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類似商品の違いや注意点
V2Hはほぼ一択のニチコンですが、パッと見重複していると感じる製品もあります。また、他社との違いも気になります。簡単にまとめました。
EVパワーステーションとトライブリッドV2Hの違い
V2Hに関してはEVパワーステーションとトライブリッドV2Hの2種類があります。重要だと感じた違い次の4点。
EVパワーステーション | トライブリッドV2H | |
自立運転の最大出力 | 5.9kWh+α | 5.9kWh |
自立運転に自動切替 | 手動切替 | 自動切替 |
EV充電時の出力 | 5.9kWh | 最大9.9kWh |
補助金 | (パワコン内蔵)本体のみ | 最大本体+パワコン |
最大出力はパワコン能力が上限になります。太陽光・蓄電池・V2Hを変換するトライブリッドに対して、EVパワーステーションはV2Hのみ。太陽光や蓄電池のパワコンは別にあるので+αの供給能力になります。
蓄電池の電力が使えるトライブリッドと異なり、EVパワーステーションは停電時には電源が落ちます。外部電源や内部蓄電池(プレミアムプラス)を使って再起動が必要です。
EV充電時の出力は太陽光・蓄電池の電力を直流で融通できるトライブリッドが系統電力+αで大きくなります。EVパワーステーションはパワコンの能力5.9kWhが限界です。
補助金によってはV2Hパワコンを補助対象とするものもあります。その場合、パワコン内蔵のパワーステーションと外付けのトライブリッドV2Hでは対象額が異なります。
V2H導入時の契約アンペア
V2Hを導入する場合、電力の契約Aを上げる必要があります。特にオール電化の場合、深夜時間帯はエコキュートをはじめ大電力を消費。EVを深夜電気で充電する場合、3〜4kVaの契約A増が必要です。
先程のトライブリッドやパワーステーションの5.9kWhや9.9kWh出力では、200V換算でも30〜50Aが必要。エコキュート・家電・床暖房の電力が重なるので、10kVa以上の契約でないと厳しいです。
基本料金は1kVaあたり286円なので、V2H導入により基本料金が800〜1,100円上がります。試算の際は忘れずに加味してください。
テスラパワーウォールとEV有りオール電化
最後に蓄電池で人気のパワーウォールですが、全負荷で使用できるのは契約電力80A未満です。オール電化の場合、8kVa(80A)以上の契約も多く全負荷は期待薄。
特にEVの急速充電器を設置している場合、ほぼ10kVa以上の契約で特定負荷になります。自立運転時の家中バックアップは期待できないので注意が必要です。
新築時に導入するならどれが良い?
予算が不足した我が家は、新築時にこれらの設備の導入は諦めました。もし予算があれば何を入れればよかったのか、思い起こして考えてみました。
日々の電気代削減なら太陽光+トライブリッドパワコン
数百万円単位の買い物なので費用回収は早めたいところ。電気代が高騰しているので、自家消費を前提に太陽光が最有力。電力単価が上がるほど電気を買わないメリットは大きくなります。
ポイントはパワコンにトライブリッドパワコンを選ぶ事。値段は高いですが、住宅ローンやローン控除を活用できるのは新築時だけ。先々蓄電池やV2Hを導入しても、変換ロスが少ない直流運用が可能です。
2つ注意点です。1つ目は固定資産税・取得税が高くなる事。後付けの工事費と比べてどちらが良いか検討が必要。2つ目はニチコンの自然災害補償。トライブリッドパワコンと同時設置機器だけが対象です。
燃料費削減・災害時電力ならV2H+EV(PHEV)
災害時の電力も心配です。ガソリンも高騰しているので、燃料費削減と災害時電力の確保を兼ねて、V2H・EV(PHEV)の導入も選択肢です。我が家の新築時と違ってEVの選択肢もかなり増えています。
年間の走行距離が多い人ほど、燃料費削減の効果は高くなります。さらに、V2Hであれば最大9.9kWhでの充電が可能です。走行距離が長く災害時電力を重視する家庭ほど導入効果が高くなります。
新築でのV2H補助金はハードルが高い
新築V2Hの注意点は補助金。CEV補助金の場合、機器の発注・設置工事は交付決定通知の後が条件。さらに、年度の1月末日までに実績報告が必要です。申請期間が5月末〜10月末なので、申請できる施主は絞られます。
さらに、自治体では請負契約自体を決定通知後とする補助金もあります。契約から引渡まで1年近くかかる新築の場合、補助金を活用して導入するのはかなりハードルが高く感じます。
蓄電池単体でのコスト回収は難しい
新築で蓄電池を導入する場合、メリットは住宅ローンとローン控除のみ。電気を創る太陽光やガソリン代を減らすV2Hと異なり、蓄電池単体で光熱費を減らすことはできません。費用回収は難しい設備です。
また、金額が少ないとはいえ、太陽光電力の買取制度は続いています。お余剰電力をお金に変える事はできるので、自家消費率を上げるだけの蓄電池は後回しでも良いと思います。
さらに、新居での余剰電力量は住んでみないと分かりません。昼の冷暖房効果が維持できれば、夜の冷暖房費を抑える事できます。蓄電池の費用は新築時しかできない断熱・気密向上に回すのも1案です。
新築時は太陽光のみ、遅れてV2H+EVがおすすめ
補助金も含めて総合的に考えると、新築時は太陽光+トライブリッドパワコンがおすすめです。V2Hを含めた蓄電は、新居での消費電力が把握できてから考えると、過不足少ない設備導入が可能です。
平屋住宅の場合、太陽光を後で設置しても工事費は少なめ。取得税・固定資産税対策として「全てを後回し」も選択肢です。フラット35の場合、リフォームローンとの金利差は小さく、実質的な差はローン控除ぐらいです。
最後に
パワコンの台数・変換ロスを軸に蓄電システム選びのポイントを紹介しました。まとめると以下の通りです。
ポイントのまとめ
- 変換ロスを避けるためにはパワコンの数はできるだけ少なくする
- パワコンの台数が多い場合、最大で3割の電力を失う
- 新築時には将来の拡張性を考えた設備導入が重要
EVを含め蓄電システムは発展途上ですが、その分リスクをとって導入する人には手厚い補助金が用意されています。設備導入時は、パワコンの台数に着目して選んではいかがでしょうか?
次回は、「絶対活用すべき補助金」について。EVやV2H設備導入時に活用できる「CEV補助金・地方自治体の補助金」について、ポイント・申請手順・注意点をまとめます。
最後まで読んでいただき有難うございました。
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