コストダウンのため、エアコンの目隠しルーバーをDIYで作成したら、ハウスメーカーにも大好評!
- 2021年6月6日
- 2023年10月9日
内装にこだわり始めると、エアコンの設置方法は悩みどころです。特に、LDK用のエアコンはサイズが大きく存在感があるので、インテリアの雰囲気を崩さないように設置したいと考えました。
見積りには目隠しルーバーが設定されていましたが結構な値段。そこで、思い切って自作しました。試行錯誤・手間と時間はかかりましたが、見た目も内装と調和しコストダウンにもなりました。今回は、そんな大好評の「可動式のエアコン目隠しルーバー」を紹介します。
目次(クリックで開閉)
DIYに至った理由
出来上がった目隠しルーバーは、インテリアさんや建築士からも大好評です。可動式の縦ルーバーは珍しく、「外注お願いできる?」といった冗談もあり、苦労した甲斐があったと思っています。
エアコン以外の選択肢
全館空調は価格やメンテナンスから検討対象から外しました。天井埋め込みのエアコンは板張りの天井ではかえって目立ちます。移り変わりの激しい白物家電をビルトインにする点にも抵抗がありました。
モデルハウスはどうしている?
モデルハウスでは棚や押し入れ上部にエアコンスペースを作って押し込み、横ルーバーを取り付けて目隠しにしている事が多いです。他に良案もなく、我が家もエアコンスペースとルーバー目隠しにしました。
予想以上に高いので、作っちゃえ!
問題は、目隠しルーバーのコスト。我が家の設置場所は、幅180cmと大きく造作費用は8万円と予想以上にかかります。さらに、建築士からは「しばらくすると使わなくなる」とのコメントもあり、俄然8万円がもったいなく感じます。
考えた末、目隠しルーバーは自分で作ることに。ネットでは窓用の可動式ルーバーを自作した方の記事もあり、これを応用して可動式のエアコン目隠しを製作しました。
横でなく縦ルーバーにした理由
制作したルーバーは、幅180cm 高さ55cm 羽根の枚数は14枚。パントリー扉と同じマットブラックに仕上げています。
「縦ルーバーが珍しい」とよく言われますが、確かにモデルハウスで見るのは横ルーバーばかり。縦ルーバーだと羽根の枚数が増えるので、手間がかかるのも理由だと思います。それなのに何故?縦ルーバー?
結構な悩みましたが、「製作精度に自信が無いから」というのが、縦ルーバーを選んだ理由。
横ルーバーだと、羽根の幅は170cmを越えます。羽根を支える穴が1mmズレるだけでも、羽根は傾き動かした時にフレームと干渉します。
羽根が長いほど支点の位置(穴あけ位置)に精度が必要です。その精度は難しいと判断し、短くできる縦ルーバーにしました。
また、長い羽根は重いので、自重でたわみフレームと干渉しやすくなります。羽根を薄くして見た目をスッキリさせるためにも、自重がかからない縦ルーバーを選びました。
さらに、開いたルーバーを(自重で閉じないように)固定するためのギミックも必要で、構造が複雑になり精度が求められます。シンプルな作りの方が長持ちするとも思います。
縦ルーバーにすることで、羽根を短くし加工精度への許容幅を広げ、自重によるたわみも発生せず、シンプルで長く使える縦ルーバーを選びました。
使用した材料と費用、製作にかかった期間
製作にかかった費用と期間を紹介します。DIYを決めた理由にはコストダウンが大きいので、「いくらかかったか」は重要なポイントです。
材料と材料費の一覧
ハウスメーカーが設定していた固定ルーバーは8万円でした。2割弱の費用で作ることができました。下の表は材料・コスト一覧です。
材料名 | 数量 | 単価 | 小計 | 備考 |
①檜材(1820×15×60) | 3 | ¥1,080 | ¥3,240 | フレーム、コーナン |
②檜材(910×6×90) | 14 | ¥382 | ¥5,348 | 羽根、コーナン |
③ミニビス(M2) | 1 | ¥692 | ¥692 | 70本入り、AMAZON |
④樹脂ワッシャー(M2) | 1 | ¥833 | ¥833 | 1mm厚、100枚、ナイロン製、AMAZON |
⑤平ワッシャー | 1 | ¥1,306 | ¥1,306 | M3、50枚入り、黒、AMAZON |
⑥水性艶消し塗料 | 1 | ¥1,066 | ¥1,066 | カンペパピオ アーチブラック 0.5L、AMAZON |
⑦ネオジム磁石 | 1 | ¥1,080 | ¥1,080 | 12mm径、ネジ穴(4mm)付き、AMAZON |
⑧L字アングル | 2 | ¥194 | ¥388 | 2×4サポートL字アングル、黒塗装、コーナン |
⑨ポリエステルロープ | 1 | ¥738 | ¥738 | 8mm、20mm、コーナン |
⑩フェルトテープ | 3 | ¥110 | ¥330 | 家具脚用、1mm厚、ダイソー |
合計 | ¥15,021 |
①②木材は全て桧です。価格、加工しやすさと杉に比べて丈夫な事が理由。可動部もあるので、丈夫で長く使える樹種が最適です。
③羽根の固定(支点)は全てミニビス。羽根厚を薄く(6mm)するため、できるだけ細いネジを探した結果です。ブロンズ色なので隙間から見えても目立たないのもメリットです。
④⑤樹脂ワッシャーの厚みは1mm。金属ワッシャーと併用すると摺動部での滑りが良く、スペーサーとしての役割も果たせて便利です。
⑥塗装はカンペパピオの水性塗料を使っています。値段も安く0.5Lから購入できて無駄がありません。
パントリーの扉(神谷コーポレーション)が艶消し黒なので揃えました。
⑦ステンレス製のL字アングルを壁に固定し、穴付きのネオジム磁石をルーバーフレームにねじ止めしています。
磁石の力でアングルにルーバーを固定してます。
取り外す事もあるので、ちょうど良い固定力です。これも後ほど説明します。
⑨ポリエステルロープは各羽根に結びつけ連動させるために使用。端の1枚を開くと全ての羽根が開きます。(後ほど工夫ポイントで紹介)
⑩フェルトテープは壁との緩衝材、羽根の固定用に使っています。家具の脚につけて傷を防止するためのフェルトです。テープ状のものをダイソーで見つけました。(こちらも工夫ポイントで紹介)
フレーム用木材を固定するネジは手持ちのものを使ったため、リストには入っていません。特別なものではないので数百円ぐらいです。手間はかかってますが、ハウスメーカー品に比べると8割のコストダウンの総額¥15,000。これだけ安くなるとDやり甲斐があります。
制作にかかった期間
平日は仕事があるので週末土曜日に制作。結局1ヶ月ぐらいかかっています。家の建築と並行していたので、製作が進むごとに建築現場に持ち込み寸法確認をしました。
木材カットは購入時にホームセンターでお願い。店員ごとに精度がまちまちなので戻ってから微調整が必要。ビス穴・下穴を開け、サンディングして、塗料を塗って1日目は終了です。
数日後、塗装が乾いたことを確認して組み立て開始。羽根の枚数が多いので手間ですが、仮組みして可動部の隙具合を確認、スペーサーの枚数を調整しながら本組みします。組み立ては1日あれば十分です。
最後に現場に持ち込み、外周にガタつき防止・壁の傷防止でフェルトシートを貼り付け、設置確認して完成。壁にアングルを固定するのは引き渡し後に行います。
材料買い出し、塗装、組み立てを合わせて延べ2日。構想・材料図作成・現場確認でもう1日追加して、実工数は約3日。日当2万円だと思えば、材料費と合わせてちょうど8万円になります。日当分はコストダウンできたと思います。
製作で工夫したところ、後悔ポイント
窓用の可動式ルーバーを参考にして、インテリアに調和するように工夫しました。工夫ポイントを紹介します。
参考にさせて頂いたサイトはこちらです。とても丁寧な説明と図解でとても分かりやすいです。
※問い合わせ先が分からずリンク可否確認できておりません。不都合あればご連絡ください。
ルーバー羽根の厚み
ルーバー羽根の厚みを1cm以上にすれば、ネジ穴を開けても安心です。しかし、閉じた時の見た目は板厚分の凹凸が出るのでかなりゴツい印象です。
内装デザインでは出来るだけ無駄な線を省くように設計してきました。羽根の板厚は出来るだけ薄くして、凹凸が目立たないように設計。強度は不安ですが6mm厚の桧板で作りました。
動かす時は不安もありますが、今のところ問題なく使用できています。年に数回動かす程度なので、気をつけて丁寧に扱えば壊れる事もないと思います。
可動部の作り込み
ここが1番考えたところです。羽根がフレームに干渉しないようクリアランスを確保しつつ、ねじ止めした後でも羽根が動くように細工しています。
1mm厚のナイロン樹脂ワッシャー(④)を使って、羽根とフレームのクリアランスを調整しています。
フレームの木材も多少の湾曲があるので、場所によっては樹脂ワッシャーを2枚使っています。また、ミニネジとフレームの間にも樹脂ワッシャーを挟んでいます。
樹脂ワッシャーと木材の間には金属ワッシャー(⑤、左図中赤線)を挟み込みます。樹脂ワッシャーと金属ワッシャーの間で滑るように、金属ワッシャーには軽く油をつけています。
羽根は14枚もあるので組み立て作業はかなり細かい作業になりますが、ミニネジをしっかりねじ込むためには、この摺動部の作り込みが重要です。
羽根の連結方法
参考ページではアルミのリンクバーに全ての羽根を固定する事で、1枚を動かせば全てが動くように設計されいていました。なかなか手頃なアルミバーが見つからず、穴あけも手間取るので紐を使ってみました。
羽根を紐(⑨)で結んで連結する事で、端の1枚を開く事で全ての羽根を開くことができます。
リンクバーだと羽根の間隔が固定されるので、押しても引いても動かすことができます。紐の場合は、引っ張り方向しか力をかけられませんので、1番端を動かす必要があります。
これは閉じる時も同じ。リンクバーはどの羽根で閉じても良いですが、紐だと開く時と反対側の羽根を動かして全体を閉じます。
また、紐の場合、開閉状態のどちらでもしっかりと固定することができません。羽根をフレームに対して90度に開いても、手を離すと70度ぐらいまでじわっと戻ってしまいます。
この対策として、フレームの下枠内側にフェルトテープ(⑩、1mm厚)を貼っています。外周に壁の傷防止、がたつき防止で使っているものと同じものです。
フェルトの抵抗を利用し、一旦開いた羽根が閉じるのを防ぐように工夫しました。開け閉めに少し力は入りますが、フェルトを貼ってからは閉じても開いてもしっかりと羽根が固定されています。
本体の固定方法
最後にルーバー本体の固定方法です。色々な力を使いながら固定しています。固定部分の断面図は次の通りです。
大きく3つの力を使って固定しています。
- 天井材の張り出し部分
- L字クランプ(⑧)とネオジム磁石(⑦)
- 本体下部のフェルトテープ(⑩)と壁紙
1番警戒しているのは地震の時の横揺れです。
天井板材がエアコンスペースまで1cm張り出しているので、この張り出しに枠を当てて室内側への倒れ込みを防ぎます。L字クランプを使って内側への倒れ込み防止にします。張り出しとクランプで挟み込むイメージです。
さらに、ドーナツ状のネオジム磁石を左右各3個を、クランプに触れる部分に本体にネジ止めしています。この磁石がL字クランプに強力に張り付くことで、前後、上下の揺れを抑制します。
最後は、本体の外周部分にフェルトテープが貼り付けて滑りを抑制します。特に下部は、荒めの壁紙とフェルトが接しており、そこに本体の重量がかかることで滑り落ちを防ぎます。
ルーバーをネジ止めすれば確実ですが、フィルター清掃でルーバーを外す度にネジを外すのは面倒です。出来るだけ簡単に、かつしっかりと固定するためこの方法を選びました。
引っ越してから震度2程度の弱い揺れしか経験していませんが、揺れた時でもルーバーはびくともしませんでした。もし、何か変化があれば改めて記事にしようと思います。
後悔していること
ルーバーの作り方では今のところ後悔する点はありませんが、製作過程であせって失敗したと思うことがあります。羽根の塗装は枚数が多く時間がかかり、塗料皿の中で塗料が固くなったのですが、これを薄めるために水を入れすぎました。
水性塗料を水で薄めすぎると、シャバシャバになり軽く混ぜただけでも泡が立ちます。この泡が塗膜に残ってしまいました。今でもよく見ると分かります。
皿にアルミホイルを敷いて塗料を出していたので、アルミホイルだけを新しいものに取り替えれば、このような事は起きませんでした。塗装は手間を惜しむとすぐに結果に出ます。
もう一点注意点ですが、三菱電機エアコンの売りである「ムーブアイ」は機能しなくなります。これは、このルーバーだけでなく、ルーバーをつければ起きてしまうことです。
まとめ
コストダウンのために製作しましたが、予想以上に評判が良くて嬉しく思います。実際に開いた時と閉じた時の写真です。
試行錯誤を繰り返しながらでしたし、手狭な賃貸マンションで近隣を気にしながら作業しました。引っ越した今は作業スペースも十分にあります。もう一度作る機会があれが、初回よりも上手く作れると思います。
もし、我が家と同じように目隠しルーバーの値段で悩んでいる方は、一度DIYを検討されてはいかがでしょうか?