ハウスメーカー選びの提案コンペ2回目は、ダイワハウスの平屋提案を紹介します。
ダイワハウスの担当者とは一緒に家具販売店に行くなど、一番イメージの共有ができていました。家具を主体に考える我が家のコンセプトに、インテリア部上役の方も陰ながらサポート頂いてました。
最近のダイワハウスのCMには目を見張るものがあります。ラーセンのエリザベスチェア、イサム・ノグチのフロアライトをはじめ名作家具が並びます。やっぱりダイワハウスのインテリアは大好きです。
前回記事、ミサワホームの平屋提案はこちらからどうぞ。
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ダイワハウスについて
大手ハウスメーカーの中でも歴史の長い老舗。最近は土地開発や商業施設を行うディベロッパーのイメージが強く自社開発の宅地も多く保有しており、土地から購入する施主には金利負担でも心強い存在です。
天井の高い家「xevo Σ」以降、プレミアムを冠する高価格帯の商品が矢継ぎ早に投入され、直近のMAREは坪単価で160万円超、1棟あたり7,000万円を設定する超高級住宅です。
「災害に備える家」として「電気の自給自足」を掲げ、28%超の株式を保有する「ELIIY Power社」の蓄電池をラインナップ。建物の耐震性とエネルギー供給の両面から、災害対策をアピールしています。
xevoΣ(軽量鉄骨造)
「天井の高い家」で有名になったダイワハウスの主力商品。ブレースに「D-NΣQST」という制震デバイスを搭載した結果、デバイスの高さ分(約30cm)天井が高くなったという誕生話を聞きました。
頑丈な鉄ですが限界を超える力がかかった場合は変形してしまいます。このため、一度ブレース(木造の筋交相当)が伸びると元には戻らず、その後の地震波では鉄骨の接合部に直接力がかかります。
「D-NΣQST」は、ブレースがダメージを受けないように地震波を吸収し、2波3波と繰り返す地震から接合部を守るためのダイワハウスオリジナルのデバイスです。
GranWood(木造軸組工法)
鉄骨メーカーのイメージが強いダイワハウスですが、2013年に木造住宅の新商品を発表しました。遮熱外貼り断熱、接合金物・面接合による耐震を売りにするGranWoodですが、一般的な在来工法だと理解してます。
MARE -稀- (RC・W混構造)
ダイワハウス最新の商品ですが、RC・W混構造とは思い切った商品だと思いす。中庭のある我が家も耐震強度のために検討した事はありますが、コストが高くて手が出ませんでした。
CMの建物は、モダニズム建築らしくユニバーサルな空間に、木質感満載の内装、RCならでは大開口窓。さらに設計は選りすぐりのトップデザイナー7名のチームが担当。最高級住宅の名前通りです。
ただ、さすがにこの坪単価になると、著名な建築家とか他の選択肢も考えてしまいます。
ダイワハウスの競合メーカー
話を聞いていて意識しているのは積水ハウスと住友林業だと感じました。競合の結果、シャーウッドやビッグフレームで持っていかれる、そんなぼやきは何度か耳にしました。
中高価格帯は木造・鉄骨両方で積水ハウスに対抗、超高価格帯に強い住友林業にはRC・W造で対抗。鉄骨だけでは限界があるので、MAREのRC・W造は納得です。何でもできそうです。
個人的には、ダイワハウスの提案力は1歩抜けてると感じました。商業施設を多く手がける会社らしく、コンセプトから入る価格帯だと予想以上の提案が出てきます。
余計なお世話だとは思いますが、この部分の裾野を広げると中価格帯の競合も変化しそうに感じます。
ダイワハウスの間取り提案
ここからはダイワハウスの平屋提案です。まずは間取りの全体像です。自分たちで作った希望間取りを参考として渡していたので、基本の形はミサワホームと共通しています。
延べ床面積で38.9坪、建ぺい率で38.5%です。

基本形は同じですが、モデルとして提示していた「ハルドール・グンログソン邸」「ポール・ケアホルム邸」から、ダイワハウス設計者が抜き出したエッセンスが凝縮されています。


どちらも海に面した緑豊かな平屋で、ここから「岩場と海」のイメージを抜き出し内外装デザインに取り入れたそうです。
波打ち際を取り込む家
「もう一度建てるならばこの家」今でもそう思っています。
大開口の南窓を跨いで乱形タイルで岩場を、それ以外は洗い土間で細波を表現。タイルと洗い土間の境目は柔らかくRを描く波打ち際で、キッチン・PK家具の空間はさながら海に浮かぶ岩場のようです。
商業施設は施設コンセプトに基づきデザイン・設計されますが、まさか自宅の話でデザインコンセプトから提案されるとは思いませんでした。予想外と言っては失礼ですが、ここまでやるかと驚きました。
中外庭を含めたLDKの提案
まずは、中庭・外庭を一体にしたLDKの提案内容です。
玄関前メインリビングが12畳、ダイニングキッチン10畳、中庭前セカンドリビング13畳、回遊廊下と玄関7畳で、合計42畳になります。四方窓の中庭を含めると49.5畳の大空間です。

- 玄関框のないフラットデザイン。ファブリックを置き視覚的に空間を仕切る
- 中央には方立は入るが幅6mの大開口窓。屋内天井と軒天を木目で揃え、床も同じ乱形タイルで揃える事で、外庭を岩場奥にある林として一体的に仕上げる
- 中庭の目的は採光・通風に絞る。暗くなりがちな平屋の内部に爽やかな風と光を取り込む
- キッチンはII型で、キッチンハウスやクチーナといった家具調キッチン
- セカンドリビングはプロジェクタースペース。椅子を反転すれば中庭を楽しむ事も可能
コンセプトで驚きましたが、外中庭まで一貫したコンセプトを貫き、ユニバーサルな空間としてまとめ上げた事に感動。シームレスな空間なので、外庭でチーフテンチェアに座っても、空間の一体感は変わりません。
玄関框を無くすため玄関を床高まで押し上げます。結果、アプローチでは押し上げた分登る事になります。ここはミサワホームで説明された事と同じです。
客間和室の提案
玄関から壁沿いにまっすぐ進むと右手に客間の和室があります。

- 客間和室は4.5畳で設定。大人2人子供1人なら十分な広さ
- 押入は1畳分、上下2段で布団3組と座布団4枚を想定
- 土間から20cm上がって和室へ。中庭側の組子引き戸と反対側には障子のある掃き出し窓。隣家の石垣を背景に坪庭を設置
- 組子引き戸の位置と中庭掃き出し窓の位置を揃える。階段入り口に戸袋をつけ、組子引き戸を収納する事も可能
気に入ったのは隣家の石垣を使って坪庭を作ること。設計士によると、大谷石の石垣が雰囲気良かったそうです。雨に濡れた石垣、トクサや小さな紅葉で良い雰囲気にできるのではとの提案です。良いです。
主寝室と水回り動線の提案
寝室から洗面、浴室までの動線は希望した通り一直線。問題は、WICの配置と洗濯動線です。

- 主寝室5.3畳とWIC2.3畳の合計7.6畳。
- 主寝室から浴室までは一直線に並べ、LDK側に出ることなく行き来できる
- 洗濯干しは屋内干しか乾燥機、もしくは中庭
主寝室は和室を希望していること、洗濯物は外干し希望であることは伝わっていなかったようです。
和室の場合、WICは洗面との間に設置を希望。どちらかが布団で寝ている時、着替えにWICまで行くのは気が引けます。花粉や砂埃を寝室奥まで持ち込む事にもなります。朝の身支度を考えても洗面隣が良いと思います。
もう1点気になるのは洗濯干し。外干し希望なので勝手口をつけるか、中庭に干すかのどちらかです。できれば中庭は避けたいですが、この間取りを見る限り勝手口をつけるには大掛かりな変更が必要です。
収納スペースの提案
最後は収納スペースに関する提案。個室にはそれぞれ収納があるのでそれ以外の全体収納です。

- 4畳弱の土間収納を2つ。中央の仕切りを外す事もできるが、棚収納の場合、壁がある方が効率的にスペースが使える
- 階段の先には10畳のロフト収納を設置。和室引き戸の戸袋をつけない場合は、廊下から直接登る仕様に変更可、階段下は個室の収納
- 個室には半畳の収納も設置可能、不要であれば洗面側のスペースにして洗濯機を設置可能
和室引き戸の戸袋は諦めて、階段入り口を廊下側に設置する方が使いやすい間取りです。洗濯干しに課題があるので、洗面所を広く使えるよう個室の収納は階段下だけにして、洗濯機スペースに変更した方が良いです。
ロフト収納が10畳、2つの納戸と各部屋の収納で、収納力は十分です。あとは、LDKの各空間に収納家具を設置すれば物が溢れる事はないと思います。
建物の外観
外観の提案まではありませんでした。スレートの四方屋根という説明だけだったので、外観イメージを作成しました。外壁もベルサイクスなら彫りも深くて存在感が出ます。

次のページでは「大和ハウスの概算見積もり」を紹介します。