iPhone3Gが発売され、便利なものができたと飛びついてから10年以上。生活インフラとして当たり前に使っているスマホですが、「使えない」と大変です。
前回記事で紹介した通り、我が家は「携帯電波の入らない家」。引っ越し時は家電・家具の搬入など携帯電話が必須なので、引っ越し前にフェムトセルの設置を目指しましたが、残念ながら間に合わず。こんなに手続きが分かり難いとは思いませんでした。
そこで今回の記事「導入編」では、DOCOMOフェムトセルの導入方法・手続きのポイントを紹介します。新築で導入する場合、既存の建物とは異なる事情があります。これが厄介です。我が家と条件が近い方は是非参考にしてください。
- 契約状況:妻 Docomo 夫 SoftBank(Docomo系に乗り換え予定)
- インターネット契約:旧宅は解約済み、新居で新規契約・開通予定
- 新築建物で、建築地付近はエリア内だが建物内には電波が入らず
前回記事では、新築途中で分かった「携帯電話が入らない問題」の原因を、「建物」「立地環境」から説明しました。
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目次(ジャンプできます)
電波改善機器について
まずは、フェムトセル導入にを導入するには、少し面倒な手続きが必要です。
自社基地局を持っている4キャリアの場合、携帯会社に連絡すると電波改善機器を無償で借りることができます。格安SIMでは有償・無償問わず機器はありません。電波が弱い場合、電波の異なる格安SIMへ乗り換えです。
電波改善機器は大きく2種類。4キャリアのHPで提示されています。(ただし、楽天はフェムトセルのみ。)
電波増幅機器「レピータ」
1つ目は「レピーター」と呼ばれる電波を増幅する機器です。電波状況がよい窓際や専用の屋外アンテナを使用して、電波の弱い場所へ増幅した電波を送ります。
あくまで電波を増幅する機器なので、宅内電波が弱すぎると効果はありません。家の周囲で電波が拾える場合、外壁に穴を開け「ドナーアンテナ」と併用することもできます。
ただし、レピーターが電波を送れる範囲はかなり狭く、6畳程度の個室の窓際に置いてをピンポイントで電波を改善する程度です。
超小型基地局「フェムトセル」
2つ目は「フェムトセル」と呼ばれる超小型基地局を設置する方法です。
これは家の中に小型の基地局を開設し、インターネット回線経由でキャリアの設備まで接続する方法です。電波改善効果は高く、40坪程度の平屋であれば全面的に改善可能です。
ここに注意!
フェムトセルの導入には、キャリア指定のインターネットプロバイダーとの契約が必要です。
フェムトセルの場合、インターネット回線を経由してキャリア回線に繋ぐのでプロバイダーでの通信量が増加します。事前に了解をとる必要があるので、プロバイダーは各キャリアの自社サービスが大半です。(Docomoはドコモ光、SoftBankはソフトバンク光など)
指定プロバイダーは、キャリア各社のHPに記載されています。
格安SIMや3キャリアの格安プランでも使えるか?
3キャリアからも格安プランが発売されています。格安プランに乗り換えた時はどうなるのか、確認しました。
- ahamo(Docomo) "料金プラン「ahamo」をご契約のお客さまもご利用になれます。"
- povo(au) "povoはご自宅の訪問調査の対象外です。" "既にauフェムトセル・auレピータをご利用中でauからpovoへ移行したお客さまは、当面の間は引き続きご利用いただけます。"
- Linemo(SoftBank) 明確な記載なし。"SoftBank携帯電話契約が必須" "シンプルスタイル(プリペイド携帯電話)は対象外。"
フェムトセルを新規設置する場合は「ahamo」の一択です。「povo」の場合は、au契約時に設置し、乗り換え後そのまま継続使用は可能。Linemoは全くわかりません。
フェムトセル設置の際は(キャリアから)国への設置届けが必要です。届出要件に現地の訪問確認が含まれているかもしれません。povoは訪問調査を行わないので新規設置不可の意味も理解できます。
2022.1.30 追記)
povoも電波改善の対象となっています。訪問調査は無しは変わらず。公式HPから手続きできます。
ワイモバイルでもソフトバンクの改善機器を借りれるそうです。公式HPには記載ありませんが、実際に借りている方の記事があります。おそらくLinmoも可だと思います。これで、全てのサブブランドで電波改善機器のレンタルが可能になっています。
フェムトセル導入の手続きと要件
ここからはフェムトセルの導入手続きです。この手続き行う場合、いくつか満たすべき要件をがあります。
申し込み前の手続き
新居への引っ越しと同時にフェムトセルを使う場合、この手続き要件が大きなハードルとなります。結局、引っ越しには間に合いませんでした。我が家の流れは以下の通りです。
9/17 電波調査の申し込み
楽天以外のキャリアは、電波調査を行わない限り何も進まず、フェムトセルの設置可否も分かりません。DocomoはHPや電話で申し込めます。現状を確認されるので、家の周囲や内部の状況をまとめておくと便利です。
申し込み時のポイント
・「建物が実際に居住するのと同じ状態」が必須。新築の場合、「屋根・外壁・壁紙の施工が終わり、足場・仮設フェンスも全て外れた状態」が電波調査の要件です。
・予約変更不可。確実に調査できるタイミングで予約するように言われます。工事が遅れて条件を満たさない場合、キャンセルし再予約が必要です。希望日時の枠が埋まっていると待つしかありません。
※悪天候など工事の遅れもあるので、余裕を持って決めるしかありません。キャリア側の事情(電波調査の正確性)も分かりますが、新築の場合は苦労します。
10/15 電波調査実施
電波改善を依頼すると、調査員が派遣され宅内・家周辺の電波状況を確認します。その調査結果をもとに、レピーター・フェムトセルのどちらで行くかが決まります。
我が家は、ハウスメーカーとの現場打ち合わせ時に調査員に来てもらいました。現場監督もいるので、穴あけが必要となった場合、住宅メーカーとしての意見がすぐに聞けて好都合です。主な調査結果は以下の通りです。
- 南側の和室・主寝室は、受信はできるが通話が安定しない
- 他の部屋は、電波を全く受信できない
- レピーターの場合ドナーアンテナが必須(壁に穴あけ)
- ただし、レピーターでは家全体はカバーできない
- フェムトセルならば40坪の平屋全体をカバーできる
- 宅内に電波がないので電波干渉が起きにくくフェムトセル向き
ONU・ルーター・フェムトセルの設置位置・注意事項を確認し、めでたくフェムトセル設置で進めることに決定。調査員によると、家の外観を見た時点で「壁に穴を開ける選択肢はなかった」そうです。
建物自体は高気密・高断熱住宅に分類される性能です。携帯電波のためとはいえ、新築の外壁に穴を開けるのは嫌です。実際、大半の家で嫌がられるそうです。
フェムトセル向きの環境
フェムトセルを設置する場合、フェムトセルの電波と外部電波が混ざることが1番問題だそうです。
フェムトセルが(同じキャリアの)外部電波を感知した場合、電波干渉を防ぐために出力を抑制するため、外部電波の入らない我が家は出力を維持できるフェムトセル向きの環境とのこと。
ちなみに、Wi-Fiルーターの電波も影響するそうです。最低60cm離さないとフェムトセル側の出力抑制がかかると説明を受けました。我が家は棚の上下に分けて設置し、1mの間隔を空けています。
次のページでは「フェムトセルの申し込み・到着・稼働開始の流れ」を紹介します。