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【採用した壁紙4種類を比較】それぞれの特徴を活かした適材適所が大切
家具販売店で見たポーターズペイントが気に入り、壁材は塗装(ペンキ)で考えていましたが、残念ながら工期がおさまらず断念。塗装をはじめとする湿式壁については、前回記事を参照ください。
塗装壁を断念した頃、並行して壁紙も検討していました。壁紙の本命は不織布クロス「エコフリース」、塩ビ(ビニール)クロス+αのコスト・工期で、塗装壁のような質感が手に入ります。
塩ビクロスが主流の壁紙ですが、最近は非塩ビで不織布・織物・和紙といった素材の良さを活かした質感の高い壁紙も増えています。施工面積が広くコストインパクトは大きいので、適材適所が大切です。
今回の記事では、実際に我が家で採用した「壁紙4種の特徴」と「特徴に沿った適材適所な採用」について紹介します。まずは、比較検討した4種類の壁紙に星をつけてみました。(我が家の意見です。)
項目 | エコフリース | 非塩ビクロス | 塩ビ(1000番) | 塩ビ(100番) |
意匠性 | ★★☆ | ★★☆ | ★☆☆ | ☆☆☆ |
機能性 | ★★☆ | ★★☆ | ★★☆ | ☆☆☆ |
耐久性 | ★★☆ | ★☆☆ | ★☆☆ | ★☆☆ |
コスト・工期 | ★★☆ | ★☆☆ | ★★☆ | ★★★ |
星の数 | 8 | 6 | 6 | 4 |
目次(クリックで開閉)
- 1 塗壁のような質感「エコフリース」
- 1-1 質感は最高、つなぎ目で減点(意匠性:★★☆)
- 1-2 下地の調湿を阻害しない(機能性:★★☆)
- 1-3 簡単に破れずタッチアップも可能(耐久性:★★☆)
- 1-4 塗装よりはるかに安い(コスト・工期:★★☆)
- 2 多彩な素材で空間をグレードアップ「非塩ビクロス」
- 2-1 多彩な素材で質感高い(意匠性:★★☆)
- 2-2 耐久性は様々、部分的な補修は難しい(耐久性:★☆☆)
- 2-3 価格は素材次第(コスト・工期:★★☆)
- 3 色・柄・機能が豊富なボリュームゾーン「1000番クロス」
- 3-1 プラスチック感は消えない(意匠性:★☆☆)
- 3-2 必要な機能は揃うラインナップ(機能性:★★☆)
- 3-3 高耐久品でもビニールクロス(耐久性:★☆☆)
- 3-4 施工業者も多いボリュームゾーン(コスト・工期:★★☆)
- 4 コストパフォーマンスはダントツ「100番クロス」
- 4-1 割り切って場所を選ぶ(コスト・工期:★★★)
- 5 壁紙素材のまとめ
塗壁のような質感「エコフリース」
エコフリースを最初に見つけたのはある建築士さんのブログ。その後、建築会社(当時は候補)ジューテックホームでも採用可能と聞き、建築実例を見せてもらい塗装壁の代替として採用しました。
パルプとポリエステルを原料とした不織布(フリース)壁紙で、マットな質感・簡単には破れない強度・塩ビクロス+αのコストが特徴です。
エコフリースの公式ページはこちらです。
質感は最高、つなぎ目で減点(意匠性:★★☆)
見る人が皆、「塗装壁?」と聞きます。壁紙とは思えない質感は、これだけで選ぶ価値があります。こだわった北欧家具や絵画の背景としても、違和感なく馴染んでいます。
カラー展開・エンボス加工
表面に細かい毛羽立ちが光を拡散し、テカらずマットな質感。色は11色、さらに、色によってはエンボス加工(フラット・#70・#50)があり、合計19パターンから選べます。
残念なところ2点
残念なのはつなぎ目が目立つ事。他の壁紙でも単色・エンボス無しはつなぎ目が目立ちます。エコフリースは突き付け施工なので、さらに目立ちます。それでも遠目には分からない程度です。
もう1点は、出隅(凸コーナー)部分の見た目です。一部の出隅では、厚紙を折り曲げたようなシワがよってます。硬い壁紙でちょっとした施工の差が出やすいそうです。我が家では気にならないレベル。
下地の調湿を阻害しない(機能性:★★☆)
不織布なので透湿性が高く石膏ボードの調湿性能を阻害しません。公式ページにある比較試験では、通気性塩ビクロスに比べて、吸湿量は1.7倍、放湿量では2.3倍となっています。
珪藻土のように壁材として調湿する素材ではありませんが、調湿能力の高い石膏ボードと組み合わせれば、十分な調湿効果を期待できます。厚みのある壁下地材で調湿するのは理にかなっています。
公式ページでは、「調湿素材」と書かず「通気・透湿」と表現されている点に好感が持てます。
簡単に破れずタッチアップも可能(耐久性:★★☆)
現場監督によると「とにかく頑丈な壁紙」だそうです。生活し始めて実際に頑丈さを感じました。
ダメージの比較
写真左側がエコフリース。SICに吊っていたロードバイクが落ち、金属部品が擦った跡です。下地の石膏ボードが少し凹みましたが、エコフリースは破れず。汚れはメラミンスポンジで落としました。
写真右側がビニールクロスです。ロードバイクを吊るす時に金属部が少し擦っただけですが、燕尾クロスは破れていました。これは修理しようがないので、放置しています。
汚れの落とし方
汚れ落としには、消しゴムやメラミンスポンジが使えます。メラミンはキッチン天板にも使われる硬いプラスチック。エコフリースの頑丈さがよく分かります。
それでも落とせない汚れがには、補修用塗料を取り寄せタッチアップも可能。先程の傷は、いつかタッチアップで直すつもりです。
塗装下地にもなる
長く住んで色褪せてきたら、エコフリースを塗装下地にして上から塗装することができます。将来、塗り替えてイメージを変えられるのも大きなメリットです。
塗装よりはるかに安い(コスト・工期:★★☆)
施工費用は、100番クロス比で2倍、1000番クロス比では4割増しでした。塩ビクロスよりは高価ですが、塗装壁に比べれば大幅に安く済みます。塗装壁に近い質感がこの価格なら十分だと思います。
工期も塩ビよりは多少長くなりますが、塗装に比べればはるかに短いです。施工できる職人さんが限られているので、早めに採用を決めてスケジュールを押さえてもらう方が良いと思います。
多彩な素材で空間をグレードアップ「非塩ビクロス」
住宅展示場で見かけてショールームへ確認しに行きました。和紙・織物・麻・金属箔など色々な種類の壁紙が展示されています。
我が家は客間で珪藻土クロスを採用。粉落ちしないので掃除の手間や日常生活で気を使う事なく、珪藻土の質感を楽しむ事ができます。
多彩な素材で質感高い(意匠性:★★☆)
サンゲツだとエクセレクトシリーズやリリカラのマテリアルズシリーズなど、大手壁紙メーカーでも非塩ビクロスのラインナップがあります。
鉱物・和紙・織物・金属箔と素材感を全面に押し出したデザインで、塩ビとは異なる落ち着いた光沢感や柔らかい質感が特徴です。まとめて確認できるのは大手ショールームの良さです。
非塩ビクロスの場合、専門メーカーという選択肢もあります。特に和紙や織物は専門メーカーならではのこだわりのラインナップが豊富で、大手で物足りない人でもお気に入りが見つかります。
襖表に採用したKAMISM株式会社は、様々な和紙に職人の手作業で模様をつけた創作和紙を使い壁紙に仕上げています。大量生産とは異なる高いデザイン性と素材の質感が特徴です。
耐久性は様々、部分的な補修は難しい(耐久性:★☆☆)
和紙壁紙は紫外線・熱・水に弱いので、汚れを拭き取ることも難しく日常生活では気を使います。タッチアップ補修もできないので、ちぎり絵のように貼り重ねて補修するそうです。センスが必要です。
織物壁紙は帯電しにくいので埃が付きにくく、強度も高く全般的に耐久性は良いそうです。ただし、一旦糸がほつれてしまうと部分的な補修は難しくなります。汚れによっては衣類と同じくシミになるので、注意が必要です。
価格は素材次第(コスト・工期:★★☆)
価格は素材次第。手仕事の和紙や金箔は素材自体が高価で、平米単価で1万円を越えるものも多数あります。大量生産ではないので値引きが少ないのも高くなる理由です。
値段が高くなる理由はもう1つ。施工には特殊な技術が必要です。施工の注意書きを見ても通常のクロスとは取り扱いが違うという記載があります。
和紙や箔は薄いので下地の状態が表に出やすいです。下地処理でも要求が高く費用・工期に影響します。やはり特殊な壁紙の場合は、検討初期、早い段階で要望を伝える必要があります。
色・柄・機能が豊富なボリュームゾーン「1000番クロス」
注文住宅だと1番のボリュームゾーンです。製造メーカーも多く色・柄と選択肢が豊富です。
添加剤や表面処理によって、抗菌・消臭・吸放湿など様々な機能が付与されているのも特徴。悩みだすとキリがないほど選択肢があるので、必要な機能を事前に絞り込んでおくとスムーズです。
プラスチック感は消えない(意匠性:★☆☆)
色・柄が多くインテリアの配色を考える上ではとても便利な壁紙です。アクセントクロスだけメーカーを変えることもできるので、欲しい色はどんな色でも見つかります。
どうしても気になるのはビニールクロス特有のテカリ感。布目のテクスチャーは細かく再現されていますが、凹凸の凹みの奥が光って見えます。実際の布とは質感が異なります。
他の内装材とのバランスも注意が必要です。無垢フローリングやタイル床など素材の質感が高い建材と組み合わせると、このテカリ感が悪目立ちします。
色だけでなく家具・照明も含め全体の素材感を意識しながら選定する必要があると感じます。
必要な機能は揃うラインナップ(機能性:★★☆)
消臭や抗菌、防汚、マイナスイオンなど様々な機能があります。トイレやランドリー、寝室、玄関といった目的が明確なスペースだと、求める機能で決めうちしやすいです。
機能性を企画する段階で具体的な使用イメージに基づいて設計されています。部屋ごとに必要な機能を事前に決めて絞り込むと探しやすいです。
高耐久品でもビニールクロス(耐久性:★☆☆)
高耐久品もありますがあくまでビニールクロス。10年程度で傷みが出ます。手が触れる部分・クロスの継ぎ目部分は特に劣化しやすく、傷が付き汚れが奥に入り全体に黒ずんだ印象になります。
経年と共に硬化するので、家の動きに追従できず入隅(凹コーナー)部分が裂けてきます。消耗品と割り切って、貼り直しを前提に使う壁紙です。
少し高価な1000番クロスでも定期的にモデルチェンジするので、補修時に在庫がないと全面貼り替えです。費用・予定も全体貼り替えを前提に考えておく必要があります。
施工業者も多いボリュームゾーン(コスト・工期:★★☆)
施工費込みで平米1,000円台は魅力的。注文住宅では一番のボリュームゾーンで、メーカー各社、色も機能もふんだんに用意しています。価格と選択肢の多さで考えればダントツです。
ビニールクロスなので施工に特別な工程がなく、工期が短いこともメリット。一般的な住宅であれば1週間強で終わります。施工業者も多く標準的なスケジュールにおさまります。
つなぎ融資を利用する場合、工期が伸びると金利も増えます。台風や豪雨など異常気象による工期遅れも深刻です。工期が短く安定している事は大きなメリットです。
コストパフォーマンスはダントツ「100番クロス」
賃貸マンションやビジネスホテルでも使用されるビニールクロスで、量産クロス・100番クロスと呼ばれます。定番の色・柄でどこかで見た事のあるデザインですが、消耗品と割り切れば最高の壁紙です。
我が家はロフト・WIC・(当初納戸で考えていた)洋個室には、量産クロスを採用しました。傷つきやすい場所、来客の目に触れない場所には最適です。
割り切って場所を選ぶ(コスト・工期:★★★)
施工費込みの平米単価で1000円を切る低価格が最大のメリット。機能はほとんど選ぶ事はできませんが、消耗品と割り切れば納戸やクローゼットなどには最適です。
クロスが分厚く下地の影響を受けにくい、つなぎ目が目立ちにくいなど、施工しやすさにも配慮されてます。施工の技術差が仕上がりに出にくいのも安さのポイントです。
工期も最短なので優先順位をつけて上手く活用したいクロスです。
壁紙素材のまとめ
湿式壁材に比べると、種類ごとに性格がはっきりしている事がクロス壁材の特徴です。見始めるとキリがないほど選択肢がありますが、イメージに合うものが必ず見つかります。
予算をかけて質感・雰囲気を重視する部屋・機能性を重要視する部屋・コストをかけない部屋と、大きく3カテゴリーに分けるとクロスの種類を選びやすくなります。特徴に応じた適材適所です。
メンテナンスコストも重要です。「DIYでも塗り替え可能」なエコフリースや貼り替えコストも抑えられる100番など、将来の費用も考えながら選ぶと絞りやすくなります。
最後まで読んで頂きありがとうございます。次回は、我が家の標準床材「タイル床」を紹介します。