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ハウスメーカー

結局、大手ハウスメーカーの家ってどんな家?建築士を選んだ施主の考え

2021年4月19日

大手ハウスメーカーの家

10年以上前、スーツを買う時は量販店に行き、展示してある既製品からサイズ・予算・好みに合うものを探してました。最近は、量販店でも自分仕様のスーツを手軽にオーダーできます。

一口にスーツと言っても、「生地を選び寸法を微調整するもの」から「専用の型紙を起こしゼロから仕立てるもの」まで、予算や納期に応じて仕組みは様々です。家づくりも実はよく似ています。

今回は、「大手ハウスメーカーの家はどんな家」なのか、「注文住宅の仕組み」から「大手の特徴」を紹介します。メーカー選びの一助になればと思います。

目次(ジャンプできます)

    住宅建築の3パターン

    一般的に注文住宅と呼ばれるものは、建物の雛形(規格・パッケージ)の有無で大きく2つに分類できます。先ほどのスーツだと、型紙が「専用/既成」の差と似ています。

    さらに、建物の雛形がある場合、雛形の修正幅で2つに分類され合計3パターンに分類されます。それぞれにメリット・デメリットがあります。簡単に紹介します。

    フルオーダーの注文住宅

    まずは、型紙からオリジナルで作るフルオーダーの注文住宅。建築士と建てる家が一般的ですが、一部大手ハウスメーカーでも社外建築事務所と協業可能なプランもあります。

    ゼロから設計するので、制約の多い土地でも柔軟な間取り・建築設計ができます。家の形や建材選択の幅も広く、こだわりの強い人には最適です。「憧れの建築物をイメージして」なども得意です。

    ただし、ゼロベースなので決める事が多く着工までに時間がかかります。契約が設計と工事請負の2本建てになり、保証も設計側・建築側で分かれるので、トラブル時は面倒かもしれません。

    プランニングを長く楽しめますし、建築後も親身になってくれる建築士も多くいます。こだわる人にはうってつけの選択肢です。

    セミオーダーの注文住宅

    セミオーダーといっても千差万別、もっともバリエーションの多いボリュームゾーンです。基本の雛形を修正できる範囲で、形・レイアウト・間取り・仕上げ材・住宅設備を選びます。

    雛形毎に工法が決まっており、標準と呼ばれる基本建材・住設を大量購入する事でコストを抑えます。施工手順が標準化できるので品質が安定しやすく、保証面もシステマチックで充実しています。

    一方で、雛形・標準から外れるのは苦手。対応できないケースや大幅なコストアップもあります。契約してから気づく事が多く、他社はできるのにといった不満につながる事もあります。

    RC造・木造・鉄骨どれでもできる総合メーカーや鉄骨だけ・木造だけといった専業メーカーもあります。住宅性能基準も各社様々なので、比較する知識も必要です。

    既成プランの規格住宅

    土地の制約や施主の希望をヒアリングし、最も近い雛形(規格)のまま建築します。内装仕上げ(壁紙や床材)、多少の間取り変更はできますが、家の形や構造、水回り位置は変更できない事がほとんど。

    家の基本形が出来上がっていて、打ち合わせは少なく手軽です。共通資材が多く大量購入でき、在庫も潤沢なものを選ぶので、コスト・工期共に抑える事ができます。

    デメリットは家の形が決まっているので、土地によっては希望の商品が建てられない事。また、建材が限られるのでどこかで見た事のあるデザインになります。

    建築・打合せに時間をかけたくない、安く建てたい場合には良い選択肢です。ターゲットを決めて考えられた商品なので、大多数の人が欲しい物は網羅されています。最近はデザイン性も高いと思います。

    大手ハウスメーカーはどれに当たるか?

    住宅展示場で見かけるメーカーの大半はセミオーダーの注文住宅が主力になります。メーカーによっては、規格住宅プランやフルオーダーに近い注文住宅もありますが、基本はセミオーダーです。

    HPやカタログを見ると商品やブランドとして雛形が紹介されています。それぞれに工法・価格帯・性能・コンセプトがあり、これを元にカスタマイズをしていきます。

    大手ハウスメーカーの営業さんは、雛形の修正に伴うコスト増減を計算し、設計士は規定に基づいた外観・間取り・建材選択を行います。工務店の営業や建築士とは仕事内容にも違いがあります。

    大手ハウスメーカーの特徴

    住宅展示場

    ここからは大手ハウスメーカーの特徴について紹介します。高度経済成長期の住宅需要を支えてきたメーカーが大半で大前提は大量生産です。一方、時代は少子化で着工件数も年々低下しています。

    時代の変化に応じて家への要求も変化しています。住宅性能に徹底してこだわるなど、中堅メーカーを中心に個性の強いメーカー・商品の躍進もあり、大手メーカーの立ち位置にも変化が出ています。

    自社製造工場を持っている

    工業化住宅とも呼ばれる大手の家。大半のメーカーは自社の製造工場を持っています。木材カット工場から構造パネル工場、オリジナル外壁工場、部屋の箱まで作るなどメーカー・工法により様々です。

    工場があると打合せ・現場作業・工場作業を並行して行い効率的。生産ラインの標準手順で製造するので品質も安定します。輸送荷姿も規格化されるので、安定した物流体制を構築でき安心です。

    ただし、生産ライン・物流の標準から外れる希望は、諦める可能性が高くなります。現場で施工できれば良いですが、現場手順も決まっているので、特殊な対応難しくなります。

    独自構法で差別化

    ビッグフレーム構法や木質パネル構法など、テレビCMでも目にするハウスメーカー独自の構法が目白押し。蓋を開ければ木造軸組工法と木造枠組壁工法ですが、かっこいい名前がつくと別物に感じます。

    「実物大住宅を使った耐震試験」や「海に向け開いた大きな窓」で説明されると、標準工法では不十分だと思ってしまいます。ここは冷静に、本当にその性能が必要か考える事が重要です。

    型式認定がある

    鉄骨住宅を中心に、多くの大手ハウスメーカーは型式認定を取得しています。先ほどの例だと、「国交大臣にメーカーの雛形(型紙)が安全で適法なものだと認定」してもらうという事です。

    この型式認定で本来必要とされる手続き一括で行い、型式に適合すれば個別の建築で手続きを省略できます。年間建築棟数を増やしたいハウスメーカーには便利な仕組みです。

    一方で、型式から外れる事はできません。施主にとってはやりたい事ができない足枷にもなります。構造強度に関わる点は細かく規定されるので、天井高やベランダなど希望が通らない事もあります。

    工期が短い

    工場での生産やシステム化された物流、手続きを省く型式認定もあり工期が短縮できます。我が家より遅く着工したミサワホームの建築は、2ヶ月早く竣工しました。驚きです。

    これは施主にとっても大きなメリットがあります。工期が短いので金利負担の期間を短くできます。土地購入でつなぎ融資を使う場合、引渡しで住宅ローンが実行されるまでは、別途金利がかかります。

    つなぎ融資の金利は高いので、早く住宅ローンが実行されると数十万円の差が出ます。オプション代にと思うと色々できそうです。

    保証が充実している

    人生100年時代という触れ込みと共に、保証期間はどんどん伸びています。有償検査と修繕を条件に永年保証まで出ています。そこまで1軒の家に住みたいかと聞かれると、微妙です。

    大手ハウスメーカーが共同で運営しているスムストックもあります。ただし、メーカー指定の点検と修繕を行なう事が認定条件です。いつか注文住宅のサブスクも出てきそうな勢いです。

    全体的に割高

    住宅展示場は全国に合計380ヶ所もあるそうです。1棟で数億円するモデルハウスが多いところでは数十棟立ち並びます。人件費・メンテナンス代・光熱費、更にはCM代も全て住宅価格に含まれます。

    大手同士の競合も激しく、どこかが保証を増やせば他社も追従、または、新しい技術で対抗するなど止まる所を知りません。施主の要望を超えた過剰な競争も見られるので、冷静に考えたいところです。

    次のページでは実際に大手を検討して感じた事」を紹介します。

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