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Web内覧会 LDK#7 ダイニンングを飾るビンテージPHランプとチェア

新築合わせて購入した家具や照明の中から、キッチンまわりにあるものを紹介します。これらの色や質感を基準にキッチンの配色を決めました。

特に重要なのは飴色のビンテージPHランプ。この照明の色からHans Groheの水栓、キッチン小口のハイライト、バック側の壁面タイルが決まりました。我が家を象徴するアイコンです。

90年前に製造された初期のPH3シェード

銀座にある「Luca Scandinavia」で出会ったポールヘニングセン PH2-2です。ダイニングの照明として使用しています。復刻で琥珀色のPH2/1が数量限定で販売されしたが、そのオリジナルです。

1930年代に製造され第二次世界大戦の戦禍を乗り越え、遠く離れた日本の我が家にあります。そう考えると感慨深く、以前はどんな家庭を照らしていたのか考えてしまいます。

ボトムボウルもある希少品

3枚のシェードとボトムボウル(底面のドーム状部品)で構成されています。

昔の電球は寿命は短いので、頻繁に分解して電球を取り替える必要があります。その際に、ボトムボウルを落として割ることも多く、完全に残っているものは希少性が高いとのことです。

LEDライトを取り付けており、当面の間、分解する必要はありません。

年代を感じさせる素材

復刻版は真鍮製のブラケットですが、オリジナルはベークライト(フェノール)です。1907年に発明され、1920年にはココ・シャネルがブレスレットに使うなど、当時の最先端素材です。

ガラスのシェードには所々気泡があります。ガラス原料中の不純物が成形過程で燃え尽きて気泡になります。現代の技術では再現できない、製造当時ならではの素材感です。

全体に光を届けるガラスシェード

PHランプにもいくつか種類があります。代表的なPH5のシェードは金属で、光を透過せず、光を放つ方向を調整することでグレア(ギラつき)を抑えます。

このタイプのガラスシェードは、ガラス表面にサンドブラストやエッチングで梨地加工をし、グレアを抑えながらランプ全体で輝きます。

PHの3シェードシステムでは、3枚のシェードは一定の比率で大きさが変わります。PHの後ろの数字は、トップシェードの大きさ、ハイフン以降の数字は残り2枚の大きさを示します。

PH2-2は、PH2というトップシェードに、オリジナル比率通りの2枚をつけたものです。対してPH2-1という場合は、PH2のシェードにPH1の2枚をつけたものになります。

これだけでは少し暗い

アイコニックで可愛らしい照明ですが、食卓を照らすにこれだけでは少々暗いです。狭角のスポットライトを2灯、補助灯として併用しています。

狭角ライトを使うことでPHランプに強い光を当てず、PHの柔らかい輝きを十分に発揮できるように工夫しています。

ちょっとした難点

ダイニングテーブルでホットプレートや鍋が使えなくなりました。お好み焼きを焼いていた時、立ち上がる油を含んだ湯気がこのPHに直撃。それ以降、食卓での調理はNGです。

掃除の仕方

値段もさる事ながら、万が一割ってしまうと代わりのシェードは手に入りません。どうやって掃除するか、納品前からずっと考えていました。

大塚家具の担当さんから白手袋(内覧会やOB訪問で使う手袋)を使う方法を教えてもらいました。シャンデリアやアーティチョークといった高級で複雑な形の照明は、この方法で掃除しているそうです。

手袋をした状態で優しく撫でると埃を取ることができます。安心して掃除ができます。

このビンテージPHの偽物が海外で販売されていたそうです。ビンテージ品の販売店など、信頼できるルートでご購入ください。

Model78 / N.O.Møller(ローズウッド、ビンテージ)

N.O.Møller Model78チェアを1脚、ダイニングチェアとして使用しています。相模原市にある「Moto Furniture」で購入したビンテージ品です。

現行品も変わらずJ.L.Møllersから販売されています。

座面は張り直しのレザー、フレームはブラジリアンローズウッドです。ダイナミックな木目の存在感は抜群です。気にはなりませんが、座面左前の角に修理跡があります。

貫がないシンプルな構造

Møllerの椅子は、一般的な椅子とはフレームの構造が異なっています。通常は、強度を高めるために4本の足をつなぐ「貫」という部品を使いますが、この椅子には貫がありません。

貫は、体の重心が移動する時の横方向の力に対して、台輪(座面の枠)と共にフレームを支える部品です。これがないと台輪と脚の繋ぎ目に力が集中し、接続部が抜け易くなります。

Møllerの椅子は、貫を廃し極太の台輪を使うことで強度を出すことで、細身の脚やフレームが際立ち、とてもすっきりとした印象の椅子に仕上がっています。

レザー1枚貼りの座面

座面はレザー1枚張りでクッション材は入っていません。座ると適度な革のしなる座面が、体を柔らかく支えます。ウレタンなどのクッション材とは異なる座り心地です。

ペーパーコードの座面と同じように、使い込むほどに座面がしなやかになっていきます。残念ながら、ダイニングテーブルの角で多少傷をつけてしまいました。長く使っていきたいと思います。

CH24 Y Chair / Hans J. Wegner(ウォールナット、現行品)

Hans J. WegnerデザインのYチェアです。カールハンセンの現行品で、ウォールナット材のオイルフィニッシュ、座面はペーパーコードです。

ジューテックホームとの打ち合わせで座っていたのがこの椅子。ダイニングチェアを探している時に、「あの椅子がよかった」と言い始めた妻が使っています。

Yチェアという名前

ウィッシュボーンチェアが正式名称ですが、愛称はYチェア。名前の由来はY字の背当てです。骨盤をしっかり支えるので長時間座っても疲れにくく、今でもベンチマークとされています。

FinnJuhlの109や48アームチェアも同じです。骨盤を立てるように支えてくれるのが、疲れにくい椅子共通の特徴です。

テレビ番組「新美の巨人たち」でも紹介されていました。Hiroshimaチェアのデザイナー深澤 直人さんは、Yチェアをベンチマークとしてデザインしたそうです。ドラマやCMでも良く見かけます。

ここぞという時に役に立つ、控えめな肘掛け

肘掛けもこの椅子の特徴。わずか10cmフレームが張り出しているだけで、座っている時は気になりません。しかし、長時間座っている時、立ち上がる時には驚くほど役に立ちます。

WegnerのChinaチェアでも同じような肘掛けがあります。邪魔にならないのに必要な時はしっかり役割を果たす、本当に考えられた椅子だと思います。

ウェグナーの家具作り

容易に張り直しのできるペーパーコードと、太くしっかりしたフレームで、生涯のパートナーとして長く使い続けられる椅子です。

現行品はオーク材が中心で、これはデザイン当時のWegner自身の指示だそうです。装飾性の高い樹種が好まれた時代に、多くの人が長く使えるようにオーク材を中心に製作指示を出したそうです。

サステナビリティが叫ばれる昨今ですが、座り心地だけでなく素材の選定においても、ベンチマークとして語られる理由があります。

最後に

Web内覧会 LDKの最終回は、キッチン周りの北欧家具を紹介しました。PHランプはすでに90年経過していますが、他の家具も長く使う事を前提に作られた家具です。

大量生産・消費の時代も転換期を迎え、日本の伝統家具や北欧家具のように長く使い続けられる家具があらためて注目されています。大切に使い続けたいと思います。

最後まで読んで頂き有り難うございました。次回は、LDKを離れ、水回り(ユニットバウス・ランドリー)を紹介します。

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