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自家消費を増やすため家電・設備の稼働時間を変更、その効果はあった?
2023年1月分、自由料金の燃料調整費は12.99円と発表されました(東京電力)。再エネ賦課金(3.45円)と合わせると16.44円。今までは安い深夜電気を中心にと考えていましたが、ここまで上がると昼だろうと夜だろうと買電は極力控えるべきだと感じます。
さて今回の記事では、自家消費を最大限増やし買電を減らすために行った「家電・設備の稼働時間変更」と「その効果」について紹介します。
目次(クリックで開閉)
昼間・深夜・売電単価と自家消費
まずは前提条件となる電力単価です。太陽光の自家消費は0円として、
- 昼間電気:25.8円+16.44円=42.24円/kWh
- 深夜電気:17.78円+16.44円=34.22円/kWh
- 余剰電力の売価:17円/kWh(見込み 2022年度)
売電価格の方が深夜電気より安いので、一切電気を買わない場合は別として電気を売るメリットはありません。購入単価との差額を損しているとも考えられます。
例えば、昼間に5kWh(17円)を売って夕方以降に昼間電気を5kWh(42.24円)を購入する場合、
- 売電:5kWh×17円=+85円
- 買電:5kWh×42.24円=▲211.2円
- 差引:85円-211.2円=▲126.2円
同じ5kWhの売り買いでも126円損した事になります。
これは2022年の売電単価での試算ですが、燃調費の増加した結果、売電価格が高くても損得が逆転するケースが出てきます(例:売り35円 VS 買い42円など)。燃調費が大幅に上がっている現在、売るより使う方がメリットは大きくなります。
深夜から昼間に変更した家電・設備
日射時間の少ない11月でも1日平均10kWh、天気の良い日は16kWhを発電します。蓄電池容量が4.9kWhあるので、最低でも5〜10kWhを使わないと使いきれず売電が発生。そこで自家消費を増やすため、深夜に動かしていた家電・設備を昼間に動かしてみました。
洗濯乾燥機の乾燥機能
洗濯物は基本的に中庭に外干しですがタオル類は例外。中庭に干す都合、干し台は収納できる折りたたみ式。毎日使うタオル類は量が多くスペースをとって他が干せなくなります。そのため、タオルは安い深夜電気を使って乾燥まで行ってました。
これを昼間に変更、太陽光電力の自家消費に充てます。洗濯より乾燥に多くの電力を消費するので、発電量が増える10時過ぎを狙って9時から洗濯開始。洗濯時の電力は蓄電池に貯めた深夜電気を活用してます。14時には乾燥が終わりますが、毎時1kWh程度は安定的に消費できます。
高温洗浄の輸入食洗機
次に昼稼働に変更したのは高温で洗浄する輸入食洗機(AEG)。乾燥がないので短時間ですが、水道水をお湯にして洗うので結構電気を消費します。今まではタイマーをかけて深夜時間帯に稼働してました。
11月は10時過ぎから洗濯乾燥機と並行して稼働。時間あたり0.7kWh程度消費するので、洗濯乾燥機とあわせて時間あたり約1.7kWhを自家消費できます。心配していた食器不足や汚れ落ちも問題なしでした。
エコキュートの手動わき上げ
エコキュートは深夜電気の消費を増やすため、契約している電力会社の深夜時間帯に自動で動作する仕組み。これはオール電化プランの契約条件にも入っていて、意外と厳しく制限されています。ただし、手動なら昼間にわき上げる事も可能。湯切れリスクを回避するための逃げ道として用意されています。
晴天時の発電量は時間3kWh超(10時半〜14時過ぎ)。1.7kWh消費では使いきれず蓄電池へ充電しますが、昼頃に充電・食洗が完了すると2kWh近い売電が発生。そこで、昼前に風呂の湯張りを終わらせて午後からわき上げ。時間あたり1.5kWh程度を消費できました。ただ、問題はタイマーがなく毎回手動な点。
お天気EZリンク
三菱電機の場合、お天気リンクEZという仕組みがあり、天気予報と連動して太陽光電力で給湯できます(ただし最大半分まで)。今後、EVとV2Hが揃えば蓄電能力が大幅に増強されます。そうなれば、昼でも夜でも自家発電力を使えるので、現時点では導入見送りです。
温水蓄熱式床暖房
ヒートポンプで沸かした温水で床に蓄熱させる温水蓄熱式床暖房。昨年までは深夜時間を含めて24時間稼働でした。そろそろ床暖房の季節なので太陽光電力を活用できないか画策中です。エコキュートと違ってタイマー設定ができるので昼動作させやすいのは利点です。時間1kWh以上を消費するので、消費電力のベースとして期待してます。
気掛かりな点
外気温が低いほど消費電力が大きくなる事が懸念点。外気温が低い日は、(雨や曇りなど)発電量も少ない可能性が高く、1つのタイマー設定で運用するのは難しそうです。晴天用タイマーと曇天用タイマーを設定して切り替える運用になりそうです。
稼働時間変更による効果
家電・設備の稼働時間を変更した結果、大幅に自家消費を増やす事ができました。11月の発電量がほぼ同じ日で比較します。
11月6日の発電と自家消費
左のグラフは、太陽光・蓄電池の設置から3日目の11/6のもので、発電量17kWhに対して自家消費は9kWhしかありません。半分近く売電しています。
この時点では床暖房は未稼働・エコキュートの稼働シフトもしなかったため、昼以降で消費電力(濃いオレンジ)が大きく落ち込んでいます。朝一食洗機を稼働(蓄電池電力)し、その後洗濯乾燥、余剰電力は充電ですが、11時半以降行き場のない電力が売電されてます。
11月16日の発電と自家消費
右のグラフは、売電を減らすため試行錯誤を経た11/16のもの。11/6に比べると発電量は2kWh少なく15kWhですが、自家消費は13kWhとほぼ使い切り。
洗濯スタートが遅れたため乾燥機のピークが少し遅れました。それでも、11時以降は食洗機の稼働・余剰充電も加わり消費電力は大幅増加。13時過ぎからエコキュートのわき上げを開始。完全にわきあげるには至りませんでしが、十分に自家消費を押し上げる事ができました。
今後、冬の自家消費は床暖房が主役
12月に入り冷え込みが厳しくなってきました。今後、床暖房を常時稼働させることなります。発電量が多い時間帯に高出力で稼働させ、夕方以降は蓄熱で乗り切る作戦。これによりベースとなる消費電力は1.5kWh、これに洗濯乾燥機・食洗機を午前・午後と分けて稼働させると2.5kWh消費で安定。余剰は蓄電池に持っていけると綺麗に使いきれそうです。
天気の悪い日は(床暖房分で)昼間電力の購入が発生しそうですが、夕方以降の昼間電力で床暖房の出力を上げるなら結果は同じ。今年の冬は「太陽光発電有り」を前提に床暖を稼働してみます。(深夜の騒音対策としても有効です)
最後に
色々と自家消費を増やす工夫をしていますが、好きな時間に電気を使えないストレスを感じます。背景にあるのは絶対的な蓄電力不足ですが、V2H・EVが届けば、EVの大容量蓄電池でここまでシビアな運用は必要ありません。この冬は7年ぶりに冬の節電要請との事。これから新築の場合、創蓄(発電・蓄電)連携も視野に設備選定や事前準備が必要だと感じます。
最後まで読んでいただき有難うございます。次回は(先送りになっていた)「トライブリッドの設定・クラウド連携」について紹介します。