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平屋の不安#1 空き巣に狙われやすい?新築時に考える防犯対策!
家事がしやすいフラットな動線や高い耐震性などのメリットが挙げられる平屋住宅。大手ハウスメーカーでもライナップされ、その人気ぶりがうかがえます。
しかし、人気があっても戸建て全体からすればかなりの少数派。実体験ベースの情報が少なく不安に感じることもあります。
そこで「平屋の不安」について、複数回でまとめます。初回は、平屋の不安で真っ先に挙げられる「平屋の防犯対策」です。
目次(クリックで開閉)
平屋は空き巣に狙われやすい?
狙われやすいとされる平屋住宅ですが、まずは、その根拠とされる点をまとめました。
統計上の数字
警察庁の統計数字が「住まいる防犯110番」というサイトに掲載されています。
窓・玄関からの侵入を合わせると7割以上で圧倒的。侵入手口は無施錠が半数以上。
単純な鍵のかけ忘れだけでなく、ゴミ出しや近所との雑談、庭仕事など隙をついた侵入も一定数あるそうです。
新築設計時に考える必要があるのは、窓・玄関・他出入口の配置や防犯性、無施錠・合鍵対策も重要だと分かります。
狙われやすいと言われる平屋の弱点
「平屋が狙われやすい」とされる理由はいくつかありますが、よく挙げられる点は、
- 窓が全て1階にあり進入経路が多い
- 生活パターン(在宅・不在)が把握されやすい
- 周りの家に埋もれやすく死角が多くなる
「平屋だから狙われる」というより「狙いやすい条件が重なるのが平屋」と理解できます。
このため、平屋でしっかり対策するべき点は、これらの裏返しで
- 外部からアクセスしやすい窓を無くす
- 生活パターンを把握しにくくする
- 死角の少ない形・環境・外構にする
つまり、「入りにくく」「隙を見つけにくく」「目立ちやすい」という3点が重要なポイントです。
平屋の防犯は新築設計時
狙われやすい理由を見れば分かる通り、「平屋」のもつ建物特性がそのまま弱点になっています。
このため、平屋の防犯対策は、通常の2階建て住宅以上に、新築時の間取り設計が重要だと感じます。
平屋住宅は、2階建てに比べると建築会社の経験値も低く、提案の選択肢が狭くなる可能性もあります。
さらに、防犯設計は「快適な空間」「利便性」「コスト」と相反する事も多く、悩ましい判断を求められます。
自分達の嗜好・性格・ライフスタイルを踏まえ、積極的な情報収集・意見、柔軟で現実的なジャッジが安心安全な平屋づくりでは欠かせないポイントです。
防犯対策は複数組み合わせで
「南側の大きな窓からたっぷりの日差しを取り込む。」「休みの日は庭に面した縁側でゆっくり過ごす。」
色々な夢や叶えたい事があって平屋を選ぶと思います。確かに防犯対策は重要ですが、せっかくの平屋、希望を諦めては本末転倒です。
「これしかない!」と防犯対策を絞りすぎると、せっかくの夢や希望を諦めざるを得ない事も。
間取りも含めて複数の選択肢から考えれば、防犯計画と希望の平屋を両立しやすくなります。
万が一破られた時のバックアップにもなるので、複数の防犯対策を組み合わせて考えるメリットは大きいです。
平屋で検討すべき防犯対策
平屋の防犯対策で重点なポイントで、新築時の設計で対策できる点を紹介します。
複数の対策を併用することで防犯効果が高まります。新築設計時にしっかり考えて、無理のない安心安全な平屋を作ってください。
中庭を作って内側に開く
平屋の最大の弱点は、全ての窓がアクセスしやすい1階に配置されること。
この弱点を克服する一番の方法は、外からアクセスしにくい中庭に開口部を集中することです。
特に口の字形のコートハウスは、中庭の存在自体が分かりにくく、中庭の窓・鍵タイプまで把握することはほぼ不可能。
さらに、外向きの窓を大幅に減らす事ができるため、在宅・不在など宅内の状態が分かりにくくなります。
このため、侵入者からするとリスクの読めない建物になります。
中庭について
中庭は防犯面だけでなく、採光や通気といった平屋のデメリットを解消する上でも効果的。
コスト増は否めませんが、快適な平屋を作るためにも、中庭は積極的に検討すべき設計です。
できれば避けたい引き違い窓
引き違い窓は、1枚で「出入口」「採光」「通換気」といくつもの役割をこなす便利な窓。一方で、窓破りで狙われやすい防犯面では課題のある窓です。
全ての窓が1階にあり、一瞬のスキでも侵入される平屋ではシビアな窓選びが重要。
平屋の引き違い窓は、極力避けた方が良い。
「あれこれ叶える便利な窓」より「目的を絞った手堅い窓」を採用すべきです。
- 出入口:頑丈な2重ロックで窓破りに強い「テラスドア」
- 採光:開ける事ができず進入経路になりにくい「FIX窓」
- 通気・換気:人が通れない幅の「縦滑りスリット窓」
例えば、出入口と採光を目的とする掃き出し窓ならば、「フィックス窓」と「テラスドア」を組み合わせ。防犯と出入・採光を両立できます。
さらに、人が通れない「縦滑りスリット窓」も組み合わせれば、通気窓として常時解放する事も可能。
開口部の目的を明確にして最適な窓・ドアを選ぶと、自ずと防犯性も高まります。
※さらに、防犯性の高い窓・ドアは、気密・断熱性も高くなるメリットも。引き違い窓は気密性が低いので、防犯だけでなく住宅性能の面からもできれば避けたい窓です。
我が家の後悔窓
- 出入口として使える反面、窓破りでの進入経路になりやすく不安
- 家の行動が筒抜けになりやすいので障子・ロールスクリーンは下げたまま
- 開放したままにはできないので、通気としても使いにくい
結局、期待した採光・通換気としては思ったほど使えず。「脆弱な進入経路を作っただけ」の残念な窓です。
砂利敷きを活用、手入れも念入りに
平屋は周囲の2階建て建物に埋もれがちです。
異変や侵入者に気づきくためには、犬走りは土間コンではなく「砂利敷き」が安心。
犬走りの砂利では、割栗石や防犯砂利が使われます。
- 防犯砂利:踏み込むと大きな音がするので効果的だが、価格が高く劣化しやすいのが難点。
- 割栗石:防犯砂利より安く足音も十分に聞こえる。土間コンより実用的で、現実的な選択肢。
ただし、せっかくの砂利も草だらけでは防犯意識の低い家と見られがちです。
劣化した防犯砂利は、音が弱くなり風で飛ばされ思わぬトラブルに繋がる事もあります。
いずれにしても、定期的なメンテナンスが必要。普段からまめに手入れをして、ちょっとした変化に気がつく環境が重要です。
塀を作らずオープン外構
侵入防止や目隠しとなる塀を設置せず、土留めやフェンス、植栽で敷地の境界を作る外構をオープン外構と呼びます。
建物を塀で囲ってしまう(クローズ外構)と、敷地内に侵入者がいても外からは分かりません。
平屋でクローズ外構を採用すると、周囲の建物に埋もれ建物周りが死角だらけという事も。オープン外構で、積極的に周囲の目を活用するのも効果的です。
ホームセキュリティ導入
戸建防犯の基本は侵入しにくい家づくりですが、生活空間である以上、防犯のためだけに設計することはできません。
柔軟で効率的な防犯計画を作るえで、SECOMやALSOKといったホームセキュリティが効果的。抑止効果と入られた時の対策です。
ホームセキュリティは、空間センサーやマグネットセンサーを設置して不在時の異変を感知する仕組みです。
センサーも沢山つけるとかなり高額になるので、効率良く設置したいところ。
外部からの進入経路を限定できれば弱点に集中できます。万が一の侵入もいち早く察知・通報し、被害を最小限にとどめます。
ホームセキュリティ、その他のメリット
センサー代+毎月数千円の費用がかかりますが、ホームセキュリティを導入すると防犯以外にもメリットがあります。
- 火災保険:ホームセキュリティと同時加入で保険料が割安に
- 締め出し対策:オートロックの締め出しでも、セキュリティ会社の鍵で解錠可能
- 宅内事故:事故や病気による異変時は、ボタンひとつで緊急通報できる
- 高齢者・子供:室内の動きをセンサーで感知。見守りにも対応する
その他、おすすめの防犯対策
実際に採用して良かったと思う防犯対策、今後追加したい対策を紹介します。
玄関ドアは電子ロック
進入経路で多いのは無施錠の玄関扉。ちょっとゴミ出し、外で立ち話、庭仕事の瞬間が狙われています。さらに、鍵を複製して侵入するケースも一定数見られます。
こういった事例に対しては、電子ロック扉のオートロック機能が役に立ちます。ちょっとした外出でもロックされるので安心です。
さらに、カードキーやスマホは簡単には複製できないので、この点も安心です。
鍵穴のセキュリティ
カードキータイプの玄関扉でも、電池切れ(停電)対策として鍵と鍵穴が付いています。
「ピッキングの可能性は残るのでは?」と思いましたが、ちゃんとセキュリティ機能が付いていました。
2重鍵の両方を20秒以内に解錠しないと、自動的に再施錠される仕組み。これなら安心です。
録画・外線機能付きインターホン
侵入物件の下見、侵入直前の不在確認としてインターホンが悪用されるそうです。
インターホンが押されると同時に録画を開始したり、出先からでもスマホで応答できるインターホンなら安心。
定期的にインターホンのログを確認して、不審な動きがないか確認する事ができます。
防犯カメラ
防犯カメラは侵入前の下見から侵入された時の犯人特定まで、幅広く効果を発揮します。
撮影する場所は、
- 宅内への進入経路となる玄関・窓・勝手口付近
- いたずら・車上荒らし対策で駐車場
- 敷地への進入経路となる道路に面した庭
電源が必要なカメラもあるので、設置場所は新築時点で考えておく方がスムーズです。
隣家の写り込みはトラブルの原因にもなるので、画角と撮影方向に注意が必要です。
ホームセキュリティを導入すると、オプションで防犯カメラも設置できます。防犯のプロが設置場所も考えてくれるので安心です。
カーポートや物置き
カーポートや物置が屋根に上がる足がかりにされる事も多いそうです。
簡単に屋根に上がれる状態だと、宅内の状況が確認できるのでせっかくの中庭も効果半減。
進入経路に使われないような配置が重要です。
最後に
平屋は侵入しやすい建物である事は間違いありませんが、新築時の設計次第で安全な建物にする事も可能です。
家の周りを片付ける、ポストに郵便物を溜めない、少しの外出でも施錠するといった日常的な防犯意識も重要。
その上で、建築前、引っ越し時、日々の挨拶を通じて、地域で防犯対策を行えると心強いと思います。
正しく対策を行って、素敵な平屋ライフを満喫してください。
最後まで読んで頂き有難うございます。
次回は、「平屋の不安#2 歩いてる人と目が合った?平屋の丸見え対策」を紹介します。