きな窓があるので、畳の上に座ったり横になって、LDKと同じように中庭を眺める事ができます。

椅子の気分、畳の気分で居場所を選べます。さらに、南側の庭にも面しているので、2月ごろには障子を開ければ目の前に梅の花を眺める事ができます。2つの窓のどちらを向いても庭が眺められる、我が家の特等席です。
隣室(夫婦寝室)との音、声漏れの対策
宿泊する客人に自分たちの会話が筒抜けなのは気を使います。対策として、主寝室と客間の間に、押し入れとトイレを挟んだ間取りにしました。
当初はロフトに上がる階段を設置する案も考えましたが、主寝室近くにトイレを設置したかったため、この間取りに落ち着きました。
和室の設計イメージは?
真壁のカチッとした和室を希望しましたが、予算の都合で断念しました。真壁風に仕上げるための部材もありますが、「真壁風」に費用を使うなら他に予算を回す事にしました。

寝室は濃色中心で仕上げましたが、客間はシンプルにスッキリした配色でまとめました。
廊下との仕切りや南側掃き出し窓は障子で区切ります。朝、自然の光が障子を通して差し込み、夜は中庭のライトに照らされて植栽の影が映り込みます。

中庭側の敷居は2本溝だったので、障子を3枚引きから4枚引きに変更し、全開時の開口を広くとるようにしています。
3本溝3枚引きだと開口は広くなりますが、全開した時にどちらか一方に寄るので、左右対称になるように、2本溝4枚引きです。
どれぐらいの収納が必要か?
来客時の布団を3式収納できれば十分です。圧縮袋を併用すれば一般的な押し入れ半分で十分。最悪20畳のロフト収納もあります。

考えた末、通常の押し入れを上下半分ずつ、主寝室と和室で分けて使っています。和室は他床面から20cm上がっているので、上部へのアクセスがよく上半分を和室の押し入れにあてています。
実際に生活してみてどうか?
主な使用目的
緊急事態宣言もあり来客はほとんどありません。あってもLDKで対応しているので、まだ客間としての活用はありません。宣言も解除となり、夏前には泊まりの来客がありそうです。
和室はもっぱら自分たちのくつろぎスペースになっています。中庭もほぼ完成し、南庭の掃き出し窓の前にも梅の木を植えました。
小上がりの段差へ椅子がわりに腰掛けたり、畳の上に横になって過ごす時間が増えています。仕事部屋の隣でもあり、在宅仕事中の気分転換や休憩もできます。
和室を作ってよかったか?
良かったと思います。特別な家具を用意しなくても、直接座れる畳の部屋は使い勝手が良いです。
タイル床LDKの代替として、気分で居場所を選べるメリットが際立っています。来客時、洋室だとベッドが必要ですが、和室だと布団を用意するだけで済みます。
使い方を固定しないユーティリティスペースとして、今後も大活躍だと思います。
使用した建材や設備
壁紙、天井、畳、照明

壁紙はサンゲツ「珪藻土クロス RE-7587」、触った感じも昔実家にあった土壁のような雰囲気で気に入りました。若草色で中庭、南庭の緑のとも馴染んで若々しい印象です。
天井はリリカラ「紙布 LMT-15174」、主寝室でも採用したものの色違いです。若草色に合うように明るめの茶色を選びました。
畳は、床暖房対応の薄畳で、冬の寒い朝、この部屋も床暖で暖かです。畳縁は高田織物の「春日 四菱(茶)1」を使っています。定番の柄ですが良いアクセントになっています。
照明は、ダウンライトを3灯真っ直ぐに並べています。寝室と違うのは、照明スイッチを取り外し式のリモコンタイプにしています。妻曰く、来客への配慮(見栄)だそうです。
障子、襖、引き手
襖紙はKAMISMの「ANCIENT KP3126」赤みがかった茶色に金が混ざっており存在感は抜群です。手作業で色つけする和紙だそうです。馬喰町にショールームがあります。
襖引き手は、主寝室と同じ東京松屋「彩引き手 8112 本燻べ」です。

障子は荒間障子、障子紙はワーロン紙「タフトップNA-2」外から光が当たるとうっすら透かしが浮き上がります。
実用性でワーロン紙にしましたが、和紙の障子紙まで含めると選択肢は無限です。こだわる人は楽しいと思います。
エアコン、テレビコンセント
エアコンは三菱電機の霧ヶ峰、ハウスメーカー向けのグレードです。配管だけは隠蔽してもらっています。隠蔽配管も賛否ありますが、あまり深く考えず見た目重視で隠蔽にしました。
テレビコンセントはLDKとここの2カ所のみ。家の中はプライベートビエラを持ち歩くので、Wi-Fiがあれば十分ですが、来客用のテレビを置く可能性もあります。
あきらめたもの、先送りしたもの
組子細工の引き戸
我が家の主役の一つで考えていましたが、予算が足りず先送りしました。中庭側の障子の代わりに組子引き戸が欲しかったのですが、一旦先送りです。来年には購入できれば良いと思います。
駒沢公園のミサワホーム展示場や住友林業展示場では、エントランスに組子仕切り、階段の壁に組子障子が設置されています。伝統模様ではないですが、とても印象的で目を引く作りでした。
江戸川区にある建松さんにお願いしたいと考えています。2019年12月に銀座三越で開催された「日本の職人 匠の技展」で出会いました。
機械加工が増える中、手作業で制作。アド街ック天国や和風総本家でも紹介されています。気さくな2代目に色々と説明をしてもらい、必ず近いうちにお願いしようと、予算表を眺めています。
照明器具
天井にダウンライトを設置しましたが、当初は壁付け照明を考えていました。照明カバーも組子細工にして、組子だらけにしたかったですが、これも予算で断念しました。
その後、シーリングライトでFrank Lloyd Wrightの「ROBIE CEILING」も考えましたが、こちらも予算でNG、諦めてダウンライトに落ち着きました。
最後に
和室は最近人気がありませんが、我が家ではフル活用のユーティリティスペースです。実家を思い起こすと、土壁や真壁和室など、以前の日本の住宅では当たり前でした。
建材や高気密高断熱といった進化により、日々の生活が快適になる一方で、伝統的な日本の建築は費用のかかる高級品になっています。
我が家は断念しましたが、こだわる方は最高の和室を手に入れてください。
最後までありがとうございます。次回は、仕事部屋にしている唯一のフローリン洋室です。