新築建物で携帯電波が入らないと分かったのは、コロナ禍で在宅仕事が増えたタイミング。携帯が使えなくては何もできません。気がついた時は目を疑いました。一大事です。
着工前、土地の前で不動産屋と電話したり、地鎮祭、上棟の時も携帯で撮った写真をLINEで送ることができました。毎週末現地へ行ってましたが、窓が入り外壁が完成した頃から徐々に状況がおかしくなります。
そして、屋根が完成した頃、建物の中では全く電波が拾えなくなりました。予想もしていませんでしたが「電磁波フリーハウス」ができてしまいました。
この電波遮断の原因は、「郊外・田舎移住」「平屋人気」「高気密・高断熱・高耐久」といった、昨今の新築キーワードにも密接に関わります。
前編の今回は、我が家で発生した問題の原因を説明します。最終的にはフェムトセル導入により解決済みです。(解決編で説明)
電波が遮断された我が家の環境・仕様
ネット記事を読み漁り、我が家の環境・仕様に照らし合わせた結果、いくつかの要因が重なり合って「電磁波フリーハウス」ができてしまったことがわかりました。
山間で基地局まで遠く電波が弱い地域
まず1点目ですが、我が家の立地が、基地局との距離が遠く、エリア内ではありますが比較的電波の弱い地域という事。3方向を山に囲まれた山間の土地です。おしゃれな観光エリアから離れた住宅地です。
基地局の位置は開示されていないので正確には分かりませんが、プラチナバンドエリアであることから、少ない基地局で広範囲をカバーしており、基地局までは距離があると想像できます。
プラチナバンドに関する補足です。楽天モバイルの資料には、以下の特徴が記載されていました。
"プラチナバンド800MHzの場合、電波が(建物を)回り込んで届く、建物で減衰せず屋内に浸透しやすい" "電波が屋内にも浸透しやすく、すみずみまで届きやすい"
出典: 楽天モバイル株式会社 資料 制度WG1-3-2
最近、あるキャリアの基地局開設案が、電磁波や景観を理由に自治会で否決されました。こういった状況を考えても、我が家の近くに基地局がない事は容易に想像がつきます。
こういった事から、我が家の立地は、基地局との距離があり、周りを山に囲まれた、電波強度が弱い場所と考えています。
3方向を2階建に囲まれた平屋住宅
2点目は周辺建物による影響です。平屋住宅は2階建住宅に埋もれやすく、隣家で電波が減衰・遮断されやすいとの事です。
隣家との距離は2m近く離れているので、都市部に比べると条件は良い方だと思いますが、平屋のため2階建隣家の影に完全に入ってしまいます。基地局は隣家の方向にあると推測していますが、完全に隠されています。
電波調査の時、南側前面道路に面した3部屋の窓際は若干電波が拾えるとの説明でした。大きな掃き出し窓も理由ですが、前面道路が広く電波が十分に回りこめていると考えます。
このことから、平屋の我が家は隣接住宅の影に入り電波減衰・遮断の影響を強く受けていると考えられます。
高性能建材による影響
3点目は、屋根・壁・窓という建材による影響。建材内の金属により、携帯電波は減衰・遮断されやすいそうです。
ネット検索で、「金属・電波・遮断」と入れると多くの情報が出てきます。電磁波シールドで調べたところ、分かりやすい説明が出てきました。
"電磁シールドに用いられる代表的な物質としては、板金、金属網、発泡金属、プラズマ(イオン化された気体)がある。"
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「板金や金属網などで覆うことで、(携帯電波を含む)電磁波を遮断するシールドを作ることができる」そうです。
例えば電子レンジの扉。内側に黒い網やドットが印刷されています。中を見るためにガラス扉が必要ですが、ガラスだけだと電磁波が外に漏れ出します。金属を含むインクで網目を作り、電磁波を遮断しているそうです。
我が家の建材仕様について考えてみると、採用している建材は全て電波を遮断するものでした。
- 屋根:ガルバリウム鋼板 = 「板金」屋根
- 壁:吹き付け外壁 = 壁内にラス網と呼ばれる「金属網」がある
- 窓:Low-Eトリプルガラス = 「金属皮膜」でコーティングされた複層ガラス
戸建・マンション共に外壁や屋根は電波遮断力が高く、一般的には、携帯電波は窓を通じて屋内に届くとされます。高性能窓を導入すると、唯一の電波流入路が影響を受けます。
「全く拾えない」まではいかなくても、宅内の携帯電波が弱くなるとは考えられます。
建築の進捗とともに、電波が弱くなっていった理由が分かりました。窓・壁・屋根の順で電磁波シールドができていったことになります。
内側に開く中庭のある家
これは我が家固有の事情ですが、中庭があるため外向きの大きな窓は寝室・客間の掃き出し窓のみ。結果、家の外向きには電波遮断力の高い外壁の割合が多くなります。
中庭にでればなんとか通話できるレベルですが、Low-E複層ガラスを透過するほど強い電波ではありません。
Low-E複層ガラスが電波を完全に遮断するわけではありません。我が家でも南側の窓近くは、なんとか通話できる時もあります。周辺環境により電波強度が弱いところに、電波を遮断する建材でダメ押しをした結果です。
電磁波フリーハウスになった原因のまとめ
結論としては、以下の複数条件が重なり合うことで「電磁波フリーハウス」が出来上がったと考えています。
- 基地局との距離が離れやすい山間のプラチナバンドエリア
- 周辺の住宅に埋もれやすい平屋
- 高性能窓を採用
- 外向きの窓が少ない中庭のある家
昨今の新築キーワードと重なる点もあります。状況が近い方は早めに電波状況を確認しておくと、我が家のようなバタバタ対応を回避できます。
次回は、電波問題を解決したフェムトセルについて紹介します。問題は導入にあたっての手続き。特に新築には厳しい条件がたくさんありました。
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