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電気代値上げ オール電化の冬、電気代は何がいくら上がったのか?

今年(2022年)は新居で迎える2シーズン目の冬です。久々に寒さのこたえる冬ですが電気代が驚くほど高騰しています。特にオール電化世帯への影響は大きく、我が家も過去最高の電気代に目を疑いました。

そこで、昨年の電気代と比較して、今年の電気代高騰の理由を検証。その結果「燃料調整費の高騰」「昼間電気の消費増」の2点が原因である事がわかりました。また、検証の中で今後取り組むべきポイントも見えてきました。

今回の記事では、「電気代高騰の理由」について深掘りし、今後取り組むべきと感じた点を紹介します。

今回から5回に分けて「オール電化、電気代に関するトピック」を紹介する予定です。

5連載の題目

電気代を決める4つのポイント

電気代高騰の理由を知るためには、電気料金の計算方法や請求項目を理解する必要があります。東京電力エナジーパートナー(TEPCO)のオール電化プラン(スマートライフL)で説明します。

電気代の計算式

まず1カ月の電気料金の計算方法です。基本料金や使用量の他にも追加の費用がかかっています。

電気料金の計算式

[電気料金]=[基本料金]+[使用料]+[燃料調整費]+[再エネ賦課金]+[各種手数料※]

  • [使用料]=(昼間使用量)×(昼間単価)+(深夜使用量)×(深夜単価)
  • [燃料調整費]=(燃料調整単価)×(使用量)
  • [再エネ賦課金]=(再エネ賦課金)×(使用量)

※検針表や振込用紙の発行手数料。Web検針表や口座振替・クレジットカード払いの場合は不要です。

基本料金

オール電化向けのスマートライフプランLの場合、基本料金は契約容量(kVA)当たり286円で計算します。

[基本料金]= 286円 ×[契約容量(kVA)] (例:10kVA契約:286円 × 10kVa = 2,860円)

オール電化の場合、家電・住宅設備の消費電力が大きいので6〜10kVAの契約が大半。EVの急速充電・V2Hを導入する場合は契約容量の追加が必要です。

新築時の契約アンペア

容量が足りないと頻繁にブレーカーが落ちます。毎回家電の設定がリセットされ面倒。容量を増やす時はブレーカーの交換費用もかかります。基本料金は高くなりますが、契約容量は大き目が安心です。

電気の使用量

1カ月間に使用した電気の量のことで単位は「kWh」です。

オール電化は昼夜で電力単価が変わるので、検針表では昼間・深夜電気に分けて使用量が記載されます。オール電化だと1カ月の平均消費電力は500kWh前後、ガス併用住宅(350kWh前後)に比べると2割増しです。

電力単価(昼間・深夜)

東京電力のスマートライフプランの電力単価は次のとおりです。深夜電気は安いですが、適用される時間帯は短く5時間しかありません。

  • 昼間(朝6時〜深夜1時まで):1kWhあたり25.8円
  • 深夜(深夜1時〜朝6時まで):1kWhあたり17.78円

ピークタイムや季節単価とは

特に電力単価が高くなる「ピークタイム」や季節で変わる「季節単価」を設定している電力会社もあります。エコキュートや蓄熱式床暖房では料金体系に合わせて細かい設定ができるようになっています。

サーチャージ・賦課金

航空機の料金と同じように、電気料金にも燃料サーチャージがあり「燃料調整費」があります。発電所の燃料価格を調整するもので毎月改定されます。昼夜関係なく一律で加算され上下幅も大きいので注意が必要です。

「再エネ賦課金」も電力単価とは別に加算される費用です。太陽光電力を買取る原資に充てられます。毎年5月に改定され2022年は1kWhあたり3.45円となりました。月500kWhの消費電力だと1,725円(年2万円超)の負担です。

再エネ賦課金はいつまで?

2021年に太陽光の買取価格が20円を下回り、自家消費のメリットが大きくなりました。10年後の2030年には賦課金も減少に転じる見込みですが、その後20年程度は加算が続くとされます。

燃調費・賦課金を含めた電力単価は昼間は36円。17円(2022年)で売電するより、太陽光で発電した電力は自家消費する方がメリットは大きいです。

消費税は内税表示

内税表示なので気づきにくいですが、基本料金から賦課金まで全ての金額に消費税が含まれています。消費税率が上がれば、全ての金額が上がります。消費税という点でも自家発電・消費のメリットは大きくなります。

冬のオール電化、電気代はいくら上がったか?

ガス、電気、ガソリンと家庭が購入するエネルギーは軒並み値上がりしています。1年前と比べてどれぐらい電気代が上がったのか比較します。

冬季4か月の電気代

まずは12月〜3月の電気代の比較です。横並びで比較してみると驚くほど上がっています。

21年度 20年度 差額
12月 27,060円 20,533円 +6,527円
1月 35,486円 23,633円 +11,853円
2月 28,795円 18,133円 +10,662円
3月 24,496円 15,692円 +8,804円
合計 115,837円 77,991円 +37,846円

年が明けてから5割程度電気代が上がっています。4ヶ月で4万円弱、贅沢な外食ができます。

この2年間での変化点は、燃料調整費と再エネ賦課金。さらに、24時間稼働にした床暖房、気温が低く出力が高かったエコキュートの消費電力も気になります。

電気代高騰の原因を探るため、燃調費・賦課金・消費電力の変化を1カ月ごとに確認します。

21年12月の電気代

まずは12月の電気代の比較です。6,500円の値上がりですが、そのうち7割は燃料調整費の増加によるものです。恐るべし。

21年度 20年度
消費量(kWh) 金額 消費量(kWh) 金額
基本料金 2,860円 1,716円
昼間電気 566 14,603円 414 10,681円
深夜電気 388 6,899円 582 10,348円
燃調費 954 ▲506円 996 ▲5,179円
賦課金 954 3,205円 996 2,968円
合計 954 27,061円 996 20,534円
21年度 20年度 差額
燃調費単価 ▲0.53円 ▲5.20円 +4.67円
賦課金単価 3.36円 2.98円 +0.38円

基本料金:1,100円UP 契約Aが60Aから10kVAに変更になっているため。

消費量:▲4%/金額:472円UP 床暖房を24時間稼働にした結果、昼夜の割合が変化

燃調費:4,600円UP 単価はマイナス域だが前年同月と比べると大幅に増加。

22年1月の電気代

1月の比較ですが、昨年1月の途中で契約Aを60Aから10kVAに変更しました。このため基本料金は日割り計算のため変則的。

21年度 20年度
消費量(kWh) 金額 消費量(kWh) 金額
基本料金 2,860円 2,453円
昼間電気 868 22,394円 392 10,114円
深夜電気 305 5,423円 765 13,602円
燃調費 1,173 868円 1,157 ▲5,982円
賦課金 1,173 3,941円 1,157 3,448円
合計 1,173 35,487円 1,157 23,634円
21年度 20年度 差額
燃調費単価 0.74円 ▲5.17円 +5.91円
賦課金単価 3.36円 2.98円 +0.38円

消費量:1%UP/金額:4,100円UP 昼電気の割合がさらに増加。騒音問題でエコキュートを朝稼働にしたため

燃調費:7,000円UP マイナス域からプラスに変化。この値上がりは大きい。

賦課金:490円UP 1,200kWh近い消費だとチリツモ

22年2月の電気代

2月の電気代比較です。総額で1万円以上の値上がり。消費量増・昼割合増・燃調費増の三重苦です。

21年度 20年度
消費量(kWh) 金額 消費量(kWh) 金額
基本料金 2,860円 2,860円
昼間電気 619 15,970円 254 6,553円
深夜電気 294 5,227円 578 10,277円
燃調費 913 1,671円 832 ▲4,035円
賦課金 913 3,068円 832 2,479円
合計 913 28,796円 832 18,134円
21年度 20年度 差額
燃調費単価 1.83円 ▲4.85円 +6.68円
賦課金単価 3.36円 2.98円 +0.38円

消費量:10%UP/金額:4,367円UP 使用量以上に金額が上昇。エコキュートの朝稼働は継続中

燃調費:5,700円UP 消費量が減り前月より絶対額は少ないが、前年同月との差額は最大

賦課金:590円UP 他の値上がり大きく気にならない。消費量増が影響

22年3月の電気代

まずは12月の電気代の比較です。6,500円の値上がりですが、そのうち7割は燃料調整費の増加によるものです。恐るべし。

21年度 20年度
消費量 金額 消費量 金額
基本料金 2,860円 2,860円
昼間電気 497 12,823円 239 6,166円
深夜電気 257 4,569円 425 7,557円
燃調費 754 1,712円 664 ▲2,868円
賦課金 754 2,533円 664 1,979円
合計 754 24,497円 664 15,693円
21年度 20年度 差額
燃調費単価 2.27円 ▲4.32円 +6.59円
賦課金単価 3.36円 2.98円 +0.38円

消費量:13%UP/金額:3,700円UP 3月でも寒く床暖房継続、エコキュートも朝稼働。昼夜の割合が反転した状態

燃調費:4,600円UP 10〜12月の燃料代が3月に反映されており、ウクライナ侵攻の影響はまだ

賦課金:554円UP 消費量が前年より多く差額は500円越え

結局、電気代が上がった理由は?

冬季4カ月を前年と比較した結果、電気代が上がっている理由が見えてきました。

最大の理由は燃料調整費

値上がりの最大の理由は燃料調整、4カ月合計で2万円を超えます。ただし、前年は軒並みマイナス調整が続いていたので、結果的に値上がり幅大きくなっているとも言えます。

燃調費はまだ上がる

ウクライナ侵攻により、足元の燃料価格は大幅に上がっています。本格的に価格転嫁が始まる6月以降、燃調費はさらに上がる見込みです。本格的に自家発電・消費を考えるタイミングかもしれません。

昼夜電力の割合もインパクト大

昼夜の消費割合が変わり4カ月で1.2万円の増加は痛手ですが、1日中安定した室温を維持できるメリットは大きい。得られたメリットを考えると1.2万円は安いと感じます。

エコキュートの騒音

1月大雪の日に起きたエコキュートの騒音問題は課題。気温の低い深夜に高出力で稼働すると音と振動が大きい模様。冷暖房も事情は同じなので、まとめて深夜外の稼働を前提にするのも選択肢。その場合、太陽光の自家消費が必須になります。

契約A変更による基本料金UP

契約Aを変更したことにより基本料金は1,100円上がりました。メリットが体感できないので年間1.3万円は抵抗感があります。今後、EVを導入で契約容量を追加すれば、基本料金はさらに上がります。

基本料金無しのLooop電気

現在新規契約を停止していますがLooop電気は基本料金無し。電力単価は上がりますが、太陽光を自家消費すれば買電量が減りデメリットは小さくなります。今後の検討課題です。

電気使用量は大きな変化無し

4カ月をまとめると、消費量の増加は150kWh程度と微増。昨年は昼間に床暖房を止めていたので、スタートアップでかなり消費していたかもしれません。降雪量が多く気温も低かったので心配していましたが、消費量については杞憂に終わりました。

最後に

値上がりする電気代について、消費量、昼夜割合、燃調費、賦課金を切り口に検証しました。金額だけをみると憂鬱な気分になりますが、メリットが明確な価格UPもあり、それなりに納得できる結果でした。電力よりガス代の値動きが大きいようで、オール電化はまだマシかもしれません。

今回の検証を通じて痛感した事がもう1点。やはり自家発電・自家消費は必要です。特にV2Hを導入すれば、自家消費を高めつつ高騰するガソリン代も削減できます。燃調費・再エネ賦課金からも解放されます。補助金もかなり手厚く用意されているので、考えどきだと感じています。

最後まで読んで頂き有難うございます。次回は、「24時間稼働させた温水蓄熱式床暖房」について紹介します。

参考:我が家の電気スペック

参考まで我が家の電気契約、住宅設備のスペックはlこちらです。

電力契約

電気契約 TEPCO(東京電力エナジーパートナー) スマートライフL ブレーカー容量が60Aまで:スマートライフS
ブレーカー容量が7kVA以上:スマートライフL
契約A 10kVA
電気代単価 昼間電気(朝6時〜深夜1時):¥25.8/kWh
夜間電気(深夜1時〜朝6時):¥17.78/kWh
計算式
  • 基本料金:¥286/kVA ×10kVA=¥2,860(①)
  • 昼間電気:¥25.8 ×(a)kWh =(②)
  • 深夜電気:¥17.78 ×(b)kWh =(③)
  • 燃料調整:¥(x)×(a + b)kWh=(④)
  • 再エネ賦課:¥(y)×(a + b)kWh=(⑤)
  • 電気代:(①+②+③+④+⑤)(税込)
 

  • 燃料調整費は毎月変動。最近では2022年1月までは減額、2月から増額調整。
  • 再エネ賦課金は毎年5月〜翌年4月を区切りに変動。FIT(固定価格買取制度)などの財源として、1kWh当たりで賦課される。

住宅設備

設備 詳細 備考
エコキュート 三菱電機 エコキュート 460L(SRT-S464) 初期見積もりの設定は370L。災害対策で460Lに変更。タンク・ヒートポンプ各1基。
蓄熱式床暖房 三菱電機 エコヌクールレオ(VEH-712HCD-K/406HPD) 70畳タイプはヒートポンンプユニットが2基必要。
エアコン 三菱電機 霧ヶ峰(200V1基・100V3基) 夏の冷房のみ使用。冬は床暖房のみ。
IHコンロ 日立 3口・グリル付きIH(HT-M8AKTWFK・200V) 基本的に3食調理。昼・夜調理時は3口全て使う。グリルは朝食のパン焼き主体。
食洗機 AEG (FEE93810PM・200V・60cm幅) 基本は深夜稼働。夕食外食時などは、食器が少なく翌日昼にまとめる事もあり。
照明器具 屋内外、全てLED電球

冷暖房

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
冷房
暖房

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