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タイル床のメリット・デメリット、建てる時は大変、住んでからは手間要らず!
我が家はデンマークの建築家「Halldor Gunnløgsson」の自宅をイメージして設計。その家の床は大理石ですが、それは予算オーバーなので石目調のタイルを採用しました。
タイル床での生活は初めてなので、ネットで見かけるデメリット情報に不安を感じていました。実際に建てて1年住んでみて感じた「タイル床のメリット・デメリット」をまとめます。
結論としては、建てる時は費用・手間・時間がかかるが、住んでからは手間要らず。選んでよかったと思います。
目次(クリックで開閉)
タイル床のメリット
タイルは高圧・高温で製造される工業建材で、その特徴は他の床材とは大きく異なります。タイル床のメリットは次の通り。(床材なので磁器タイルとして説明します。)
高いデザイン性と工業品の品質
タイルは皿や茶碗と同じ磁器製品。着色もしやすいので色や形様々なデザインがあります。代表的なデザインは石目・木目・金属・ガラスなど。釉薬の有無、焼成温度でも表情が変化します。
天然石との比較では、タイルは工業品のため寸法や硬さ、模様、色が安定している点がメリット。天然石では「厚みのバラつき(=床の凹凸)は許容して欲しい」と言われ断念しました。
工業タイルの模様
最近は、インクジェットプリンターで印刷されたタイルもあります。木目や石目など本物と見間違えるほどの高精度です。理屈上は柄のリピート無しも可能です。
掃除・メンテナンスに手間がかからない
磁器タイルは食器と同じく、汚れや傷に強い素材。硬く水も吸わないので、ゴシゴシ手荒に掃除しても何ともありません。無垢木床と比べると気楽なものです。
普段の掃除はロボット掃除機にお任せ。料理後のキッチン周りは、気になる時に床掃除シートでざっと拭いて終わり。どうしても取れない汚れは、最後の切り札メラミンスポンジです。
メラミンはキッチン天板や食器でも使えるほど硬い樹脂。掃除対象を傷つける事もあり、これが使えるだけで安心感が違います。
経年劣化の少ない高い耐久性
経年劣化を生む主な原因は水・紫外線・熱。磁器タイルが劣化しないのは、これらの影響を受けにくいためです。特に、水分は温度変化で膨張収縮するため割れや変形の原因になります。
高圧で圧縮し高温で焼成されたタイルは内部に空気や水分が残りません。表面はガラス化し吸水しにくく、熱や紫外線で劣化しやすい有機物も高温焼成で燃え尽きます。
結果、水・紫外線・熱の影響を受けにくい耐久性の高い建材になります。長期耐久性を誇る最新建材も、これらの影響を遮断するための仕組みを備えて、長寿命を実現しています。
夏は冷たく、冬は床暖と組み合わせて暖かく
平屋や2階建ての1階部分は床下温度の影響を強く受けます。夏は冷たく気持ちの良いタイル床ですが、冬は氷のように冷たく、まさに底冷えです。
このため、タイル床では床暖房が必須。タイルは、フローリングなどの木材より熱伝導率が高く、即効性の低い床暖房でも比較的早く温まります。空気も乾燥せず、頭寒足熱で快適です。
我が家の個室(フローリング)・和室(薄畳)・LDK(タイル)を比べると、タイルの床暖房が一番暖かく感じます。床暖房との相性の良さを実感します。
タイル床を選ぶデメリット
質感・デザイン性・耐久性の高いタイルですが、デメリットもあります。実際に建てて住んで感じたデメリットを紹介します。
費用・工期がかかる
タイルは前段取り・乾燥時間が必要なので工期が長くなります。さらに、その長い工期が全て現地施工で、タイル専門の職人さんが施工します。費用も応じて高くなります。
養生、下地、墨出し、タイルカットの後、ようやくタイルの貼り付けです。目地入れは施工したタイルが乾燥してから行い、目地が乾燥しないと他の作業はできません。
我が家は、和室・寝室・仕事部屋(各6畳)以外の延べ60畳がタイルです。工程表の工期は2週間でフローリングの2倍。つなぎ融資の金利を考えると、施工費以外にもコストがかかります。
コスト・工期は高い質感やデザイン性の裏返しと理解し、十分な施工期間をお願いしました。つなぎ融資は、金利手数料が2年間定額の融資を活用できたので影響はありませんでした。
硬さに起因するデメリット
メンテナンス性や耐久性などメリットになる硬さは、裏を返すとデメリットにもなります。
床が硬く腰が痛くなる「床が硬く腰が痛くなる」といった話を見かけますが、実感はありません。厚手の室内履き(クロックス)を使っているためかもしれません。来客用のスリッパも同様にしています。
食器を落とすと粉々になる引っ越して1年経ちますが、食器を落としたことはありません。食洗機と収納を対面にし、食卓はキッチン横に連結するなど、食器の移動距離を短くする工夫が効いているかもしれません。
また、来客時を考えて、子供用の食器はメラミン製を用意しています。食洗機も使え頑丈なので、中庭BBQ時でも活用しています。
小さな子供・高齢の両親がいる場合は注意タイルは硬いので、転んだ時の衝撃は大きいです。小さな子供や高齢の両親がいる場合は、ラグやクッションタイルを敷くなど対策が必要です。
横になると硬くて痛いので、畳スペースを併設すると逃げ場所になって重宝します。赤ん坊連れの来客があった時は、和室がユーティリティスペースとして大活躍でした。
音が響く床が硬く、物を落とした時は家中に音が響きます。フローリングなど柔らかい素材だと、もう少し落ち着いた音になります。硬いタイルだと、高めの音がキーンと響きます。
カーテン・ラグなど吸音要素が入れば多少は落ち着くそうです。我が家にはカーテンがないので、ラグや絵画による吸音を考えています。
タイル床は決める事が多く手間もかかる
タイル職人にお任せなら目地色ぐらいですみますが、メインの床で採用となるとそうもいきません。メーカーも多くてショールーム巡りだけでも数日かかります。
全体的には楽しかったのですが、配置・目地幅・見切り等とにかく決める事が多いので、こだわる人は覚悟が必要です。それでも、出来上がりを見ると選んでよかったと思います。
選択肢が多くキリがない見て回ったタイルメーカーは9社。各社、厚さ5cmを超えるカタログが複数冊あります。同じようなデザインも多く、全て見ているとキリがありません。
建築会社の取引量で値引きが異なるので、事前に得意なタイルメーカーを聞いて本命を決めておくと効率良く進められます。
我が家の建築会社(ジューテックホーム)では、「リビエラ」と「名古屋モザイク」の値引きが大きく2社に絞って検討。他7社はイメージ作りの参考としました。
参考まで、実際に訪問したタイルメーカーは以下の9社です。
- リビエラタイル(採用)
- 名古屋モザイク(採用)
- 平田タイル
- リクシル
- サンワカンパニー
- ダイナワン
- ダントー
- アドヴァン
- スワンタイル
1種類のタイルでも「いも貼り」「馬貼り」などの貼り方があります。正方形・長方形や大小広狭までミックスすると、かなり複雑なタイル配置(割り付け)になります。
我が家は大きさの異なる6種類のタイルを使い、馬貼りベースのミックスです。「規則的なタイル割りは嫌」と伝えた結果、ICさんが夜なべで作り上げた大作です。(感謝しています。)
通常は大まかな要望だけ伝え、細かい割り付けは職人さんに任せるそうです。我が家はタイル割り専用図面まで用意されていました。
中庭を囲むようにタイルエリアがあるので、全体の整合性を確認するためにも詳細指示が必要だったとの事です。
その他、タイル目地の色も決めます。「目地をどの程度目立たせたいか」を基準に選ぶそうです。我が家は目立たせたくないので、タイルと近い色を選びました。
他床材・タイルとの見切りタイルエリアの隣にフローリングや他タイルを施工する場合、境目(見切り)の仕上げ方も決める必要があります。種類が異なるので違和感なく切り替えたいところです。
同一面で切り換えると特に目立ちやすく、見切材を設置するなど手間もコスト増加します。段差やコーナーで床材を変えると目立ちにくく、余分な費用も不要です。
我が家では、玄関框でタイルの方向が替わります。玄関は東西、室内は南北が長手です。框の立ち上がりまで室内と同じ南北、入隅で東西に切り替えています。
最後に
生活の中で一番触れる建材が床材です。そのため、無垢材やタイルなど施主のこだわりが出る部分です。一方で、面積が広くコストインパクトが大きくなります。
どの床材もメリット・デメリットがあり100点満点のものはありません。優先項目を決めて、それ以外では妥協することになります。
タイル選びや打ち合わせは大変で費用・工期もかかりましたが、住んでからは手間がかからずデメリットはあまり感じていません。唯一感じるのは音問題ぐらい。
採用ハードルは高いかもしれませんが、お勧めできる床材だと思います。最後まで読んで頂き有難うございました。次回は、天井材選びについて書きたいと思います。