キッチンは毎日使うので収納力や作業性がとても重要です。賃貸での不便さや収納不足を書き出し、対策しながら設計しました。住み始めて5ヶ月、改めてフロントキッチンを採寸し調理や収納状況を確認します。
前編では、平面寸法を元に、調理や家事作業での作業性を確認します。後編では、フロントキッチンの収納寸法を採寸・収納力を紹介します。これから新築・リフォーム予定の方の参考になればと思います。
キッチン全体の寸法や動線の状況は前回記事で書いています。
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フロントキッチンの平面寸法
フロント側はダイニングテーブルもオーダーで設計。テーブルも含めて上から見たサイズの詳細です。実際の広さ 感を紹介しています。図中の赤点線部分の番号は、見出し番号と対応しています。

キッチン本体は、幅180cm 奥行90cmと畳1枚と同じ大きさです。天板はフィオレストーン(アイカ)、シンクは松岡製作所、水栓金具は AXOR チッテリオM(PVD処理)です。
そこに1畳弱の一体型ダイニングテーブルを配置しています。テーブル天板はキッチンハウスの代名詞「エバルト(メラミン)」、カラーは「フュームドパイン」です。
ローズウッドのダイニングチェアに負けない強い木目柄としてフュームドパインを選択。エバルトは熱にも傷にも強く、支える脚のデザインもシンプルで、採用して良かったと思います。
①80cm幅のシンクでも狭く感じることがある
シンクは「幅80cm 奥行き41cm 深さ21cm」で、キッチンハウスの既成ステンレスシンクでは、一番の大きいサイズ。賃貸の頃より幅が20cm大きくなりました。
シンク右端にKEYUKA「クチーナ 2ウェイ ドレーナー」を設置。根菜や葉野菜の仮置きにも便利。深さもあり安心して食器を置けますが、幅が20cmもありシンクの1/4を占めるので、使わない時でも場所を取ります。

共働きのため昼間は仕事で家事はできません。朝食で使った食器は夜までそのまま。「使用済みの食器をどうするか」が夕食調理時の作業性を決めます。
設計時は、深夜に洗った食器を朝片付け、朝食後、朝食で使った食器を食洗機に入れて出勤と考えていました。実際は、その通りにできておらず、朝食の食器はさっと流して水切りカゴに置いて出勤します。
AEGの食洗機は、高温洗浄の余熱で食器を乾燥させる仕組みです。深夜電気時間に洗うと、朝の時点では濡れていることも多くすぐに片付けることは出来ません。
慌ただしい朝にその時間がとれず、片付けを帰宅後に回してます。結果、帰宅後の水切りカゴには、朝の食器が残った状態になってます。完璧に乾燥を求める場合、国産の方がしっかり乾燥します。
夕食調理時の再現
朝食の食器が水切りカゴに残っている状態を再現しました。
有効スペースは水切りカゴを除いて幅60cmありますが、使った鍋を置くと手狭です。鉄フライパンは使用後すぐに洗いたいですが、この状態だと思うようにいきません。

夕食の調理開始前に、食洗機の中身を片付け朝食の食器類を食洗機に入れてます。こうすると、水切りカゴが野菜の仮置きスペースとしても使え効率よく作業できます。
シンクがあと20cm広ければ楽ですが、80cmを超えるステンレスシンクは特注で予算オーバー。帰宅後の調理時に食器の片付けから始めるのは手間ですが、遅くとも食後には行う事なので考えるより先に手を動かしてます。
②洗剤・スポンジポケットは便利
幅23cm 奥行き5cm 深さ15cm(天板までは17cm)です。後付けのポケットもありますが、シンクに張り出さないので、作業性は良いと思います。
高さ15cmあれば、小さなボトル洗剤なら頭が少し出るぐらいで収まります。他に、食器・シンク用スポンジを2つと鉄フライパン用の金たわしを1つ置いています。

難点はKEYUKAの水切りカゴをポケット側に置けないこと。シンク内側の段差に引っ掛けるタイプのカゴですが、幅が合わず引っ掛ける事ができません。(ポケット幅23cm VS カゴ幅20cm)
カゴをポケット側に移動できると、コンロから鍋を運んでこぼす時、(コンロはシンク前に立った状態で、右後ろにあるので)鍋の移動距離が短くなり理想的。残念に感じてるポイントです。
③作業スペースは得意な方向を意識してサイズ確保を
作業スペースは幅96cm 奥行き91cmと比較的ゆったりしています。賃貸のキッチンは作業スペースがとても狭く、まな板を置くと他のものは置けませんでした。今はボウル・ザルを複数置いて下ごしらえができます。
肉じゃが・お浸し・豚汁の調理をイメージして配置しました。水切りカゴに皮剥いた根菜類を置き、正面にはゴミ入れとしてザルを1つ置きます。左手で野菜をとって、切ったら右のボウルに食材を入れていきます。

奥行き方向では使いきれない部分もあります。身長173cmですが、リビング側の15cm(赤色部分)は手を強く伸ばさないと届きません。身長の低い方だと、このエリアはさらに使いにくいと思います。
この部分は、ポータブルテレビを置くスペースとして使用しています。テレビを見ながら調理できます。レシピを表示したタブレットを置いても便利です。その他、キッチンペーパーや包丁ブロックを設置しています。

我が家のキッチンでは、端にある冷蔵庫から反対側へ移動しながら調理が進めます。冷蔵庫、シンク、まな板スペース、コンロ、ダイニングの順です。
一定方向で作業の流れを作ると動き易くなります。左右好みはありますが、自分の得意な方向も意識して設計すると使いやすいスペースになります。2人で作業する時も動線がぶつからずスムーズです。
④簡単な食事ならできる
シンクの前にあるスペースで、幅1m弱 奥行き30cmあります。フロントキッチンの表側に戸棚収納を設置したためできたスペースです。
キッチンのカタログでは、スツールに腰掛けこの部分を対面カウンターとして使う写真を見かけます。日常的使いはしませんが、来客時、ダイニングスペースが足りない時には便利です。

実際に皿やマグカップ、コーヒーカップを置いてみました。軽食をつまみなが話すには十分ですが、しっかり食事だとあと15cm奥行きが必要だです。また、レッグスペースが無いので足の収まりが悪いです。

キッチンの天板高さは87cm。通常のダイニングチェアでは座面高が足りません。IKEAのスツールと並べてみました。これで座面高73cmです。これぐらいあると、しっくりきます。
この部分だけ天板面を折り下げると使いやすくなりますが、その分フロント収納が少なくなります。フロント収納を設置すれば必ずできるスペースなので、どう使うかセンスの見せ所です。
⑤小物置き場以外の使い道はありません
据え付けのダイニングテーブルを延長している部分で、幅93cm 奥行き20cmあります。
テーブルを横付けする場合、まっすぐ真横に設置する形と、このように少しずらす配置を見かけます。非対称なデザインを強調するため、ずらす配置を選びましたが、このスペースはほとんど使い道がありません。

軽食スペースとして使えるかと思いましたが、充電ケーブルや植物用の水差しなどの小物置き場になっています。下の戸棚から物を取り出す時は仮置き台として使えます。キッチン単体で見るとデザイン重視の仕様です。
このずらしですが、テーブル背面のパントリーを考えるとメリットが見えてきます。
パントリーの折戸は開くと扉が42cm張り出します。テーブルがずれているので、誰かが椅子に座っていても扉を開き物を取り出す事ができます。
ずらしていなければ、毎回椅子の人に退いてもらい扉を開閉する事になります。
⑥4人がけならば十分なスペース
ダイニングテーブルでは、一般的に1人当たり幅60cm 奥行き40cmが必要とされます。天板サイズは 幅160cm 奥行き90cmです。右端20cmはテーブル脚が干渉するので、使える幅は140cmです。
4人がけで考えれば十分なスペースが確保できます。大皿2枚、中皿1枚、茶碗とお椀4セット、取り皿4枚、コップ4つで、写真のようなイメージです。

お誕生日席にもう1人分の食器を用意してみました。足元は少し狭そうですが、これでも60cm x 40cmは、5人分確保できています。

2人暮らしなのでここまで食器を広げることも珍しいですが、来客時でも十分に対応できるテーブルサイズです。
最後に
作業スペースは作業効率に直結します。普段の食事・調理手順を想定して、作業時に使う調理器具を並べて必要スペースを事前に調べると、設計時には具体的な打ち合わせができます。
キッチンは床下の給排水・LDKの大きさにも関わるので、間取り検討の早い段階で打ち合わせが始まります。
特にオーダーキッチンは決める事が多く、製造リードタイムも長くなるので、通常のシステムキッチンより大忙しです。使用中のキッチンで、寸法や不満点は早めにリストしておくと打ち合わせがスムーズです。
次回は、フロントキッチンの収納について、寸法や収納可能な物を深掘りします。
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