住宅建築を考え始めた頃、床暖房には否定的でした。無垢床への憧れがあったため、無垢床を諦めてまで床暖房を入れようという考えはありませんでした。
何よりも「冷暖房機器という故障や寿命のあるもの」かつ「年々省エネ性能が向上するもの」を、大掛かりな住宅設備として導入することに抵抗を感じていました。
その考えが変わった発端は、希望の床材が「無垢床」から「タイル床」に変わったことです。夏は冷たくて気持ち良いのですが、冬のタイルはとにかく冷えます。
相方の強い希望、さらには建築士・ハウスメーカー営業の必須という言葉もあり、蓄熱式温水床暖房を導入しました。
平屋ですので玄関や収納、風呂以外は全て床暖房が入ります。広さにして37.5坪 = 75畳の大規模な床暖房です。具体的な仕様詳細、導入にかかった費用、冬季の電気代について説明します。
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目次
蓄熱式床暖房の仕様詳細
床暖房と言っても、熱源(電気・ガス等)や暖房方式(温水・ヒーター等)でいくつかの種類に分かれます。それぞれにメリット・デメリットがあります。
我が家の場合、オール電化なので熱源は電気一択。暖房方式は、タイル床と相性の良い蓄熱式の温水床暖房を選択しました。簡単に仕組み、メリットなどを説明します。
蓄熱式温水床暖房の仕組み
まずは、蓄熱式温水床暖房の仕組みを簡単に説明します。温水システムは、三菱電機の「エコヌクールレオ(70畳用)」を採用しています。
床材の下にモルタル層があり、そのモルタル層の中に温水を通すパイプが埋められています。
パイプといってもポリエチレンなので、ホースと表現した方が分かりやすいです。
このホースの中を温水が循環することで、モルタル層に蓄熱し床材を暖める仕組みです。
途中で水漏れしないように、温水の入口から出口まで1本のホースで一筆書きのように施工されます。範囲が広い場合は複数のホースを並列に使います。我が家は全部で3本のホースを並列使用しています。
循環水は、三菱電機の「ヒートポンプ式冷温水システム(エコヌクール)」により暖められます。ホースを通って家全体を周り熱をモルタルに渡して熱交換器に戻り、再度暖められてホースを再循環します。
手前にあるのが熱交換器、奥の2台の室外機がヒートポンプです。
50畳までの床暖房面積であれば、「エコヌクールピコ」という商品で、室外機は1台です。
我が家は70畳超なので、室外機が2台の「エコヌクールレオ」というモデルです。
我が家は床暖房だけですが、冷水を循環させることで冷房として使用することもできます。この場合は、冷暖房パネルヒーターが必要とのことです。
蓄熱式温水床暖房にして良かったこと
どんな設備でもメリット・デメリットはあります。「蓄熱式床暖房・メリット」と調べれば業者目線の情報は沢山出てきますので、採用した施主目線で書いてみます。
多少慣れが必要ですが、オール電化・タイル床なので、値段は高いですが導入して良かったと感じています。
オール電化との相性が良い
オール電化なので床暖房は深夜電気時間(深夜1時〜朝6時まで)だけで動かします。朝起きる時間には家中が暖かくなっており、タイルも暖かく快適です。
連日在宅勤務で一日中家にいましたが、外気温が1桁の時期でも夕方までエアコンを使う事はありません。通常の勤務であれば、帰宅後のエアコン使用は数時間程度です。
深夜電気を使用し半日以上持続する蓄熱式は、オール電化との相性がとても良いと思います。
家中どこでも暖かい
床下のモルタルを暖める仕組みなので、部屋の仕切りにかかわらず家中が温かくなります。ヒーターや電熱線式に比べて、広い範囲を均一に暖めるのに適した仕組みです。
部屋ごとの温度差が小さいため、ヒートショック対策としても有効です。朝起きてトイレ・洗面・キッチンと、どこに行っても同じように暖かいので安心です。
配管や蓄熱層は材料費の比率が低く、室外機や熱交換器のキャパシティ内であれば、多少導入範囲が広くなっても費用面での影響は限定的です。導入するなら広めが良いと思います。
蓄熱式温水床暖房の気になるところ
耐えられない程ではないですが、実際に使い始めて気になる点、使いにくい点は次の通りです。
深夜だと運転振動と流水音を感じる
和室に布団を敷いて寝ているから気になるのかもしれません。深夜に床暖房が動作し始めると、ファンの回転振動と水が流れる音を感じます。
エコキュートや食洗機も深夜時間に動かすので、床暖房だけの音ではないかもしれません。寝られない程ではないので問題はありませんが、室内で感じるので隣家の迷惑でないか気になります。
今のところ、特段苦情はないので気にしすぎなのかもしれません。
暖房の作動範囲が選べない
1台の熱交換器で3本の配管へ温水を供給しており、暖房を作動させるエリアを選ぶことはできません。
家中の床暖房が全て動くので、平米当たりの暖房コストは安くても全体ではかなりの電力を消費します。ヒートショック対策と考えれば良いですが、常に客間も暖めるなど勿体無いと感じる点もあります。
細かい温度設定・調整ができない
温水式の床暖房の場合、暖房温度の調整は温水の温度調整でおこないます。室温を基準に考えることができません。長く使えば大まかなイメージはできますが、エアコンのような分かりやすい温度設定はできません。
また、朝起きて寒いと感じて温度をあげても、温まるまでには数時間がかかります。エアコンや電熱式床暖房のような即効性はありません。
寝る前に翌日朝の気温を確認し冷え込むようであれば、事前に2〜3℃温水温度を上げておく必要があります。
次のページでは「75畳床暖房の導入費用・1月〜3月の電気代」を紹介します。