PVアクセスランキング にほんブログ村

エコキュートの騒音対策!深夜以外でエコキュートを自動運転する方法

オール電化を選ぶ場合、必ず必要になる設備がエコキュートです。ヒートポンプでお湯を沸かすので経済的ですが、深夜に稼働するヒートポンプは騒音トラブルの原因にもなります。我が家もトラブルを経験しました。

今回の記事では、騒音トラブル解決に向けてエコキュートを昼に動かす方法を紹介します。取説にも書いていませんが、書いていないのは理由があります。太陽光が普及し卒FITも増え始めた現在、オール電化の考え方自体アップデートも必要だと感じます。

今回の記事のポイント

  • そもそもオール電化のねらいは?
  • エコキュートは夜間に動かすもの
  • 夜間以外で動かすにはどうするか?
  • 夜間以外で動かす時の注意点
  • オール電化と現実の乖離

新築でオール電化を予定している方、オール電化へ切り替えを考えている方の参考になればと思います。

エコキュートは深夜に湯を沸かすもの

エコキュートで騒音問題が起きる1番の理由は「深夜の就寝時間に稼働する」ため。しかし、深夜以外で動かそうとしても設定方法が見つかりません。エコキュートは、そもそも昼に動かない設計になっています。

発電所の余剰能力を活用する仕組み

電力需要は昼過ぎと深夜を比べると2倍以上違います。ピークの電力需要に合わせて発電所を設置するため、深夜には発電能力・電力共に大幅に余った状態。深夜に動く設備を「条件」に深夜電気を安く提供し、余剰の解消を目指す仕組みがオール電化です。

このため、東京電力のHPにはオール電化プラン(スマートライフ)には「夜間蓄熱式機器が必要」と書かれており、以下4種類の機器が紹介されています。

オール電化プランの必須設備(どれか)

  • エコキュート(自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯機)
  • 電気温水器
  • 蓄熱暖房器
  • 蓄熱床暖房

動く時間は自由に選べない

では、「深夜電気を使う給湯機や床暖房ならOK」と思いきや、他にもいくつか条件があります。次の機能が付いていると対象外と書かれています。

対象外になる機能・条件(抜粋)

  1. 通電時間を任意に設定できる(共通)
  2. タイムコントローラー(時刻による制御機能)がない(共通)
  3. 緊急時を含め昼間の消費電力が夜間の消費電力より多い(温水給湯機)
  4. 暖房に必要な熱量を夜間時間の蓄熱によりまかなうことができないもの(暖房)

分かりやすく書くと「動作時間は選べず(1)、タイマー機能で動作し(2)、夜間だけで必要な湯・熱を溜められる(3・4)」給湯・暖房設備以外はオール電化の対象外。オール電化対応のエコキュートは「動く時間を自由に選べないように設計」されています。

湯切れ対策なら自動で動く

そうはいっても、タンク内の湯が足りなくなれば沸き上げる事が必要。また、極端に湯温が下がった場合は昼間でも沸かし直す必要があります。

こういった時には昼間であっても自動で沸き上げる機能がついています。ただし、「対象外になる機能・条件」の3の通り、緊急時を含めた昼の消費電力は夜間の消費電力より小さくなることが求められています。

昼間の停止時間は設定できる

昼間に限り特定の時間で動作を停止することができます。電気料金プランによっては「かなり割高なピークタイム単価」が設定されています。この時間に先ほどの緊急作動が重なると電気代は一気に跳ね上がります。これを避けるため、昼間の一定時間のみ稼働を停止する機能がついています。

深夜以外で自動運転する方法

それではエコキュートを「自動で昼間に動かす方法」はないのか?メーカーのサービスも納得した方法を紹介します。

エコキュートの時計をずらす

古典的な方法ですがエコキュートの時刻設定を半日前後させることで、動作タイミングを昼夜逆転することができます。ネット上でもこの方法で太陽光電力を活用している方を見かけます。

メーカーからは「推奨できない」との回答。具体的な理由説明はありませんでしたが「多くの機能が時刻に依存していてどんな問題が起きるか確認できていない」とのこと。メーカー非推奨なのでこの方法は保留にして他を考えます。

手動なら完全昼間沸き上げも可能

「時刻ずらし」の代わりにメーカーから提示されたのは、「満タンわき上げ」と「2日以上のわき上げ停止」を組み合わせる方法。

手動で昼に動かす方法

  • 満タンわき上げ:お湯を50L使うごとに都度満タンまでわき上げる設定
  • わき上げ停止日数:旅行などの不在時にエコキュートの稼働を停止する設定

風呂の湯はりが終わったら、「満タンわき上げ」でタンクを満タンにしそれ以降翌朝(2日間)までの稼働を停止。翌朝、停止解除という3ステップです。確かに深夜の稼働は回避できましたが正直なところ面倒。これも保留にして、他の方法を考えます。

マニュアルモードで電力契約を作成

取説を熟読して発見し、メーカーからもOKと言われた方法です。エコキュートの初期設定では電力会社・契約プランを選択しますが、「マニュアルモード」を選ぶことも出来ます。設定できる項目は、

深夜時間を変更する方法

  • 夜間開始:20時〜1時の間で深夜時間の始まりを設定
  • 夜間終了:5時〜9時の間で深夜時間の終わりを設定

これによりエコキュートが動作する深夜時間を、最大で20時〜翌朝9時まで広げる事ができます。ただし、これだけでは長い深夜時間の「いつ動くか」まで指定できません。

夜間動作設定でピークを調整

深夜時間の動作を指定するには、マニュアルモードで次の2項目を設定します。

  • 夜間能力:通常(高出力)・能力セーブ1(中出力)・能力セーブ2(低出力)
  • 夜間動作:R(深夜終了時刻にわき上げ完)・C(深夜時間中間でわき上げ完)・L(深夜開始で沸かし始め)

夜間能力は「出力調整で沸き上げにかかる時間」を決める項目で、夜間動作は「夜間どのタイミングで動くか」を決める項目です。夜間終了時間と組み合わせて、

最終的なマニュアル設定

  • 夜間終了:朝9時
  • 夜間動作:R
  • 夜間能力:通常

に設定すると「朝9時沸き上がり」・通常出力で逆算して動作開始。概ね朝5〜6時に動き始めます。深夜の騒音対策としては十分な効果です。

深夜以外で動かす上での注意点

マニュアルモードの活用で深夜以外でエコキュートを動かす事ができました。めでたし、めでたしですが、一部注意点もあります。

非常用水が減る?

エコキュートのタンク内の湯(水)を災害用水として活用するため一回り大きな460Lに変更しました。湯張り後朝までわき上げない場合「タンクの残湯が少なく災害対策にならない」と考えていましたが、この考えは間違いで、タンクは常に満水

タンクは上部の取水口からお湯が出て、下部の給水口から水が供給される仕組み。給水口は「常に開いた状態」なので、お湯が抜き取られるとタンクに空間ができ水が下から自動的に入ります。この結果、タンク内は常に満水状態になるそうです。

電気代が上がる

朝6時以降の昼間電気の使用量が増えるので電気代が上がります。沸き上げ1日あたり2kWhの消費電力として16円、年間6000円のコスト増になります。沸かす湯量は変わらず、時間帯だけで余分にかかる電気代です。

太陽光・蓄電池の導入時に「お天気リンクEZ」も導入する予定。天気予報で翌日の太陽光発電量を計算し、わき上げの一部に発電電力を使う仕組みです。蓄電した深夜電気を朝から使えば、蓄電電力と太陽光電力だけで動作し先ほどのコストアップは吸収できそうです。

お天気リンクEZの期待度

オール電化は深夜電気を使う仕組みなので、「お天気リンクEZ」を設置しても昼夜逆転はできません。あくまで「一部」を昼にシフトする機能です。また、1日中雨予報の場合、太陽光活用は期待できないそうです。

その他の注意点

早朝にお湯をたくさん使う家庭の場合、エコキュートの朝稼働はお湯切れリスクが高まります。タンク内の温度が上がるまでお湯は使えません。わき上げモードで「湯量多め」を選ぶと、タンク内のお湯の割合を増やす事ができます。

リモコンの湯量表示

エコキュートのリモコンを見ると残湯量を示す4段階の目盛が表示されています。この目盛は「45℃以上のお湯がどの程度あるか」を示しています。460Lタンクの場合、満タン表示の時には「45℃以上の湯が330L以上ある」という意味で、残り130Lは45℃未満ということになります。

最後に、現実と乖離気味なオール電化

今まで売電が当たり前だった太陽光電力ですが、電気代の高騰、買取価格の低下、卒FITから自家消費を目指す人が増えています。国・自治体も、防災の観点も含め、自家消費を推奨しています。電力会社にとっても発電量が不安定な太陽光電力は、頭の痛い問題だと言われます。

太陽光の自家消費、さらに、蓄電池やV2Hに深夜電気を蓄電して昼に使う事は、オール電化が目指す「夜を増やして昼を減らす平準化」に合致するものです。その中で「昼間に動かせないエコキュート」や「制限をかけるオール電化の仕組み」は、卒FITの増加・自家消費前提の太陽光導入に伴い課題になると感じます。

次回の記事では、「オール電化を導入するメリット・デメリット」について、経済性・利便性・災害対策の観点からまとめます。

広告

広告