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停電になったらどうするか?オール電化で特におすすめの予算別、停電対策

停電になったらどうするか?オール電化で特におすすめの予算別、停電対策

今年も台風シーズンが始まりました。毎年、甚大な被害が出る台風。強風や落雷、倒木による停電で大変な苦労をされた方もいると思います。

幸い長時間の停電は経験ありませんが、オール電化住宅を選んだこともあり新居の設計段階から停電対策を考えてきました。

今回の記事では設計段階で考えた停電対策を予算別に紹介します。オール電化住宅を検討中の方、停電対策を考えている方の参考になれば嬉しいです。

電気を確保する必要性

停電がどの程度、日常的に発生しているか調べてみました。東京電力パワーグリッドの停電履歴検索のデータを集計したものです。

停電の発生頻度

1週間(8月8日〜8月14日)の停電発生状況です。

30分未満 5,760軒
30分以上 4,820軒
1時間以上 10,800軒
2時間以上 4,280軒
3時間以上 6,950軒

停電の原因として多いのは

  • 設備トラブル
  • 雷の影響
  • 樹木の接触

ですが、「調査の結果特定でず」というものも散見されます。

また、表では3時間以上に含めた中には長時間広範囲にわたる停電も含まれています。

神奈川県山北町 190軒 15時間
栃木県宇都宮市 630軒 9時間
神奈川県小田原市 200軒 7時間
埼玉県秩父市 1,050軒 6時間
神奈川県箱根町 1,260軒 5.5時間
群馬県上野村 440軒 4.5時間

雷など季節要因もありますが、特別な気象条件がなくてもこの程度の停電は日常的と理解できます。

台風での影響は?

8月15日には台風7号の影響も出ました。東京電力管内は進路から外れたため影響は限定的だったようです。

30分未満 500軒
30分以上 170軒
1時間以上 9,200軒
2時間以上 440軒
5時間以上 130軒

それでも1時間以上・2時間未満の停電は9,200軒に及びます。

「令和5年台風第7号による被害状況等について(内閣府・15日13時)」によると、

  • 中部電力管内:最大3.9万軒
  • 関西電力管内:最大5.4万軒

停電した時間(期間)の詳細は分かりませんが、この時期の停電は冷蔵庫やエアコンなど生活家電が使えなくなり大変です。

5kWhの電力を確保したい

平常時の停電は1時間〜2時間が大半なので、少し余裕をもって3時間分の電力があれば何とかなりそうです。

災害時は復旧に時間がかかることも考えて、倍の6時間分といったところでしょうか?

電力量の計算は時間あたりの消費電力×時間で計算できます。

  • 冷蔵庫:大きさで増減ありますが時間50Whもあれば十分
  • エアコン:畳数と設定温度、室温で変動しますが時間500Whぐらい

として、3.3kWh(550Wh×6時間)が必要となります。これ以外にテレビや照明、スマホの充電を含めても5kWhあれば十分です。

電気を確保する3つの方法

それでは必要な電力(最低3.3kWh)をどうやって確保するか?電気を確保するには大きく3つの方法があります。

電気を作る(創電)

創電というと聞きなれない言葉ですがいわゆる発電です。必要な電気を作ることができれば停電でも安心です。

家庭で導入しやすい発電方法は次の3つです。

  • 太陽光発電:太陽光→電気
  • エネファーム:ガス→電気
  • HV/PHEV(ハイブリッド車):ガソリン→電気

ただし、停電発生時にはシステムを起動する作業が必要です。

  • 太陽光:分電盤の操作
  • エネファーム:外部電源による起動(発電中の停電は不要)
  • HV:非常給電システムの起動・配線接続

電気を貯める(蓄電)

作ることができなくても、必要な電気を貯めておけば停電でも電気を使えます。

  • 常置型の家庭用蓄電池
  • ポータブル蓄電池
  • 電気自動車(要V2H)

代表的なのは家庭用蓄電池ですが、持ち運べるポータブル蓄電池も選択肢です。最近は容量5kWh 出力2kWといった高機能モデルも発売されています。

また、電気自動車も大型蓄電池を搭載しています。V2Hなど家に電気を供給する仕組みがあれば、蓄電池として活用できます。

作って貯める(創蓄電)

創電と蓄電の両方を用意すると、1週間以上の停電でも(制約はありますが)電気を使い続けることができます。

特に太陽光発電は発電できる時間が限られ、冷蔵庫のような常時動かす家電には不向きです。太陽光以外の発電方式を使うか、蓄電池を使う必要があります。

予算別、電気を確保する具体例

ここからは新築時に導入できる創電、蓄電、創蓄電を、費用別に具体的な設備で紹介します。大まかにまとめた表は次のとおり。

方法 追加の費用 補助金
ガソリン車 (250万円) ×
HV+非常配線 +70万円 ×
PV+蓄電池 +200万円
EV+V2H +300万円
PV+EV+V2H +400万円

※HV:ハイブリッド車(PHEV含む)、EV:電気自動車(試算では日産リーフ想定)、PV:太陽光発電

※金額は「ガソリン車(250万円)に追加になる概算」

70万円程度:HV+非常用配線

HV/PHEV(ハイブリッド車)の電力を宅内に給電する方法。トヨタでは「おうち給電システム」という名称で紹介されています。

必要なものは非常給電システム(トヨタ・レクサス)付HVと宅内の非常用配線のみ。

最大出力は1500Wで、実際に我が家で試した時は冷蔵庫と6畳用エアコンを同時に使えました。

ガソリン車との差額で考えると、最小コストで導入できる費用対効果の高い方法です。

  • ガソリン車・HVの価格差:50万円
  • 非常給電システム:4.5万円
  • 宅内の配線費用(新築):15万円(キッチンと1部屋)

太陽光も設置していれば、

  • 冷蔵庫など常時稼働の家電は非常用配線から給電
  • エアコンなど必要に応じで稼働する家電は太陽光

といった使い分けも可能になります。

200万円〜:太陽光+蓄電池

代表的な創蓄電で、昼に太陽光・夜は蓄電池にためた太陽光電力を使うことができます。消費電力をしっかりコントロールできれば長期の自立生活も可能です。

パワコン選びがポイントになり、次の2案がおすすめです。

  • 太陽光+ハイブリッド型蓄電池
  • 太陽光+蓄電システム

ハイブリッド型や蓄電システムは、1台のパワコンに太陽光と蓄電池を接続します。直流・交流の変換回数が減るため変換ロスが少なくなります。

ただし、家庭用蓄電池は「kWh単価が高額(EVの2倍)」「導入時の補助金がない」というデメリットもあります。蓄電池は10kWh前後までが現実的です。

また、最近は「ポータブル太陽光+ポータブル蓄電池」という選択肢もあります。AC-DCの変換効率が気になりますが、非常時の電源と割り切ればとても魅力的な製品です。

300万円〜:EV+V2H

EVを導入してV2Hで家に電気を供給する方法。EVの蓄電池は大きいので、満充電の場合、太陽光無しでも数日間の自立生活が可能です。

肝になるV2Hは単機能型とシステム型が選べますが、太陽光や蓄電池を視野に入れるとシステム型がおすすめです。

この設備で追加になる費用は300万円以上と高額です。内訳は、

  • ガソリン車・EVの価格差:200万円
  • V2H(単機能型):100万円
  • (システム型:200万円)

なお、このパターンは発電がないので電気は全て購入電力。導入コストを回収するのは難しいです。

400万円〜:太陽光+EV+V2H

先ほどのEV+V2Hに太陽光を追加した方法。太陽光の余剰電力をEVに貯めて使えるので、数ヶ月にわたる自立生活が可能です。

単機能型V2Hでも「余剰電力を充電する」「夜はEV電力を家で使う」ことは可能ですが、直流・交流の変換回数が多く連携面でもシステム型がおすすめです。

導入時の追加費用は400万円以上と最高値。以下内訳です。

  • ガソリン車・EVの価格差:200万円
  • 太陽光:100万円
  • V2H(単機能型):100万円
  • (システム型:200万円)

この方法は初期費用が高くなりますが、太陽光電力の自家消費が増えるので電気代は大幅に削減できます。

ガソリン代合わせて年間30万円は削減可能なので、13年もあれば設備費用を回収できるイメージです。

補助金を使うと大幅に安くなる

EVとV2Hには高額の補助金が設定されています。太陽光+EV+V2Hで導入した我が家の場合、補助金は以下の通りです。

  • CEV補助金(EV):85万円
  •   〃  (V2H・システム型):95万円
  • 自治体補助金(太陽光):5万円
  •   〃   (EV):5万円
  •   〃   (V2H・EV同時):30万円

補助金総額は220万円。システム型なので初期費用は割高(500万円)ですが、実質の負担金額は280万円。10年程度で回収できる見込みです。

そして、太陽光+蓄電池・EV+V2H・太陽光+EV+V2Hでの予算比較は補助金まで含めると順番が変わります。

  1. EV+V2H(300万円-150万円=150万円)
  2. 太陽光+蓄電池(200万円-0=200万円)
  3. 太陽光+EV+V2H(400万円-150万円=250万円)

※電気代・ガソリン代の削減も含めると、「太陽光+EV+V2H」が一番安くなるはずです。(この点は別記事で紹介します)

まとめ

予算別のおすすめ停電対策を紹介しました。改めてポイントをまとめます。

  1. 停電は意外と身近で頻繁に起きている
  2. 5kWhの電力があれば6時間は自立できる
  3. 発電はHV・太陽光・エネファームの3種
  4. 蓄電は蓄電池・EV(+V2H)の2種
  5. 組み合わせによって費用は大きく異なる
  6. 補助金を使うと大幅に安く導入できる

電気代が高騰する中、オール電化の採用に二の足を踏む方もいると思います。(当時の電気代はもっと安かったですが)我が家もかなり悩みました。

最終的にオール電化を選んだ理由は「電気は家庭で創れるエネルギー」で、あとは「いかに上手く付き合っていくか」だと理解できたからです。

次回は停電対策の導入順序について紹介します。

補助金の都合もあり、太陽光からV2Hまでまとめて導入しましたが、あまりの金額に悩みました。無理なく無駄なく段階的に導入するにはどの順序が良いか?をまとめます。

最後まで読んで頂き有り難うございました。

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