PVアクセスランキング にほんブログ村

広さ3倍の新築平屋、それでも消費電力が増えない理由と今後の課題

「災害時、ガスの供給が止まっても電気があれば生活できる事」に魅力を感じ、新築ではオール電化を選択しました。しかし、今まで経験したことのないオール電化。「光熱費はいくらかかるのか」不安でした。

今回の記事では「賃貸と新築の消費電力比較から見えた課題」について紹介します。

この記事のポイント
  • オール電化とガス併用の電気代比較
  • 賃貸マンションと気密断熱住宅での性能差
  • 新型家電・ヒートポンプによる省エネ化
  • 季節毎の電力消費の特徴
  • 電気代削減のために今後行うべきこと
こんな方の参考になればと思います
  • 電気代・ガス代が高くてこまっている方
  • オール電化の導入を考えている方
  • 省電力住宅を考えている方
  • オール電化の消費電力量を知りたい方

新築平屋と賃貸マンションの違い

新築の平屋と賃貸マンションでは大きく3つの点が異なります。

マンションと平屋での違い
  • ガス有無や建物種別による電力契約の違い
  • 気密性能・断熱性能・パッシブ性能の違い
  • 家電・住設のアクティブ性能(エネルギー効率)の違い

ガス有無・建物種別による違い

賃貸マンションと新築戸建ての電気・ガス契約を表にまとめると次の通り。新築平屋ではオール電化のためガス契約はありません。(赤字は適用が多かった従量段階)

電気・ガス契約の比較表
単価カテゴリー 賃貸マンション(ガス併用) 新築平屋(オール電化)
電気 契約プラン 重量電灯B(40A) スマートライフL(10kVa)
基本料金(¥286/10A) ¥1,144 ¥2,860
従量第1段階(〜120kWh) ¥19.88/kWh
従量第2段階(〜300kWh) ¥26.48/kWh
従量第3段階(300kWh〜) ¥30.57/kWh
昼間電気(6時〜25時) ¥25.80/kWh
深夜電気(25時〜6時) ¥17.78/kWh
ガス 従量A表(〜20㎥/月) 基本料金:¥  759・単価 ¥140/㎥
従量B表(〜80㎥/月) 基本料金:¥1,056・単価 ¥125/㎥
従量C表(〜200㎥/月) 基本料金:¥1,232・単価 ¥120/㎥

※電気料金には再エネ賦課金・燃調費を含まず。電気・ガス共に2019年当時の単価です。

オール電化では契約Aが大きくなり基本料金は増加。ガスの基本料金を差し引いても¥660増です。

光熱費削減にはガスから電気に移行する「給湯」「コンロ」がポイント。同じエネルギー量で比較すると、電気はガスの2.5倍単価が高くなります。

ただし、エネルギー効率が高くヒートポンプも使える電気は、少ないエネルギーで給湯でき、さらに安い深夜電力も使えます。

基本料金の増分を加味しても、光熱費を減らせる可能性は十分にあります。

熱効率と光熱費

ガス給湯器の熱効率は95%と高効率ですが、エコキュート(ヒートポンプ)は熱効率は350%前後。3割程度の電力で湯を沸かせます。

エネルギー量では「都市ガス1㎥」は「12.5kWhの電力」に相当しますが、エコキュートの場合「3.6kWhの電力」で相当。「ガス1㎥ = ¥125」に対して「深夜電気3.6kWh = ¥64」と光熱費は半分です。

住宅性能・パッシブ性能での違い

「住宅性能の向上」→「冷暖房の使用減」→「消費電力が減少」が理想ですが、実数に現れにくい部分です。

住宅性能の差
比較項目 賃貸マンション 新築平屋
広さ 48.15㎡ 134.41㎡(ロフト別)
構造 RC造 木造軸組
特徴 4階・北西角部屋 平屋・屋根断熱(2×8・吹付断熱)
通風
採光
気密 ○(C値:0.5㎠/㎡)
断熱・窓サッシ アルミサッシ・シングルガラス 樹脂アルミ複合・トリプルガラス

賃貸はRC造でアルミサッシの単層ガラスの一般的な賃貸仕様。夏はコンクリートが蓄熱し夜でも冷房必須。上下階があり暖かく冬は暖房は少なめでした。

新築平屋は高気密・高断熱住宅に加え、「軒による日射調整」「通気窓での排熱」などパッシブ性能も高く冷房頻度・期間は少なくなると期待。一方で、地面に近い平屋で全面タイル床なので暖房費は大幅に上がると予想してます。

パッシブデザインとアクティブデザイン

パッシブデザインは、太陽や風といった自然の力を活用し快適性を高めるデザイン。具体的には「軒の出による日射調整」や「高窓による熱気排出」などが挙げられます。

対してアクティブデザインは、設備・家電を活用して積極的に快適性を高める方法。エアコンや床暖房の性能、建材の断熱性能、太陽光による創エネなど、設備・家電の力が重要なポイントです。

家電・住設による違い(アクティブ性能)

新居にあたり家電も一通り新しく買い替えたので省エネ性能は向上やヒートポンプの節電効果を期待しています。

家電・住宅設備の違い
家電・住宅設備 賃貸マンション 新築平屋
エアコン 100vエアコン(2基) 100v(3基)・200v(1基)
床暖房 温水蓄熱式(75畳)
調理器具 ガスコンロ(2口+グリル) 日立IH(3口+グリル)
冷蔵庫 2ドア(134L) 5ドア(455L)
食洗機 AEG 60cm幅(200v・1基)
給湯器 ガス給湯器 エコキュート(450L)
洗濯機 縦型洗濯乾燥機 ドラム型洗濯乾燥機
照明器具 ほぼLED電球(20灯前後) LED電球(60灯前後)

建物が大きくなったため冷暖房設備は大幅に強化。「建物・設備・家電の大型化」に対して「省エネ技術の効果」がポイントです。

まとめると次の通り。

大きな変化点
  • 冷房:エアコン2基→エアコン4基
  • 暖房:エアコン2基→大型の温水蓄熱式床暖房(ヒートポンプ)
  • 給湯:ガス給湯→エコキュート(ヒートポンプ)
軽微な変化点
  • 調理器具:ガス→IHは熱効率が向上。消費割合も低い
  • 冷蔵庫:最新型になり消費電力は少ない
  • 食洗機:毎日の事で消費電力は純増だが、安い深夜電気が中心
  • 洗濯機:最新のドラム型に変更で消費電力は減少し、さらに深夜電力が中心

通年での消費電力・光熱費の比較

賃貸マンションと新築平屋での12月〜10月の光熱費光熱費を比較しました。ガス併用・オール電化の違いがあるので、都市ガス(東京ガス・13A)1㎥ = 12.5kWhで変換し合算しています。

通年での比較(12〜10月)

まずは季節を分けず約1年分の比較。消費電力(賃貸は換算含む)で比べると新築平屋の方が少なくなっています。

賃貸マンション 新築平屋
消費電力 光熱費 消費電力 光熱費
12月 872kWh ¥16,931 996kWh ¥20,533
1月 746kWh ¥14,624 1,157kWh ¥23,633
2月 730kWh ¥13,512 832kWh ¥18,133
3月 738kWh ¥14,020 664kWh ¥15,692
4月 738kWh ¥12,742 485kWh ¥13,247
5月 555kWh ¥11,367 383kWh ¥11,612
6月 562kWh ¥12,132 345kWh ¥10,877
7月 640kWh ¥14,405 493kWh ¥14,707
8月 503kWh ¥12,104 544kWh ¥16,356
9月 366kWh ¥7,754 370kWh ¥11,995
10月 556kWh ¥9,808 393kWh ¥12,715
合計 6,997kWh ¥139,399 6,662kWh ¥169,500

11ヶ月間の消費電力は▲330kWhですが、冬の電気代はオール電化の方が高くなっているので、11月の電気代を含めると同程度の消費電力になりそうです。年毎に気温差があり単純比較はできませんが、次の3つの傾向が見て取れます。

消費電力の変化、3つの傾向
  • 冷暖房を使わない春・秋の消費電力は賃貸マンションより少なくなっている。
  • 冷房が必要な夏になると、消費電力は賃貸マンションより若干多くなる。
  • 大型床暖房を使用する冬になると、消費電力は賃貸マンションよりかなり多くなる。

気になるのは、消費電力減かつ電力単価下落なのに光熱費が2割増えた事。「賃貸ではガス」「新築でヒートポンプのない電気」になったものが単価を押し上げるので、次の2点が原因でした。

光熱費単価を押し上げる要因
  • 食洗機:賃貸では年中ガス給湯のお湯で食器洗い。新築は輸入食洗機のヒーター式高温洗浄。消費湯量も増えてます。
  • IHヒーター:自炊率が高くガス使用量は平均の5割増しでした。IHの方が光熱費は高いので、そのまま電気になると単価は上がります。さらに在宅仕事で自炊頻度は増加。

春・秋の消費電力・光熱費(冷暖房なし)

先程の消費電力で見えた3つの傾向を1つずつ深掘りします。まずは、冷暖房を使わない春・秋の消費電力と光熱費です。(4月は上旬のみ床暖房を動かしたので消費電力は高めです。)

賃貸マンション 新築平屋
消費電力 光熱費 消費電力 光熱費
4月 738kWh ¥12,742 485kWh ¥13,247
5月 555kWh ¥11,367 383kWh ¥11,612
6月 562kWh ¥12,132 345kWh ¥10,877
9月 366kWh ¥7,754 370kWh ¥11,995
10月 556kWh ¥9,808 393kWh ¥12,715

特徴的なことが2つあります。

  1. 新築平屋の冷暖房なしでの平均消費量は400kWh弱(5月・6月・9月・10月)
  2. 消費電力と光熱費が逆転している(4月・5月)

i の400kWhはエコキュート・キッチン周り・照明器具・生活家電の基礎的な消費電力と推測。季節毎の冷暖房はこれに上乗せです。

ii 賃貸ではガス消費量は変わらず、消費電力のみ半分以下に。安いガス単価に引っ張られ全体の単価が下がってます。9〜10月は賃貸時より電力単価が上がっています。(2円前後)

オール電化の電気代を考える上で、キッチン周りの消費電力は意外と重要でした。給湯以外、キッチン周りの住設はヒートポンプの恩恵はありません。出力増加がそのまま電気代に跳ね返ります。kW単価の安いガスとの比較になるので、特にギャップが大きくなります。

夏の消費電力・光熱費(冷房のみ)

冷房を使った期間は7月・8月の2ヶ月間のみ。冷房の設定温度はほぼ27度ですが、賃貸と異なり熱がこもった感じはなく快適です。

賃貸マンション 新築平屋
消費電力 光熱費 消費電力 光熱費
7月 640kWh ¥14,405 493kWh ¥14,707
8月 503kWh ¥12,104 544kWh ¥16,356

冷暖房無しの400kWh基準に対して増加した100〜150kWhが冷房の消費。在宅仕事とオリパラで1日中冷房をつける事も多く、思ったより消費が少ないと感じます。

「設定温度高めでも賃貸より快適なこと」や「冷房の消費電力が少なかったこと」から、パッシブ/アクティブデザイン両面の効果が実感できました。

なお、7月の電力単価は燃料調整費・再エネを含めると賃貸の頃と同じ水準まで上昇。8月には賃貸時の単価を上回ります。これ以降、燃調費の上昇が続くことになります。

冬の消費電力・光熱費(温水蓄熱式床暖房)

最後は圧倒的に消費電力が大きい冬です。やはり大型の床暖房は消費電力も大きいです。ヒートポンプでなかったらと考えると怖くなります。

賃貸マンション 新築平屋
消費電力 光熱費 消費電力 光熱費
12月 872kWh ¥16,931 996kWh ¥20,533
1月 746kWh ¥14,624 1,157kWh ¥23,633
2月 730kWh ¥13,512 832kWh ¥18,133
3月 738kWh ¥14,020 664kWh ¥15,692

賃貸では、1台の100vエアコンを1日6時間動かす程度でした。引っ越してからは、床暖房を深夜に5時間、100vエアコン2台を昼間6時間程度稼働しています。

さらにエコキュートもかなり出力が上がっています。他の季節に比べると給湯の電力は3割程度増えたと考えています。

在宅ワーク・ステイホームで在宅時間が2倍以上に増えてます。在宅時間が同じならば、消費電力は逆転していたかもしれません。

太陽が出ている昼の間が中心となる冷房に対して、暖房は常に稼働させる必要があります。この結果、深夜電気以外でもかなりの電力を購入することになります。

通年の消費電力を考える場合、冬の昼間電気をいかに抑えるかが鍵になると思います。

まとめ、比べて分かった電気代削減に向けた課題

ここまで賃貸マンション時の光熱費と新築平屋の光熱費を比較しきました。この比較で分かったことは次のとおりです。

比較から分かった事
  • 我が家の基準消費電力は400kWh弱で、年間消費電力は7500kWh程度
  • 暖房を使う冬の消費電力が大きい。長時間暖房を継続的に使うため、昼間電気の購入削減が鍵になる
  • キッチン周りの消費電力は意外と大きい。食洗機やIHヒーターはヒートポンプの恩恵を受けない。IHヒーターは必ず昼間電気で使うので光熱費も大きい
  • 住宅のパッシブ性能や住設のアクティブ性能の向上は十分に効果が感じられる
  • 燃料調整費や再エネ賦課金などの上昇で今後も電力料金は上がり基調

これらの点から今後行うべき対策は次のとおりです。

今後行うべき対策
  • 太陽光の導入:年間消費電力の大半を自家発電で賄う事で、買電コスト・燃調費・再エネ付加金の負担を削減する
  • 蓄電システム:太陽光の発電時間外での買電量を削減するために、蓄電池やV2H(EV)を導入する
  • 冷暖房:冷暖房の消費電力を減らすために、冷暖房の24時間稼働でコスト変化を確認する

最後まで読んで頂き有難うございます。次回は、大型床暖房の24時間稼働、消費電力は減ったのか、増えたのかについて紹介します。

広告

広告