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新築住宅は要注意!3ヶ月かかったフェムトセルの導入手続きと注意点
前回の記事では「我が家が携帯電波のない家」になった理由を紹介しました。
今回の記事では対策として導入した「フェムトセル」の「導入手続き」「手続き要件」について我が家の体験談を紹介します。新築の場合は特に困難を極める手続きです。
前提となる条件は次のとおりです。同じような条件に当てはまる方は注意が必要です。
- 契約状況:妻 Docomo 夫 SoftBank(Docomo系に乗り換え予定)
- インターネット契約:旧宅は解約済み、新居で新規契約・開通予定
- 新築建物で建築地付近はエリア内だが建物内には電波が入らず
また、電波改善機器は楽天モバイルを含めた4大キャリアの電波改善として実施されており格安SIMではこのようなサービスは見かけません。
目次(クリックで開閉)
2種類の電波改善機器
4大キャリアのHPにも記載がありますが、電波改善として2種類の機器が用意されています。1つは「レピータ」という電波増幅装置。もう1つは「フェムトセル」という超小型基地局です。順番に説明します。
レピーターとは
レピーターは、既存の携帯電波を受信して増幅して再送する装置。主に電波が弱い場所に設置され、強い電波がある場所(例えば窓際や屋外)から受信した電波を増幅して、電波の届きにくい室内の特定のエリアに拡張します。
メリット:
- 設置が比較的簡単: 電波が届く場所に設置するだけで良い
- 即時の電波改善が可能: 設置後すぐにそのエリアの電波状況が改善される
デメリット:
- 限られた範囲のみの効果: 電波を増幅する範囲が限られ、家全体はカバーできない
- 外部電波が必要: 元となる十分な強さの電波がなければ機能しない。完全に電波の届かない場所では効果なし
- 電波の品質に依存: 元の電波状態が悪い場合、増幅後の電波状態も悪い
フェムトセルとは
フェムトセルは自宅に設置する小型の基地局で、インターネット回線を使用して携帯電話のキャリアネットワークに接続します。これにより、家全体に携帯電話の電波を供給することができます。
メリット:
- 家全体のカバレッジ: 小規模でも本格的な基地局の機能があり家全体に電波を届ける
- 安定した通信品質: インターネット経由でキャリアに接続するため外部の電波状況に左右されない
- 複数デバイスのサポート: 多くのデバイスが同時に利用でき家族全員が恩恵を受けられる
デメリット:
- インターネット依存: 高速で安定したインターネット接続が必要。インターネットが切れると機能しない
- 初期設定が複雑: インターネットの接続設定やキャリアとの調整が必要な場合があり、設置までに時間と手間がかかる
- キャリアとの契約条件: 特定のプロバイダーとの契約が必須の場合が多くプロバイダーが自由に選べない
- 1つしか設置できない:フェムトセルは1つしか設置できず、キャリア間の互換性はない
どっちを選ぶ?
レピーターは手軽に電波を改善できる選択肢で特定の小さなエリアに適しています。家全体の電波状況を改善したい場合はフェムトセルが最適です。
しかし、フェムトセルの設置には手続きに時間と手間がかかる他、プロバイダやキャリアとの契約も制約もあります。家庭の状況に合わせて適切な選択をすることが重要です。
ちなみに、フェムトセルと同じキャリア電波を使うのであれば、格安SIMでもフェムトセルの電波を利用できます。
通信費を抑えたい場合、1人がサブブランドで契約してフェムトセルを導入、残りの家族は格安SIMで相乗りするという方法でも使えます。
フェムトセル導入の流れと新築での課題
新築で引越しと同時にフェムトセルを導入したい場合、手続きする上での要件がハードルになります。我が家は間に合いませんでした。まずは手続きの流れです。
- 電波調査の申し込み(条件あり)
- 電波調査の実施(条件あり)
- フェムトセルの申し込み(条件あり)
- フェムトセルの到着と設置
- フェムトセルの開通
問題は条件ありと記載した最初の3ステップです。
電波調査の申し込み(条件あり)
フェムトセル導入には、まず電波状況の確認が必要です。このためには、携帯会社に依頼して現地での電波調査を行う必要があります。
電波調査の日程予約の際に、次の条件を確実に満たす候補日を出して欲しいと言われます。
- 屋根と外壁の完全な施工完了
- 足場の撤去
- 室内の大部分の仕上げ(クロスやフローリングの施工)
ほぼ引き渡し直前の状態です。建築途中のハウスメーカーに確認しても、確実にと言われると誰もが答えに困ります。
また、調査員という部外者が引き渡し前に宅内に入るので、嫌がるハウスメーカーもあるだろうと想像できます。
工事遅れの可能性も加味して引き渡しの1ヶ月前で予約を取りましたが、万が一工事が間に合わない場合は、調査キャンセルで再予約とのことです。
電波調査の実施(条件あり)
予定どおり建築が進めば予約日程で電波調査の実施です。実はこのタイミングで「レピーター」か「フェムトセル」かが決まります。
調査員は2名で、1時間くらいかけて建物の外周と内部の電波強度を調査します。調査結果は次のとおり:
- 2部屋は受信できるが安定せず、他の部屋は全く受信できない
- レピーターの場合外部アンテナが必要。しかし家全体はカバーできない
- フェムトセルなら家全体で電波を拾える
- 宅内に電波がないのでフェムトセル向きの環境
この調査結果にもとづきフェムトセルの導入が決定しました。(新築という時点でフェムトセルだろうと考えていたそうです。)
調査の時にフェムトセル設置上の注意も説明がありました。
- 外部の携帯電波と干渉する場所には設置しないこと:
同じキャリアの電波を検知すると出力が抑制されるそうです。全く電波のない我が家がフェムトセル向きと言われた理由です。 - Wi-Fiルーターとは設置場所を離すこと:
直線距離で60cmは離す必要があるとのこと。我が家は縦方向ですが1m離して設置します。
フェムトセルの申し込み(条件あり)
ようやくフェムトセル本体の申し込みです。しかし、ここでも新たな条件が発覚し大騒ぎ。フェムトセルの申し込みには「ONUのシリアル番号」が必要です。
一般的にONUはインターネットの開通工事の数日前に届きます。引き渡し1ヶ月前に手元にある訳ない。工事日程を変更してもらいましたが、ONUが届いたのは電波調査から3週間後。
実はトラブルがもう1つ。
ONUは設置場所の住所(=引き渡し前の工事中の新居)にしか配達できないとのこと。
結局、発送後に送り状を送付してもらい配送会社に事情を説明し営業所で受け取りに変更。免許証の住所と配送先が違うので、念の為に建築契約も持参して受け取りました。
フェムトセルの到着
フェムトセルの申し込みから1ヶ月後、ようやくフェムトセル本体が届きました。残念ながら引越しの2週間後です。
フェムトセルは携帯電話の基地局なので、開設には総務省での手続きが必要だそうです。形としては利用者が携帯会社に変わって宅内に基地局を設置するとか。
仕方のないことですが、携帯なしでの引越しは本当に大変でした。
引越し荷物・家具・家電の配送時間、業者が道に迷ったなど何が起きても電話は鳴らない、使えない。
諦めて待つしかありません。
フェムトセルの設置と開通
設置に必要なケーブルやハブもフェムトセルと一緒に届きます。
説明書の通りに、ONU直下に付属のハブを設置してフェムトセルとルーターを接続。通信が始まりランプが点滅しますが、実際に使えるようになったのは4日後でした。(取説には1週間程度との記載があります)
調査の申し込みから開通まで3ヶ月かかったことになります。
接続方法について
この接続方法はドコモのXiフェムトセルの場合です。キャリアによって仕様が異なり、Softbankはルーター直下、auは専用機器を介して接続するそうです。(各社HPによる)
ドコモの場合、付属のハブが原因でネット接続が不安定になるとの情報もありますが詳細は不明です。我が家では不安定さは感じていません。
フェムトセル設置のまとめ
フェムトセルの認知度は低くネットの情報も限られていました。プロバイダーでも電話窓口の人はフェムトセルってなんですか?という状態です。
また、高断熱住宅やLow-Eガラスが携帯電波に影響することは、キャリア側でもあまり認識されていなかったようです。「木造住宅ですよね?」ってな対応です。
手続きの要点だけまとめます。
- 電波調査の予約をとる(建物の状態が条件)
- 電波調査でフェムトセル設置が決まる
- フェムトセルの申し込み(ONUのシリアル番号が必要)
- 1ヶ月後に本体が到着
- 設置後、1週間程度でフェムトセル稼働開始
高断熱住宅・Low-Eガラスは今後も増え続けます。また、5gになると屋内の電波環境はさらに厳しくなります。もう少し新築に優しい手続きにしてほしいと感じました。
次回は、フェムトセルの効果を検証します。最後まで読んで頂きありがとうございました。