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平屋の不安#4 収納が不足しやすい?収納設計で注意した事と収納率
平屋のメリット・デメリットを読むと、「平屋は収納が不足しやすい」と言う記載を頻繁に目にします。
収納不足は平屋に限った事では無いですが、確かに、ついつい収納を減らしたくなる平屋固有の事情も見え隠れします。
平屋の不安4回目の今回は「平屋と収納」についてまとめます。
この記事のポイント
- スペースの取り合いにさらされる平屋の収納事情
- 新居で考えた収納設計のポイント
- 新居の収納率と生活して感じる便利さと不便さ
- 空間を有効活用するための3つのポイント
平屋を検討中の方の参考になればと思います。
目次(クリックで開閉)
収納を減らしたくなる平屋の事情
平屋は収納が不足しやすいと言われます。確かに、2階建てに比べると「収納を減らしたくなる誘惑」は多めだと感じます。
広い土地が見つからない
横方向に間取りが広がる平屋では2階建てに比べて大きな土地が必要です。しかし、手頃な土地はなかなか見つかりません。条件を妥協してようやく見つけた土地でも、間取りを見ると少し手狭。どこを削るか?
「収納減らしとく?引っ越し前に物を捨てるし、十分に収まると思う …。」
坪単価が高い
土地が決まって間取りも大枠決定。契約に向けて見積もりを見たら予算オーバー。家づくりの怖いところですが、検討を重ねる毎に欲しいものは増えていきます。平屋の坪単価は2階建ての2〜3割増し。建物が小さくなると意外と減額幅が大きく、気持ちも前のめります。
「収納減らせば◯◯万円下がる!LDKは減らしたくないし、収納に◯◯万円って高いよね?」
プライバシーや音の問題
2階がなくコンパクトで無駄のない間取りが作りやすい一方、音の緩衝地帯を作りにくいのが平屋のデメリット。
「書斎とLDKが近すぎるので、もう少し離してほしいです。」
「ここに廊下をつけましょうか?ただLDKが少し小さくなります。良いですか?」
「この収納を削ってなんとかなりませんか?」
限られたスペースを取り合う平屋
2階建てであれば上下に空間を分けることで解決できる事もあります。その点、平屋は全てをワンフロアに収めるので、スペースの取り合いがシビアになると感じます。
実際に平屋を新築し住み始めて分かった事は、「その時出来ていない事」をできる前提で設計しても「結局新居でもできていない」ということ。建物は変わっても、住む人間は簡単には変わりません。
空間の有効活用① いっそ大型テレビやめとく?
新築時に考えた収納対策
当時住んでいた賃貸住宅を見渡して「なぜ片付かないのか?」を考えました。我が家の場合、「片付かない」には大きく4つの理由があるようです。対策と合わせて紹介します。
ユーティリティ収納がない
各部屋に「満遍なく大型収納」があり一見便利なのですが、使ってみると実際は使いにくいものでした。部屋の使い方次第で必要収納量が変わるため、満遍なく設置されても使いきれません。むしろ「部屋毎の収納は最低限」「1ヶ所に大きな納戸」の方が便利だと感じました。
この事から新居には大型ロフト(20畳)を設置。使用頻度の低い物や置き場所が決まらない物はとりあえずロフトに放り込む。居室にあふれることはなく探し回る必要もありません。固定階段を設置したので昇降しやすく、アクセス良好なユーティリティ収納です。
動線上に収納がない
収納が各部屋にしかないため、出勤前や帰宅時は着替えや荷物の片付けに複数の部屋を右往左往。疲れて帰ってきた時はカバンを片付けるのも億劫で、翌朝までダイニングに床置きすることも。PCも入っていて間違って踏んだら一大事です。
動線分析やゾーニングのできていない収納は本当に使いにくいと感じます。
新居では寝室・ウォークスルークローゼット・洗面・浴室を一直線に配置。身支度・出勤・帰宅・就寝の生活動線を1本に集約し、1度の移動で全てをこなせるように設計しました。
手近な収納がなく小物が溢れる
賃貸で気になっていたのはダイニングテーブルにあふれる小物。リビングがなかったため生活の中心はダイニング。スマホや財布、鍵、PCなど、あらゆる物がテーブル上に集まりますが、手近な収納がなくテーブル上にあるれます。これは2つの方法で対策。
- フロントキッチンにテーブル下収納を設置。手近で収納するスペースを作ります
- ダイニングテーブルを大きくする。小物入れを置ければあふれた状態は回避できます
ただし、1については「使いにくい」というキッチンメーカーの意見もありました。ダメならIKEAのワゴンでも投入します。
「片付け方」の個人差が大きい
最後の4点目は家づくりで話し合って気づいた夫婦間の「片付け方の違い」です。我が家では2つの意見に分かれました。
- 散らかっている状態が目に入る事が嫌。見えないところに押し込めばそれで良し(妻)
- 散らかっている状態は嫌だが、ただ押し込むだけは探しにくくて嫌(自分)
数十年それで生きてきたので、話し合ってどうなる事でもありません。あれこれ言われるのはお互いストレスなので、可能な限り収納を2つに分けて「夫婦別収納」にします。
空間の有効活用② 造作家具は極力避ける
新居の収納率と収納ランキング
最後に新居の収納率と収納毎のランキングを紹介します。収納率は部屋毎・全体に分けて記載します。
出来上がった収納率と質・量のバランス
建物の延べ床面積80畳をもとにした収納率は表の通り。ロフトを外すと収納率10%で下限ギリギリ、ロフトの効果は抜群です。さらに、サイドボード・2型キッチン・シューズボックスで別途4畳分の収納力です。
収納 | 部屋 | 広さ | 収納率(VS全体) |
ロフト収納 | ロフト | 20畳 | 25% |
パントリー | DK | 1畳 | 1.3% |
造作戸棚 | リビング | 1畳 | 1.3% |
洗面台 | ランドリー | 1畳 | 1.3% |
WTC※ | ランドリー | 2畳 | 2.5% |
押し入れ | 主寝室 | 0.5畳 | 0.6% |
押し入れ | 客間 | 0.5畳 | 0.6% |
SIC | 玄関 | 2畳 | 2.5% |
合計 | 28畳 | 35.1% |
※WTC:ウォークスルークローゼット
便利な収納ベスト3
実際に生活し始めて、設置してよかったと感じる収納ベスト3は次のとおりです。
- SIC:玄関周りの大型収納は本当に便利。屋内ですが土間なので雑に扱えるのも良い点です。
- ロフト:放り込めばとりあえず部屋が片付く事が利点。急な来客でも緊急避難可能。家の補修資材もここに保管。
- パントリー:保存食品・BBQ用炭・水ペットなどキッチン用品を大量に収納。目的が明確な収納は整理しやすい。
それでも片付かない場所ワースト4
全体の収納率は十分ですが、場所によっては物があふれてます。設計と違う使い方が上手く片付いていない理由です。
- 仕事部屋:元々納戸使いを考えていたため、収納は皆無なので仕方なし。今後、サイドボードを1台導入予定。
- 玄関まわり:SICは便利ですが少し小さかった。ガーデニング用品や農機具が予想以上に多く玄関外にあふれている。
- ダイニングテーブル上:2人同時在宅時の仕事スペースのため、目的外の使い方で物が滞留しがち。
- ランドリー:設計時とは洗濯動線が変化し畳んだ衣類が滞留している。動線の変化にあわせた収納の追加が必要。
意外と使いにくい収納ワースト3
思ったより使いにくいと感じる収納は次の3つ。今まで使ったことのないタイプの収納で、効率良い使い方が見つかっていない状態。
- ロフト:とりあえず放り込むには便利だが、棚など収納什器がないので荷物は全て床置き。広さの割に収納効率は良くない。
- 押入れ:衣装ケースを入れてタンスがわりに使用中。人生初の押し入れで使い方がしっくりこない。
- テーブル下のキッチン戸棚:収納位置が低くて使いにくい。小物収納で期待したがもっぱら来客用の食器置き場。
1番の後悔ポイントは?
SICの大きさが最大の後悔ポイント。思った以上に収納品が多く2畳程度では足りません。想定外なのは土仕事道具、農具やガーデニング用品。
マンション暮らしでは想像できなかった物の多さが原因です。屋外物置を設置してSICの荷物を仕分ける予定。収納改善の最優先事項です。
空間の有効活用③ ウォークスルーは無駄なし
最後に
これから建てる家の収納を、図面だけをみて考えるのは苦労します。ましてや、建ぺいや予算がギリギリになりやすい平屋は、シビアなスペースの取り合いは避けられません。
「ユニバーサルスペース」という考えが好きでフリーアドレスをイメージした我が家は、テレビや収納も「できるだけ固定しない方法」ばかりを考えていました。
この事がシビアな平屋の取り合いでは良い結果に繋がったとも感じます。
ただでさえ制約の厳しい平屋です。最低限の動線とゾーニングはしっかりやって、細かい部分は生活しながら考えるでも良いと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。次回は「平屋は広い土地が必要?建ぺいだけじゃない、平屋と土地の関係」について紹介します。