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蓄電池4.9kWhの効果を検証、やっぱり蓄電池はやめた方が良い?

太陽光・蓄電池をフル活用し1月の請求額(12月使用分)は前年同月と同じ水準に抑えることができました。燃調費が高騰している状況で同水準は十分な効果です。

加えて、2023年2月の請求分から国の電気代対策で燃調費が減額されます。どの程度まで電気代が下がるのか期待が高まります。

さて、今回の記事は蓄電池の話。1月の請求額削減に効果がありましたがあくまで電気代の話。蓄電池の設備代を含めたらどうなるか?

導入した蓄電池(4.9kWh。ニチコン)の稼働状況をもとに、設備費用を含めて蓄電池の効果について検証しました。蓄電池や太陽光といった電気設備を導入検討中の方、これから新築予定の方の参考になれば嬉しいです。

我が家の電気スペック

今回の検証記事にあたり我が家の電気関連スペックをまとめました。

  • 契約:東京電力/オール電化 スマートライフL(自由料金)/10kVa /深夜17.78円/深夜以外 25.8円
  • 買電実績(2022年):冬季 月平均1,000kWh/それ以外 400~600kWh
  • 大型電気設備:エコキュート 460L/温水蓄熱床暖房(75畳)/エアコン(200V×1 100V×3・夏のみ)
  • 太陽光パネル:カナディアンソーラー 5.6kW
  • 蓄電池:ニチコン 4.9kWh
  • パワコン:ニチコン トライブリッドパワコン
  • V2H/EV:2023年6月導入予定(トライブリッド・日産アリア 66kWh)

検証結果は単価・発電量・消費量で大きく異なります。大型床暖房のため、冬の消費量は一般的なオール電化家庭に比べて300kWh程度多いようです。(暮らしTEPCO「似た家庭」の消費電力による)この点を踏まえてご参考ください。

電気代削減効果を検証

まずは、12月の電気購入実績から「蓄電池の効果」を検証します。

1日でどれぐらい充電できたか?

上のグラフは12月の充電量を日当たりで示したものです。日によってバラつきがありますが1日あたりの平均充電量は5.9kWh。蓄電池が4.9kWhなので+1kWhを毎日充電したことになります。

充電のタイミングは1日2回、

  1. 深夜電気(0%から100%=充電量4.9kWh)
  2. 太陽光の余剰電力(充電量は余剰電力次第)

それぞれ満充電すると1日の充電量は9.8kWh(蓄電池4.9kWh×充電2回)。1日あたり5.9kWhの実績は蓄電池の稼働率としては低いです。

蓄電池の稼働率が低い理由

蓄電池の稼働率が低い理由は、発電量が少なく余剰電力がほとんど発生していないため。先ほどのグラフから17日(充電最小)と27日(充電最大)での充電量と蓄電量の推移をグラフにまとめました。

12月17日の充電量・蓄電量の推移

12月27日の充電量・蓄電量の推移

17日は雲が広がり夕方から雨。余剰電力の充電(青線)は朝9時がピークで11時には充電終了。あっという間に蓄電池残量(棒グラフ)も0%になっています。一方の27日は朝から快晴。10時から余剰電力の充電が始まり15時にはこの日2回目の満充電を迎えます。

今後、季節が変わり日射時間が長くなると発電量も増え、27日のように満充電が2回発生する日も増えます。冬しか実績がないので推測ですが、通年で考えると日当たりの充電量は9kWh前後(深夜4.9kWh + 余剰 4.1kWh)まで増えると考えています。

蓄電池電力と他電力の単価比較

日当たり充電量9kWhで10年間使用した場合、総充電量は「9kWh×365日×10年=32,850kWh(①)」。蓄電池コスト(約90万円)を総充電量(①)で割ると「1kWhあたりの蓄電池コスト」は「27.4円」と計算できます。これを元に我が家の単価を比較しました。

電力種別 単価 備考
昼間電力 35.2円 単価(25.8円)に燃調費(仮 6円)・再エネ賦課金(仮 3.4円)を加算
深夜電力 27.2円 単価(17.78円)に燃調費(仮 6円)・再エネ賦課金(仮 3.4円)を加算
太陽光電力 11.8円 115万円(太陽光費用)÷(6500kWh/年×15年)
蓄電した太陽光電力 39.2円 1kWhあたりの蓄電池コスト+太陽光電力
蓄電した深夜電力 54.6円 1kWhあたりの蓄電池コスト+深夜電力

蓄電池を経由する電力は相当高くなることがわかります。特に深夜電気はざっと倍の値段。これだけを見ると、蓄電池は本末転倒という結論です。

結局、蓄電池で安くなった?

難しいのは蓄電池によるコストダウン効果。前年同月比で大幅に燃調費が高騰した12月でも電気代の請求額はほぼ横ばい。その意味では安くなったと言えますが、設備代も含めて考えると話は別。少なくとも単価表から分かることは、

  1. 太陽光を直接自家消費すると最もコストダウン
  2. 蓄電した太陽光は、燃調費が10円なら昼間電力と同等
  3. 蓄電した深夜電気はむしろ高くつく

実績値では、22年12月(使用分・翌1月請求分)の燃調費は12.99円でした。1と2は黒字だったことになります。23年2月から国の高騰対策で燃調費は6円程度まで下がり、太陽光の余剰電力であっても蓄電して使うとコストアップという結果です。

※ただし、深夜電気の蓄電を止めると年間充電量は半分以下になります。結果、1kWhあたりの蓄電池コストも2倍以上に。出口のない迷路のようです。

蓄電池はやめたほうが良い?

ここまで導入した蓄電池の効果を実際の数字で紹介しました。結果を見る限り「蓄電池の導入はやめた方が良い」という結論になります。

現状、蓄電池のコスト回収は難しい

ネックになるのは蓄電池本体・工事のコスト。少なくとも現在の価格(80万〜100万円・容量1kWhあたり18万円前後)では、蓄電池を使って電気代を下げるというのは現実的ではありません。

4.9kWhで60万円以下(容量1kWhあたり12万円程度・蓄電池コスト18.3円)になれば、余剰電力でも安定的にメリットが出ます。

※それでも、深夜電気を貯めて使う場合はコストアップとなるケースが多そうです。

災害時の電力確保にいくら払うか?

一方で、蓄電池にはトラブルや災害による停電時に電力を確保できるメリットがあります。全額を停電対策費用と考えるのは極端ですが、ある程度は停電対策費用と差し引いても良いと考えています。仮に太陽光・蓄電池費用の2割を対策費とした場合、単価表は以下の通りです。

電力種別 単価 備考
昼間電力 35.2円 単価(25.8円)に燃調費(仮 6円)・再エネ賦課金(仮 3.4円)を加算
深夜電力 27.2円 単価(17.78円)に燃調費(仮 6円)・再エネ賦課金(仮 3.4円)を加算
太陽光電力 9.4円 115万円×80%(太陽光費用)÷(6500kWh/年×15年)
蓄電した太陽光電力 31.4円 蓄電池コスト(90万円×80%÷総充電量)+太陽光電力
蓄電した深夜電力 49.1円 蓄電池コスト(90万円×80%÷総充電量)+深夜電力

太陽光電力・深夜電力・蓄電した太陽光電力の順に優先的に使っていけば、コストメリットは十分に期待できます。

補助金はどれだけ貰えるか?

今回試算した太陽光・蓄電池には、それぞれ5万円ずつ補助金が出ています。(先の価格は補助金分を差し引いた金額)現在は、地方自治体が中心になって補助金を設定しているので、自治体によって補助金額の大小は異なります。

今後、電力への地方自治体の関与が強まる見込み。サステナブル・スマートシティなど街づくりの一環として、潤沢な補助金を設置している自治体もあります。上手に活用したいポイントです。

目的と費用をセットで考える

「災害対策にいくら払うか」の正解はわかりませんが、年々激しさを増す台風や大雪といった気象条件、発電所や変電所でのトラブルなど、数時間〜半日程度の停電が増えています。

導入費用を一括りで考えず「目的ごとに費用を明確にして要否を考える」が、残念ながら蓄電池導入の現状です。

モバイルバッテリーのコスト回収?

カバンにモバイルバッテリーを常備している方も多いと思います。自分は目的に応じて複数持っていますが、モバイルバッテリーのコスト回収を考えたことはありません。

幸い数時間程度の停電すら経験ありませんが、スマホやPCのバッテリー切れは何度も経験してます。価格が違うので単純比較できませんが、実体験の有無も大きなポイントかもしれません。

二度と停電を経験したくない人にとっては蓄電池は100%災害対策費。「対策費(蓄電池代)が日々の電気代で薄められる」という逆の発想も成り立ちます。

最後に

自宅の玄関灯が見えて「やっと家に着いた」とホッとする。家に入り照明をつけソファに座ってしばし休憩。毎日感じる訳ではないので、電気の大切さは時々の心身状態でも変化します。

さらに、高齢者・小さな子供、その家族にとって「電気が使えることの価値」は、我が家とは全く違うのかもしれません。その意味では電気の価値は千差万別です。

5kWhの蓄電池があれば半日程度の停電なら十分に対応できます。高価でコスト回収も難しい厄介な設備ですが、

  • 停電時にどんな生活をするか
  • 対策コストを含めて考えるか
  • どの程度のコストを織り込むか

家族で「目的」と「その費用」をセットで話し合うと、考え方を共有する道筋が明確になると思います。

次回は「導入にあたり我が家が考えた目的とその費用」について紹介します。最後まで読んでいただき有難うございます。

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