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エネルギー

広さ3倍の新築平屋、それでも消費電力が増えない理由と今後の課題

2021年11月13日

「災害時、ガスの供給が止まっても電気があれば生活できる事」に魅力を感じ、新築ではオール電化を選択しました。しかし、今まで経験したことのないオール電化。「光熱費はいくらかかるのか」不安でした。

今回の記事では「賃貸と新築の消費電力比較から見えた課題」について紹介します。

この記事のポイント

  • オール電化とガス併用の電気代比較
  • 賃貸マンションと気密断熱住宅での性能差
  • 新型家電・ヒートポンプによる省エネ化
  • 季節毎の電力消費の特徴
  • 電気代削減のために今後行うべきこと

こんな方の参考になればと思います

  • 電気代・ガス代が高くてこまっている方
  • オール電化の導入を考えている方
  • 省電力住宅を考えている方
  • オール電化の消費電力量を知りたい方

目次(ジャンプできます)

    新築平屋と賃貸マンションの違い

    新築の平屋と賃貸マンションでは大きく3つの点が異なります。

    マンションと平屋での違い

    • ガス有無や建物種別による電力契約の違い
    • 気密性能・断熱性能・パッシブ性能の違い
    • 家電・住設のアクティブ性能(エネルギー効率)の違い

    ガス有無・建物種別による違い

    賃貸マンションと新築戸建ての電気・ガス契約を表にまとめると次の通り。新築平屋ではオール電化のためガス契約はありません。(赤字は適用が多かった従量段階)

    電気・ガス契約の比較表
    単価カテゴリー 賃貸マンション(ガス併用) 新築平屋(オール電化)
    電気 契約プラン 重量電灯B(40A) スマートライフL(10kVa)
    基本料金(¥286/10A) ¥1,144 ¥2,860
    従量第1段階(〜120kWh) ¥19.88/kWh -
    従量第2段階(〜300kWh) ¥26.48/kWh -
    従量第3段階(300kWh〜) ¥30.57/kWh -
    昼間電気(6時〜25時) - ¥25.80/kWh
    深夜電気(25時〜6時) - ¥17.78/kWh
    ガス 従量A表(〜20㎥/月) 基本料金:¥  759・単価 ¥140/㎥ -
    従量B表(〜80㎥/月) 基本料金:¥1,056・単価 ¥125/㎥ -
    従量C表(〜200㎥/月) 基本料金:¥1,232・単価 ¥120/㎥ -

    ※電気料金には再エネ賦課金・燃調費を含まず。電気・ガス共に2019年当時の単価です。

    オール電化では契約Aが大きくなり基本料金は増加。ガスの基本料金を差し引いても¥660増です。

    光熱費削減にはガスから電気に移行する「給湯」「コンロ」がポイント。同じエネルギー量で比較すると、電気はガスの2.5倍単価が高くなります。

    ただし、エネルギー効率が高くヒートポンプも使える電気は、少ないエネルギーで給湯でき、さらに安い深夜電力も使えます。

    基本料金の増分を加味しても、光熱費を減らせる可能性は十分にあります。

    熱効率と光熱費

    ガス給湯器の熱効率は95%と高効率ですが、エコキュート(ヒートポンプ)は熱効率は350%前後。3割程度の電力で湯を沸かせます。

    エネルギー量では「都市ガス1㎥」は「12.5kWhの電力」に相当しますが、エコキュートの場合「3.6kWhの電力」で相当。「ガス1㎥ = ¥125」に対して「深夜電気3.6kWh = ¥64」と光熱費は半分です。

    住宅性能・パッシブ性能での違い

    「住宅性能の向上」→「冷暖房の使用減」→「消費電力が減少」が理想ですが、実数に現れにくい部分です。

    住宅性能の差
    比較項目 賃貸マンション 新築平屋
    広さ 48.15㎡ 134.41㎡(ロフト別)
    構造 RC造 木造軸組
    特徴 4階・北西角部屋 平屋・屋根断熱(2×8・吹付断熱)
    通風
    採光
    気密 ○(C値:0.5㎠/㎡)
    断熱・窓サッシ アルミサッシ・シングルガラス 樹脂アルミ複合・トリプルガラス

    賃貸はRC造でアルミサッシの単層ガラスの一般的な賃貸仕様。夏はコンクリートが蓄熱し夜でも冷房必須。上下階があり暖かく冬は暖房は少なめでした。

    新築平屋は高気密・高断熱住宅に加え、「軒による日射調整」「通気窓での排熱」などパッシブ性能も高く冷房頻度・期間は少なくなると期待。一方で、地面に近い平屋で全面タイル床なので暖房費は大幅に上がると予想してます。

    パッシブデザインとアクティブデザイン

    パッシブデザインは、太陽や風といった自然の力を活用し快適性を高めるデザイン。具体的には「軒の出による日射調整」や「高窓による熱気排出」などが挙げられます。

    対してアクティブデザインは、設備・家電を活用して積極的に快適性を高める方法。エアコンや床暖房の性能、建材の断熱性能、太陽光による創エネなど、設備・家電の力が重要なポイントです。

    家電・住設による違い(アクティブ性能)

    新居にあたり家電も一通り新しく買い替えたので省エネ性能は向上やヒートポンプの節電効果を期待しています。

    家電・住宅設備の違い
    家電・住宅設備 賃貸マンション 新築平屋
    エアコン 100vエアコン(2基) 100v(3基)・200v(1基)
    床暖房 温水蓄熱式(75畳)
    調理器具 ガスコンロ(2口+グリル) 日立IH(3口+グリル)
    冷蔵庫 2ドア(134L) 5ドア(455L)
    食洗機 AEG 60cm幅(200v・1基)
    給湯器 ガス給湯器 エコキュート(450L)
    洗濯機 縦型洗濯乾燥機 ドラム型洗濯乾燥機
    照明器具 ほぼLED電球(20灯前後) LED電球(60灯前後)

    建物が大きくなったため冷暖房設備は大幅に強化。「建物・設備・家電の大型化」に対して「省エネ技術の効果」がポイントです。

    まとめると次の通り。

    大きな変化点

    • 冷房:エアコン2基→エアコン4基
    • 暖房:エアコン2基→大型の温水蓄熱式床暖房(ヒートポンプ)
    • 給湯:ガス給湯→エコキュート(ヒートポンプ)

    軽微な変化点

    • 調理器具:ガス→IHは熱効率が向上。消費割合も低い
    • 冷蔵庫:最新型になり消費電力は少ない
    • 食洗機:毎日の事で消費電力は純増だが、安い深夜電気が中心
    • 洗濯機:最新のドラム型に変更で消費電力は減少し、さらに深夜電力が中心

    次のページから「実際の消費電力・光熱費の変化」を紹介します

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