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家具

我が家の北欧家具紹介#6 ベンチマークと呼ばれる椅子「Yチェア ハンス J.ウェグナー」

2022年2月5日

Yチェア

我が家の北欧家具紹介は6回目。どこまでネタが続くか不安になってきます。今回は、テレビドラマでも頻繁に見かける大人気チェア「Yチェア(ウィッシュボーンチェア)」です。

フィンユールやポール・ケアホルムの家具が大好きな我が家。彫刻のような曲線美や力強い木目、重いステンレスの質感、濃色のレザーなど、どちらかと言うと男前な家具が並びます。

そんな中で、Yチェアは割とあっさりした椅子。周りの椅子と比べると毛色が違うと感じるほどです。男前な北欧家具とは少し違いますが、それでも、この椅子は絶対に外せませんでした。

この椅子を選んだ理由を踏まえつつ、椅子のベンチマークと呼ばれる「Yチェア」についてまとめます。

北欧家具の過去記事はこちらからどうぞ。

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ベンチマークと呼ばれる椅子

2020年11月末に「HIROSHIMA」と呼ばれる椅子を取り上げたTV番組(新美の巨人たち)が放送されました。プロダクトデザイナー深澤直人氏がデザインし、マルニ木工が製造する現代の名作椅子です。

ヒロシマチェア
"maruni-show-room"作者: jlggb is licensed under CC BY 2.0

アップル新社屋でも採用されたHIROSHIMA、実はベンチマークとして「Yチェア」を意識していたことが、番組中で紹介されました。新旧名作椅子の登場で観ていてテンションMAXです。

結局、この椅子なんだよね(by妻)

Yチェアと出会ったのは、我が家の建築会社「ジューテックホーム」のモデルハウス。北欧輸入住宅や家具メーカー「FILE」とのコラボレーションも行うこの会社、打ち合わせ時の椅子はずっとYチェアでした。

ダイニングチェアをどうするか話していたある日の夕食時、妻がポツリと言った言葉が印象に残っています。「結局、疲れないのはこの椅子なんだよね」。Yチェアの購入が決まった瞬間です。

デザイナー「Hans J. Wegner」

1914年、第一次大戦開戦の4ヶ月前、ドイツとデンマーク国境近くの町にウェグナーは生まれます。13歳で出会った家具展示会に感銘を受け家具の道を志し、17歳で家具職人の資格を得ます。

その後、家具デザインを学ぶためにデンマークの工芸学校に通い、オルガ M.ニールセンから家具デザインを学び、また、この頃に生涯の親友となるボーエ・モーエンセンと出会います。

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モーエンセンはアカデミーへ進学、ウェグナーは自主退学し実務の現場へ。道は分かれますが、2人の交流はその後も続きます。晩成だったウェグナー、不遇の時代を支えたのもモーエンセンとの関係だったそうです。

1943年のチャイナチェアを皮切りに、ザ・チェア、ベアチェア、バレットチェアなど名作を生み出し、生涯デザインした椅子は500脚以上と言われます。2007年、92歳でこの世を去ります。

チャイナの名を持つ2つの椅子

ウェグナーのデザインは不要なものを削ぎ落とし、家具の機能を形として表現すること。クリントの機能主義に強く影響を受けています。その実現のため、1つの椅子を何度もリバイズし熟成します。

1943年に発表されたチャイナチェア(FH4283)は、中国明朝の椅子「圏椅(クァン・イ)」をリ・デザインしたもの。現在もフリッツハンセンで製造されています。

その後、1945年には新たなチャイナチェア(FH1783)をデザイン。当初はフリッツハンセンで製造されましたが、現在は、PPモブラーによりチャイニーズチェア(PP66)として製造されています。

そして、1950年にチャイナチェアをリバイズしたYチェア(CH24)を発表。正式にはウィッシュボーンチェアと呼ばれますが、車のサスペンションのような背当てが3点で笠木と座面を支えます。

Yチェア

この過程で、笠木を支えるフレームは、チャイナの6本からチャイニーズの4本、さらにYチェアでは後脚と一体化した2本と大幅に減っていきます。これが機能を突き詰めたウェグナーの答えだと思います。

量産・オーク材へのこだわり

この一連のリバイズの中で、笠木の作りも大きく変わります。最初のFH4283の肘掛けは、3つの部品を継ぎ合わせて作られ、緻密な職人技を必要とする難しい加工です。

その後、FH1783では1本の曲木で笠木を成形することで、3部品を繋ぐ技術的なハードルを取り除きます。それでも、長方形の背当てを局面形状の笠木に固定するには技術が必要だそうです。

Yチェア(CH24)では、曲木の笠木を踏襲しつつ背当てをY字にすることで、曲面の笠木に固定しやすくリバイズ。後脚にも大きな曲木をもちいフレームの数を減らす事で、より量産しやすいデザインにします。

質の良い家具を多くの人に届けたいと考えたウェグナー。量産しやすい椅子をデザインすることが、生産者・消費者の双方の利益につながると考えます。その結果生まれた椅子がYチェアです。

Yチェア

また、当時はローズウッドやマホガニーといった希少樹種が持てはやされる時代。そんな中、国産材で安定的に供給されるオーク材にもこだわったとされます。最近のSDGsにも繋がる考えです。

Yチェア(Wishborn Chair)の特徴

ここからはYチェアの特徴を紹介します。よく考えられた椅子です。良質な家具という信念に加えて、しっかりと計算された座りやすさ、椅子のベンチマークと言われる理由がよくわかります。

姿勢は自由、とにかく疲れない

長時間椅子に座っていると、だんだんお尻が痛くなり、ずっと同じ姿勢だと肩腰回りが疲れてきます。そんな時は、お尻を前にずらして両腕を肘掛けに。体重のかかる位置が変わって座りが良くなります。

Yチェアの特徴

さらに、体を横に向けて片足を側面から出すと、笠木の上で頬杖をつく事も可能。曲木の後脚で肘掛けを支えるため、横から足を出す空間ができます。フレームを減らした効果です。

Yチェアの特徴

長い時は10時間、毎週末半年近く打ち合わせで使った椅子。購入前にこれだけ使えると自信を持って購入できます。モデルハウスにYチェアを用意していたジューテックホームに感謝です。

打ち合わせに名作椅子を用意しておけば、HMにとってはインテリアフェアでの売上・施主にとっては一生物の椅子との出会いと、お互いメリットがありそうです。

絶妙な長さの肘掛け

ダイニングチェアを選ぶ時、頻繁に立ったり座ったりする人は、肘掛けのない椅子がおすすめと言われます。肘掛けがあるとしっかり椅子を引かないと、立ち上がるのに肘掛けが邪魔になります。

Yチェアの特徴

その点、Yチェアは肘掛けが短いので、邪魔になりません。椅子を斜めにずらすだけで、スムーズに立ち上がることができます。ダイニングで肘掛けの欲しい人にはうってつけです。

次の写真はフィンユールの109チェアですが、肘掛けが前脚まで伸びています。しっかり椅子を引いて真っ直ぐ立ち上がらないと、肘掛けを引っ掛けてしまいます。

109チェア

短い肘掛けですが、座っている時は肘掛けとして機能するあたり、絶妙な長さです。これもまた、機能を突き詰めた結果。クリントから脈々と受け継がれる人間中心の設計を実感する事ができます。

骨盤を支える背当て

疲れにくい理由もう1つは、骨盤をしっかりと支えて立ててくれる背当。特にY字背当ての下部が、しっかり骨盤をサポートするので背筋が伸びて骨盤が立ちます。長時間でも腰が痛くなりません。

Yチェア

我が家ではいつの間にかこの背当て感が基準になっています。フィンユールの109チェアやリーディングチェアも、背当ての位置が低くサポート強め。椅子で腰が痛くなる人にはおすすめのポイントです。

クッションいらずのペーパーコード

Yチェアの座面はペーパーコード(紙を撚って紐状にしたもの)を巻いたもの。適度な撓みと反発がありクッションいらずです。購入直後は少し硬いですが、使っているうちに馴染んできます。

Yチェア

また、レーザーの座面と違って夏でも蒸れないのも大きな利点。耐久性も十分で10年〜15年は使用できるそうです。長く使う事が前提のウェグナーの家具、張り替えも比較的容易です。好きな人は自分で張り替えるとか。

製造会社・購入店

製造会社と購入店の紹介です。たまたまセール中で特価で購入することができました。

カールハンセン&サン

製造会社は、1950年の発売当時からカールハンセン&サンです。都内は青山外苑前にフラッグストアがあります。壁にいくつものYチェアが飾られており、2階ショールームには沢山の家具が並びます。

内装もとても参考になります。ここの内装壁でポーターズペイントを紹介してもらいました。北欧家具との相性は抜群です。おしゃれなランチがてら見学に行ってはどうでしょうか?きっと素敵な出会いがあると思います。

大塚家具のセール

ダンスクムーベルギャラリーからの帰り道、駅までの道すがら大塚家具の銀座店で見つけました。フィンユール家具の展示が多く、好きな店舗でしたが残念ながら閉店セールの最中。

そこで見つけたのがYチェアの現品処分品。値引き価格からさらに割引があり、ウォールナットのオイル仕上げ品を4割引で購入することができました。閉店は寂しいですが、安く買えたのは良かったです。

素材はウォールナット

素材は他の家具との調和も考えて色の濃いウォールナットのオイル仕上げ。家具だらけの販売フロアに長期間置かれていたからか、少し乾いた手触りでした。届いてからオイルを足して磨き上げました。

久々に公式HPを見ましたが樹種・仕上げ・色を掛け合わせると、42種類にものぼります。一番安いもので10万円から高いもので20万円ぐらい。何十年と使える事を考えると決して高くはありません。

生誕記念の限定モデルも

このYチェアには、ウェグナーの誕生日4月2日からの7日間限定で注文できる限定モデルがあります。2017年から始まった企画ですが、2021年はマホガニー材のグロス仕上げでした。

フレームの内側には限定品を示す真鍮プレートが付いています。2022年以降も続くのか、どんなモデルが出るのか楽しみです。購入を検討中の方は、3月末まで待ってみるのも一案です。

最後に

今回はハンス J. ウェグナーのYチェアを紹介しました。丈夫で座りやすい上、北欧の名作椅子としてはかなり購入しやすい価格です。1脚あるととても重宝する椅子です。

最近は在宅仕事も増えているので、書斎の椅子を考える際は、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?いつも以上に、仕事が冴え渡るかも知れません。

最後まで読んで頂き有難うございました。次回は、再びポール・ケアホルム。ローテーブルPK 61を紹介します。

 

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