ハウスメーカーの平屋提案記事、最後はジューテックホームの平屋提案です。ジューテックホームに関しては、他ハウスメーカーと異なり「建築家」が建築設計を行い、ジューテックホームが建築を行うハイブリッド商品「アーキペラーゴ」です。他社とは一味違ったパッシブデザインが光ります。 過去のハウスメーカー記事はこちらからどうぞ。
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ジューテックホームの特徴
まずはジューテックホームの特徴から紹介します。公式ページはこちらです。我が家のLDKもドーンとトップに出てきます。
大手建材商社のビルダー部門
一般にはあまり知られていませんが、ジューテックという会社は業界大手の建材商社です。
LIXILやYKK、TOTOを始めとする住宅設備メーカーの一次代理店として、〇〇林業・〇〇ワホーム・三○ホームといった大手ハウスメーカーに建材を卸しています。そのビルダー(建築)部門がジューテックホーム。親会社が大手なのは安心感があります。
モデルハウスは横浜市都筑区、仲町台駅から少し離れたところにあります。極端に作り込まれた高級モデルハウスではなく、住宅街に溶けこみ実際の家をイメージしやすいリアルサイズのモデルハウス。デンマークやスウェーデンの輸入住宅も取り扱う、高気密・高断熱を得意とするハウスメーカーです。
建築家と作る家「アーキペラーゴ」
輸入住宅も取り扱うジューテックホームですが、自由設計の注文住宅商品も充実しています。
その中でも、特に設計自由度の高い商品が「建築家と建てる家・アーキペラーゴ」、最終的に我が家が選んだ商品です。型式認定に捉われずに設計できるので、「北欧建築家の自宅をコンセプト」「家具を中心」「中庭付き」という要望にも柔軟に対応できます。
通常、建築家(事務所)で設計を依頼する場合、設計・監理と建築工事は分離された別契約になります。このため、建築後のトラブルでは責任所在の切り分けが必要です。また、資金面でも設計・監理費用が別で請求されるので、一時的には自己資金・つなぎ融資が必要です。
アーキペラーゴの場合、建築会社ジューテックホームとの請負契約に建築家の設計・監理が含まれます。施主は、両者間の責任分担で右往左往したり、2本建て費用について頭を悩ませる必要はありません。こういった形態の家づくりが増えてくると、工業化住宅とは異なるこだわりを手軽に実現できて良いと思います。
人気家具・キッチンメーカー「FILE」とのコラボ
京都の家具メーカーで、大人気キッチンメーカーという顔も持つ「FILE」。
ジューテックホームでは、キッチン、インテリアコーディネート、造作家具までFILEに依頼できるコラボレーション商品もラインナップ。2回ほど完成内覧会に行きましたが、FILEのトータルコーディネートは流石。家中FILEにできるのは、ここだけです。
実は、ジューテックホームとの出会いはFILE社長の紹介です。今となっては申し訳ない限りですが、当時の我が家にとっては北欧家具販売店の1つという認識。住んでいた賃貸マンションから徒歩圏にショールームがあり訪問。
家具やキッチンの説明を聞いた後、「ハウスメーカーが決まってないなら、ジューテックホームのこの営業が絶対信用できる」と紹介されたのが、我が家の担当となるWhiteさんです。
基本工法はツーバイ、他は要望に応じて
基本的な建築工法は木造枠組壁工法(ツーバイシックス)。壁・床・屋根を面で接合するため、高耐震・高断熱・高気密を得意とする工法です。一方で、建築家の入るアーキペラーゴは工法も自由。木造軸組、RC、木造RCの棍構造など、要望を実現するために必要な工法で建築可能です。
ジューテックホームの平屋提案
ここからはジューテックホーム(建築家)の提案間取りです。自作の間取りを持ち込んだのでやりにくかったと思いますが、土地の環境を最大限生かしたパッシブなデザインでした。まずは、間取りの全体像です。延べ床面積は40.81坪、この時点ではロフト収納は無し。(最終間取りではなく、コンペ用の間取りです。)
中庭はでっかくなきゃ!(by 建築家)
初めて建築家と話したのはモデルハウスでの立ち話。他施主との打ち合わせの合間に少し時間をもらい、他社と同じプレゼン資料と自作間取りで説明しました。
その時「この中庭は陽射し取り?」と聞かれ「基本はそうですが、肉も焼けるといいなと思ってます。」と回答。その時言われた事が「BBQですか、いいですね。そうすると中途半端はダメです。でっかくなきゃ!」
で、出てきた間取りが20畳の中庭(①)です。他3社と比べても圧倒的に大きく振り切った間取りです。複数の間取り提案を受け多少のことでは驚きませんが、これは流石に驚きました。ただし、これは2案提示頂いたうちのBプランで、Aプランは12畳程度と他社と変わりありません。遠慮がちに提示されたBプランの意外性が、我が家のとってはツボでした。
LDKは北側、個室は南側のパッシブデザイン
他3社と異なる点がもう1点。LDKが北側、個室3部屋が南側に設置されている点です。元々提示した自作間取りは、南側に大開口のあるLDK、中央に中庭、北側には寝室を含めた3部屋を設定していました。
Aプランは自作間取り通りでしたが、BプランはLDKと個室が逆。理由を聞いて、またもや、Bプランにテンションが上がります。 南側に人通りの少ない8m道路があり、明るいLDKに憧れて南側LDKと考えていました。建築家の指摘は、
- 8m道路の先には山があり、晩秋〜春先にかけては山影に入り意外と陽当たりは少ないのでは?
- 8m道路の人通りは少ないが、それでも意外とカーテンは開けにくいのでは?
- 内に開いた大きな中庭ならばカーテンは不要。北側LDKでもで十分な採光が期待できる
- 開放する事の少ない寝室などプライベート空間ならば、必要な時だけ採光を取れる南側が良いのでは?
この説明はとても納得のいくものでした。軒の出で日差しを遮るといったパッシブデザインは知っていましたが、空間の特性からパッシブ性を活かす配置を考えるという設計は考えもつきませんでした。「BBQのために中庭を大きくしただけ、もしかしてBBQ大好き?」と疑いもあったので、夫婦揃って申し訳ない気持ちでした。
中庭まわりは2面ずつ大開口と中開口
自作間取りを作った頃、中庭まわりは4面大開口でコーナーに柱のみが希望でした。
間取り提案では2面は5m超の大開口、残り2面は2.7mの中開口になっています。ただ間取り提案の頃には、ミサワホーム提案の「1面は壁にして中庭植栽のカンバスを作り、同時に生活空間を隠す」という考えに賛同し、すでに心変わりしていました。
4面大開口もやる方法はあるそうですが、問題はコスト。このサイズのフルハイト窓はどこのメーカーでも特注仕様で割高です。また、窓サッシ自体の強度も必要となるため、これぐらいが無難ではという意味で、2面は中開口にしたそうです。
※実際は既に心変わりしていたので、ランドリー側の1面を壁にして玄関側の窓を広くする案に変更です。
生活空間など、その他の点
生活空間となる水回り、寝室は全て西側に集結。来客時を想定した寝室から風呂まで抜けるサブ動線も設定されています。寝室の入り口も少し奥まったところにあり、来客導線からは見えません。トイレへのアクセスも良好。これらは全て希望通りに反映されています。
また、間取り左下(北西)には、大きな窓があり、高台から夕陽が沈む海を眺める設定。さらに窓の北面壁にはスクリーンを設置しプロジェクターの映像を映し出します。ここにチーフテンチェアを設置すれば、目的に応じてこの空間を活用できる設計です。(実際は海は少ししか見えないと思ったので、窓は廃止しました。)
次のページでは「初回にもらった概算見積もり」を紹介します。